こどもの居場所づくりに関する検討委員会(第2回)
概要
- 開催日時:令和4年9月27日(火)10時00分から12時00分まで
- 開催形式:オンライン・対面開催
議事
- 自治体へのヒアリングについて
- 関係団体へのヒアリング結果について
- こどもや若者へのヒアリングの調査設計について
配付資料
- 資料1-1:大阪府豊中市 提出資料(PDF/1,293KB)
- 資料1-2:大分県豊後高田市 提出資料(PDF/1,924KB)
- 資料2:関係団体へのヒアリング結果(概要)(PDF/630KB)
- 資料3:こどもや若者へのヒアリングの調査設計(案)(PDF/631KB)
- 参考資料1:第1回検討会議事要旨 (PDF/413KB)
- 参考資料2:日本小児看護学会『こどもを対象とする看護研究に関する倫理指針』(2015)(PDF/9,385KB)
議事要旨
(1)開会
〇 小倉將信こども政策担当大臣、自見はなこ内閣府大臣政務官より挨拶。
(2)議事
〇 豊中市より、大阪府豊中市提出資料(資料1―1)について説明。
〇 以下の質疑応答あり(順不同)。
- 提出資料 p.5、オレンジ枠内の、「子どもの居場所ネットワーク事業」の対象となる「学 習支援・子ども食堂」等と、オレンジ枠外の「新・放課後子ども総合プラン」や、さらに枠外のその他公共施設等居場所がいろいろな形で存在すると思うが、それらの横の連携はどのようになっているのか。教育委員会との連携については、関係団体インタビューにおいても課題になっていたが、教育委員会の内・外、学校との内・外、コーディネーターの役割分担の状況について教えていただきたい。
- 行政の中で、こどもの居場所に関係する部署が集まった「こどもの居場所づくり部会」といった会議体を設置し、取組や課題の共有を実施している。また、「子どもの居場所ネットワーク事業」の中で、市域の会議体を組織し、児童福祉部門の行政職だけでなく、教育部門の行政職も含めて、公共施設の分野と連携しながら、居場所を利用するこどもや家庭の課題や、官民連携の方策等を協議している。
- 児童館は0~18歳のこどもにとってのユニバーサルな居場所であり、困難家庭を支え、 支援の居場所につなぐ役割もある。その意味で、居場所づくりの中間支援と相性が良く、協力体制をとれるのではないかと推測するが、児童館との連携状況を伺いたい。
- 市内には、児童館がない。学校や地域、公共施設等に、多様な居場所をつくることで、居場所づくりの施策を展開している。また、公立こども園が、市内に 25 カ所あり、地域子育て支援拠点として、就学前の親子の相談を受けている。
- 居場所の役割として、困難なこどもの声を拾うだけでなく、やってみたい声も拾い自己 実現や社会参加につなげることが重要だと考えるが、どのような形でつないでいるのか。
- 近隣の事業者等からイベントのお誘いがあるので、各居場所において情報提供を行っている。また、「子どもの居場所ネットワーク事業」において、各居場所に、様々な社会経験のある人材を派遣するという仕組み(サポーター制度)を設けており、こどもの声を踏まえた上で、遊びや経験の提供を支援している。
- 居場所と居場所の間がすきまになることもある。こどもの居場所づくりの中間支援やコーディネーターが存在しない地域でも、0~18 歳までの居場所が途切れることのないようにする必要がある。
- 大人の考えるロジックが実際にこどものためになっているのかについては別の話だと 考えているが、本取組の実施前後で、こどもの自殺率の低下や不登校生徒の減少、窓口への相談者数の変化等、把握されている変化はあるか。
- 市内のこどもの居場所づくりを支援する中間支援団体から見て、地域で、こどもの居場所に関する大人の注目度が上がり、こどもを支えたいと思う大人が増えたと非常に感じる。こどもの居場所づくりに関するボランティア養成講座も多くの方に御参加いただき、それに伴いこどもの居場所への携わり方に関する相談が多くなっている。一方で、大人の自己実現がこどもの居場所づくりになっているケースもあり、中間支援団体として、こどもの気持ちに近づけるような支援が必要。
- 児童虐待の相談対応件数については、残念ながら増えている状況。本事業の効果を定量的にどう測るかは、行政として課題と捉えているが、今後、こどもが困難を抱えている場合であっても、行く場所があるということ、そのことをこどもや学校などに知ってもらうことが今後につながっていくと考えている。
- 大人の自己実現は重要な観点。こどもの居場所づくりをボランタリーで実施する場合、 自己実現くらいしかモチベーション維持の原動力はない。大人の自己実現や考え方を否定するのではなく、こどものためになるような仕組みをつくり、それに乗っかってもらうことが重要だと考える。
- 社会的養護の居場所は 18 歳以上の子が多いが、そのような子たちに何か活動を行って いるか。
- 現状のこどもの居場所づくり施策においては、十分に広げられていない。ただ、居場所の運営者の中には、別の取組みとして、社会的養護の 18 歳以上の若者への取組(宿泊場所やシェルター、食事の提供等)を行っているケースもある。また、コーディネーターが関係団体等と連携を進めているので、今後も広げていきたい。
- 居場所の活動が広がりやすい地域、広がりにくい地域の違いとして考えられるものは何か。
- 第一に、スティグマの問題がある。地域によって、こども食堂等に偏見のある地域もあり、活動が広がりにくいケースもあるので、少し違う形で進めていけたらよいと考えている。第二に、地域に居場所の活動をしたい大人の存在の多さの違いがある。人口密度が低い、高齢者が多い地域では、声が上がりづらく、逆に子育て世代が多いところの方が声が上がりやすい。第三に、地域に昔から住んでいる方のこどもに対するまなざしも大きく影響する。居場所を運営するに当たり、自治会等の地縁組織との連携や理解が重要になる。その意味では、比較的新しく開発された地域の方が、居場所は作りやすい印象がある。
- 居場所の活動を辞めてしまう団体の理由としては、どのようなものがあるか。
- 居場所の運営を組織化できていないと、辞めてしまうケースが多い。見切り発車で、1人で居場所をつくってしまうと、運営者もしんどくなり、継続が難しい。これらを課題として我々としてもサポートしていきたいと考える。
- 本事業の財源や運営主体、居場所への補助の状況等を教えていただきたい。
- 財源については、市の一般財源の一部持ち出しはあるが、国や大阪府の補助金を基本とし、市として予算取りして、居場所ネットワーク事業は委託、各居場所に関しての運営については、補助という形で行っている。
- 運営主体については、豊中市から委託を受け、本事業の運営事務局を「とよなかESDネットワーク」が担当。地域で実際に活動するコーディネーターは、各地域の保護者、子育て経験者等に依頼。1つの圏域に1名を配置しており、計7名が活動。
- 地域でボランタリーに運営される拠点ではハードケースへの対応が難しい場合もある と推測するが、専門の支援機関との連携や棲み分けをどのようにされているか。
- より支援が必要であるこどもを受け入れる居場所について、令和4年度から、相談支援拠点モデル事業として行政から委託する形で試行的に運営。現在は、定員10名だが、今後、定員や開所時間、運営体制等の充実を目指して検討を進めている。
- 提出資料 p.7 に、全てのこどもを支える仕組みづくりとして、レッドゾーン、イエローゾーン、グレーゾーンと濃淡が分かれている図があるが、豊中市からの説明を聞いて、行政が、イエローゾーンをしっかり支えた上で、行政からの補助ベースで、地域からの活力を活用し、グレーゾーンを支えながら、イエローゾーンの手前にいるこどもに対してもきちんと対応するなど連携ができるからこそ、ハードケースを含めた対応が可能になっていると理解した。大変すばらしい取組だと思う。
〇 豊後高田市より、大分県豊後高田市提出資料(資料1-2)について説明。
〇 委員より、以下の発言あり(順不同)。
- 豊後高田市に転入した子育て世代等は、地域に定住しているのか。
- 本市の移住・定住施策は、開始後まだ数年であるため、移住してきた子育て世代のこどもが、大学やその後も地域に定住しているかは、今後把握していきたい。なお、本市の状況としては、多くのこどもたちが市外の大学に進学したとしても、ある程度、地元に戻ってきている印象を持っている。
- 学びの 21 世紀塾では、年齢別の活動が実施されているのか。あるいは異年齢交流も行 われているのか。
- 基本的には、年齢別の活動を実施しているが、今年度より、小中連携講座という形で、中学生と小学校高学年が一緒に学ぶ場もつくっている。また、英会話講座の中で、小学校で一緒になる予定の幼稚園児や保育園児が交流する場面等もある。
- 本市は、非常に規模の小さな市で、学校や地域の中で、異年齢交流が行われている実態もあるが、あえて、当事業で拠点を作っている。
- 学びの 21 世紀塾では、学びに重点を置かれていると思うが、他の居場所の活動や事業 との連携は、どのようにされているのか。
- 教育委員会の学校教育課と社会教育課が連携しながら、学びの 21 世紀塾の中で、学びや学力以外の社会教育的な活動を提供しており、これらは公民館での活動を中心に展開している。
- 市内のほとんどの小中学生が参加しているとのことだが、行きたくないが、周りが皆行 っているので参加している、というこどもを生まないための取組、例えば、任意であるということを周知していくための取組が何かあれば教えていただきたい。
- 全てのこどもが参加している訳ではなく、行きたくないこどもは、参加していない。講座を担っている講師は、学校の教員ではなく、地域住民であり、日ごろ出会わない大人との出会いがこどもにとって魅力的になっているところもあると考えている。今後も嫌々参加するこどもを生まないように努めていきたい。
- 学びの 21 世紀塾について、財源と事務局の担い手について教えていただきたい。
- 財源は、県の補助が 3 分の 2、市の単費が 3 分の 1 である。事務局は、学校教育課に設置し、実行委員会制を採用している。学びの 21 世紀塾担当事務として事務職員を一人配置している。
- 居場所によっては、学校との連携に課題を抱えている場合もある。学びの 21 世紀塾と 学校との連携で課題となっているものがあれば教えていただきたい。
- 21 年前の開始当初は、類似の事例もなく、周囲からの反発も多かったが、活動を進める中で、徐々に理解を得て、多くの自治体から視察に来ていただいている状況。現在では、学校の教員等も、学びの 21 世紀塾の運営等に参画していただいている。また、本市は非常に規模が小さく、庁内の各担当課と顔の見える関係があり、こどもの情報を教育、福祉、子育て等の担当課で共有し、支援している状況である。
〇 事務局より、関係団体へのヒアリング結果(概要)(資料2)について説明。
〇 委員より、以下の発言あり(順不同)。
- こどもが抱えている悩みを言葉にしていくまでの過程で、カードゲーム等の遊びや日常の会話を通して、職員と少しずつ信頼関係を構築していくことが重要。
- 性的マイノリティのこどものための居場所では、ユースセンターにこどもをつなぐケースも多いとのことだが、ユースセンターはまだ数が多くないということなので、児童館など地域においてつなぎ先が増えることも必要だと感じた。
- 一般的な概念でいうと、居場所という言葉に内包される活動であっても、困難を抱える こどもにとって真に居場所となっているかは別の問題。居場所というのは、多様な要素を含んでおり、便利な言葉であるが、本事業として居場所をどのように捉えていくのか は丁寧に検討する必要がある。それができると、日本全国の支援に取り組んでいる人たちにとってのある種の指針になると思う。
- 団体ヒアリングを通じて、連携や資金に関する課題にぶつかっているところがいくつもあると感じた。
- 学校という場が持つ力は強い。ほぼ全てのこどもが一度は所属する場であり、その行政 機関としての価値は高く、居場所と学校との連携が展開されていくことも重要。
- 本調査研究において、居場所の理念や視点を検討することも重要だが、居場所の活動に 予算がつきづらい課題に対しても、何らか方針を打ち出せると良いのではないか。
- 地方のこどもが居場所への足がないというのは重要な課題。
- 民間がこどもを行政につないだ後に、行政からの情報共有がなく、こどもが行政の公的 な居場所(婦人保護施設等)から抜け出して、また危険な目に遭って、民間の居場所に戻ってくるという課題も見受けられた。民間と行政との情報共有や引き継ぎのコミュニケーションを上手く行う必要がある。また、婦人保護施設等の場合、対象者の年齢層が幅広いため、18 歳を過ぎたばかりの若者がどうしても居場所と感じられず、支援に繋がれていない現状もあると感じる。もう少し細かく区切る必要もあるのではないか。
〇 事務局より、こどもや若者へのヒアリングの調査設計(資料3)について説明。
〇 委員より、以下の発言あり(順不同)。
- 居場所の運営スタッフ等にインタビュアーを依頼する際に、スタッフによって尋ねることに差が出ないように、何のためにこどもの声を聴くのか、こどもの声をどのように活用していくか等ということを共通して示す必要がある。
- p.8 について、こどもの立場になると、自分がヒアリングで話した言葉を、大人に勝手に改変されるのは嫌だと感じる。事務局の分析で、居場所の視点や理念につながるポイントを抽出する際に、こどもの真意と異ならないよう慎重に進めていただきたい。また、居場所の視点や理念のとりまとめ案をこどもに確認する際も、内容は変更できる等、配慮の一言を入れていただきたい。
- 児童相談所で保護されるこどもと関わる機会もあるが、自分の意見をきちんと尊重されなかったという思いを抱えているこどもも多い。そのため、何人かは 10 歳未満のこどもにもヒアリングするべきではないか。
- インタビュアーについて、年齢が高くなると、居場所の運営スタッフ等がいない場の方 が、本心が出る場合もある。そのため、場合によっては、話した内容を絶対に言わないという約束をした上で、事務局でインタビューしていただけると良いのではないか。
- 事務局が同席又はヒアリングする際は、スーツ等ではなく、親しみやすい私服であると、 こどもたちが話しやすい。
- 現場感覚で申し上げると、6~10 歳のこどもについて、自分の意見を持っているこども だと思うので、ヒアリングしていただけると良い。利用状況に関する細かい話(何時から何時まで利用している等)を尋ねるよりは、ここで何をしているのか等、こどもの主観的な語りを拾いつつ、その語りについて、後で、居場所の運営スタッフにヒアリングし、どのような背景でそのように語ったのかを意味づけてはどうか。
(3)閉会
〇 事務局より、今後の予定について説明。