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こどもの居場所づくりに関する検討委員会(第4回)

概要

  • 開催日時:令和5年1月23日(月)10時00分から12時00分まで
  • 開催形式:オンライン・対面開催

議事

  1. こども・若者からの意見
  2. 報告書のとりまとめに向けて
  3. こども・若者へのフィードバック

配付資料

議事要旨

(1)開会
○ 小倉將信内閣府特命担当大臣(途中参加時に挨拶)、和田内閣府副大臣より挨拶。

(2)議事
○ 事務局より、資料1ー1、資料1ー2、資料2ー1、資料2ー2、資料2ー3について説明。
○ 委員より、以下の意見あり。

<こども・若者からの意見(資料1ー1、資料2ー1)について>

  • 資料1ー1 こども・若者へのアンケート集計結果概要について

    • p.3 に、「居場所がほしいか」別に、居場所の有無が比較されているが、どのような属性のこどもが、居場所がほしいと思っているかについての基礎的な集計のグラフがあると良いのではないか。
    • p.3 に、居場所経由ではなく、学校経由でアンケートを入手したこどもの割合が高い中で、「『ここにいたい』と感じる居場所がほしいですか」という質問に対して、75%のこどもが「はい」と答えたという結果は、居場所のニーズに関する非常に強い声として受け止めている。また、居場所がほしいと思うこどもの中で、居場所がないと回答したこどもが 26.0%いたということや居場所と感じる場として、「祖父母・親戚の家や友達の家」が最も高い割合であったが、これらの場が揺らいでいる家庭では、不安定な居場所になっている可能性があることに着目したい。
    • p.6 で、居場所と感じる場として、「オンライン」の割合も高かったが、オンラインにこどもが何を求めているのか、その要素について今後指針を策定する上で改めて調査していく必要があるのではないか。
    • 居場所の地域差に関連する集計を、追加で実施してはどうか。
    • 居場所の種類ごとに、居場所の利用前後の変化を、追加で分析してはどうか。
    • 見やすさで言うと、左側に年齢があって、どの年齢のこどもが居場所があるのかないのか、というように独立変数的に年齢を扱った方がわかりやすいのではないか。
  • 資料1ー2 内閣府ユース政策モニターを活用したこども・若者の意見について

    • p.7 において、大学生・社会人グループからの【もっとこんな居場所があったらいいなと思う場所】の意見として、「児童相談所等ともぱっと見は関係ない」という記載があるが、この意見は、居場所が公的な機関とつながっていると思うと、こどもから声を出しにくいという趣旨の意見と捉えられる。居場所の運営スタッフには、守秘義務や個人情報の保護に配慮しつつ支援できる専門性が、一定レベル求められるのではないか。
    • p.7 において、大学生・社会人グループからの【もっとこんな居場所があったらいいなと思う場所】の意見として、「児童相談所等ともぱっと見は関係ない」という記載がある。当事者からすれば、児童相談所や一時保護所は、助けてもらえる場所ではなかったと思うケースもある。その声が回りに回って、今こどもたちの間では、児童相談所や一時保護所が危険な場と捉えられていることが多い印象がある。素晴らしい機関であっても、こどもたちからそのように認識されてしまうことは大変残念であり、その認識を改善するための対応が必要だと思う。

<報告書のとりまとめに向けて(資料2-3考察案)について>

  • 全体として

    • 報告書を示した際、特に地方自治体では、誰向けの内容なのかと思われる可能性があるのではないか。教育委員会にも、居場所的なことを行う部門もあれば、子ども子育て会議や青少年問題審議会など、横割りの会議体やネットワークも多くある。その中のどの部門が、居場所の問題について責任をもって担うべきなのか、資料2-3考察案で、少しでも触れられると良いのではないか。例えば、教育委員会、子ども子育て会議といった各種会議体、民生委員児童委員、社会教育主事、児童相談所など、これまで居場所を担ってきた機関や部門に言及したり、あるいは、行政の中で居場所づくりのとりまとめをすることが必要と記載するなど。
    • 居場所の運営スタッフとして家庭や学校と対話する際に、こどもの側に立ち、こどもの視点に合わせていく作業をした上で、こどもがもつ価値や主体性を、家庭や学校に伝えていくことが結構多い。社会はまだまだ、こどものことを力がないと思っている。今回の報告書、居場所づくり指針が、こどもの捉え方に影響を及ぼし、家庭や学校も含めて、今あるものも居場所にしていけるようなものになると良いのではないか。
    • この 10 年間、こども・若者に関する法律や政策が充実していく中で、新たな協議会や会議体が乱立して、どこも機能していないような自治体もある。行政職員も現場の方も居場所づくりに邁進できる環境をつくっていくためには、これまであった各種会議体を整理統合することの検討も必要ではないか。
  • (4)こども・若者の『居場所づくり』において大切にしたい視点

    • 資料1ー1(p.9)で、居場所の要望として、19 歳以上では、「話したい時に、自分の話を聞いてほしい」、「困っていることや悩みごとを話した時に、味方になってほしい」というニーズも高いことに着目したい。学校や児童館があると、何らか話せる大人とつながりやすいが、高校を卒業・中退すると、そういう人と出会える機会がなくなってしまうことも多い。そのような若者期のニーズを踏まえると、「(4)こども・若者の『居場所づくり』において大切にしたい視点」に、「行きたい・居たい・やってみたい」だけでなく、「支えてほしい/助けてほしい」というような軸をもう一つ掲げてはどうか。
      大人はこどもたちの味方になりたいと思っていることを明示できると良い。
    • 「(4)こども・若者の『居場所づくり』において大切にしたい視点」の「行きたい、居たい、やってみたい」の「居たい」のところに「話を聞いてくれること」があるが、居場所でこどもの話を聞く中では、いじめや虐待、自殺の SOS を拾うことができるのも居場所の特性である。こどもの声なき声に大人がどれだけ気づいて、関わっていくことができるかも重要であり、そのような内容も盛り込めると良い。
    • こどもの育ちには、色々な大人たちの支えが必要である。居場所に関わった経験の中で、身近な大人に憧れて色々なことに挑戦したり、身近な大人をロールモデルにしたりするこどもたちも多かった。「(4)こども・若者の『居場所づくり』において大切にしたい視点」の「行きたい・居たい・やってみたい」の「やってみたい」に属する要素として、居場所における、身近な大人の存在、斜めの関係というものも含めてはどうか。
    • 資料1-1(p.14)について、性別を「わからない、答えたくない」と回答したこどもは、その他のこどもより、居場所があると回答した割合が低かった。性別を「わからない、答えたくない」と回答したからといって、性的マイノリティの立場にあるこどもとは限らないと思うが、その可能性のあるこどもの傾向を表しているのではないか。「(4)こども・若者の『居場所づくり』において大切にしたい視点」の「行きたい・居たい・やってみたい」には、「誰でも行ける」という要素が挙げられているが、時には、その人しかいけない居場所、属性に配慮した居場所が確保されることも重要だと思う。
  • (5)居場所の種類と現状、課題

    • 「ポピュレーションアプローチ」と「ターゲットアプローチ」という表記が使われているが、検討委員会においては「ユニバーサル」と「ターゲット」という表現がされてきた。「ポピュレーション」だと「ハイリスク」が対になる印象もあり、強いこだわりはないが、表現を確認していただきたい。
    • 「放課後こども教室」とあるが、施策名ではこどもが漢字表記になっている。いずれか適切な表現を検討いただきたい。
      また、「青少年教育施設」について「野遊び、キャンプなど自然と親しみながら体験活動を行っている」とあるが、野遊びやキャンプだけでなく、自然体験やボランティアなどの体験活動を提供しているといった表現の方が良いのではないか。
    • 「ポピュレーションアプローチ」として、「児童館、公民館・図書館など、従来からある資源」との記載があるが、その下の「スポーツ少年団」や「公園」も従来からある資源であり、公共施設という表現の方が良いのではないか。
      また、「ポピュレーションアプローチ」に挙がっている居場所の順番として、最初に、公助、公共の責任として実施されている「児童館、公民館・図書館」を挙げて、次に、生活の場として、「放課後児童クラブ」を挙げて、その後、余暇の場として、「放課後こども教室」や「公園や校庭、プレーパークなど」を挙げた方が良いのではないか。
    • 「スポーツ・文化芸術活動を提供するもの」として、「放課後こども教室」と「スポーツ少年団」のみ挙げられているが、子ども会や文化芸術活動の観点でこども劇場、親子劇場なども含めてはどうか。
    • 「(ターゲットアプローチのような場においては)行政が担うべき機能を(一部)代替している側面があると考えられる。」とあるが、行政が担うべき機能は、どこに位置づいているのか。行政が責任を担うもの、行政が担うべき機能を代替しているものの両方について、記載が必要ではないか。
    • 「ポピュレーションアプローチ」について、小学生を想起させる記載が多い。中高生を想起させるようなポピュレーションアプローチの種類、例えばユースセンターなどについても言及してはどうか。
    • こどもの自殺が増えており、虐待や生活困窮など、非常に厳しい状況下におかれているこどもたちもいる中で、ターゲット型の支援について喫緊の必要性があることは強調したい。その上で、「(5)居場所の種類と現状、課題」で、混在型の居場所として、「学習支援」が位置づけられているが、全国で最も広がっているのは、生活困窮者自立支援制度による子どもの学習・生活支援事業であり、これはターゲット型の支援となる。どこに位置付けるかが重要という訳ではなく、ターゲット型の学習支援の拡充が、今、非常に必要な状況であると強調したい。学習支援事業は、こども家庭庁の所管ではなく、厚生労働省の所管になると思うが、今後の居場所づくりの検討から漏れることのないように検討いただきたい。また、児童福祉法改正に伴い新設された「児童育成支援拠点事業」も、ハイリスクなこどもへの支援であり、重要な地域の資源になると思われるので、ターゲットアプローチに位置付けていただきたい。
  • (6)居場所に共通する課題と対応策の方向性

    • 課題として「団体の経営の安定性」や「運営費用の確保の困難さ」、「団体における人材確保や雇用の安定」が挙げられており、対応策として、「地域の居場所をコーディネートする人材確保、育成への支援」や「居場所づくりの普及を支援する「中間支援団体」への支援」が挙げられているが、居場所の継続における本丸は、居場所を運営する団体にどのような支援が行き届くかである。そのためまずは、対応策として、例えば、居場所の運営を委託する団体の継続性への考慮として、居場所に関わる職員の待遇改善などについて努力義務を提示するなど、居場所の環境整備と資源投入を明記する必要があるのではないか。こどもの居場所とこどもの居場所に関わる職員の生活の継続性と両立するような条件整備を検討いただきたい。
    • 課題の1番目に、多様な居場所を増やすことが挙がっているが、まずは居場所が安心・安全である場であることが重要ではないか。また、安心・安全である場とは具体的にどういう場であるのか、明記されると良いのではないか。例えば、居場所のスタッフのこどもへの距離感や接し方、不適切な言動など、スタッフの行動規範となるようなものが含まれていると良いと感じた。
    • 対応策の中に、「中間支援団体への支援」という表現があるが、中間支援団体とはどんな組織を想定しているのか。
    • 「地域の居場所をコーディネートする人材」の予算、人材確保の予算や財源を明示すべきではないか。また、居場所を運営する人材が、ただそこにいればいいと扱われてしまうことのないよう、人材の専門職化、資格化のようなことも、検討課題として挙げてはどうか。
    • 居場所づくりについて、全てを公助でやればよいという訳ではなく、財源の観点から、共助による居場所も重要となる。その際、国や自治体が果たす役割も重要であり、「(6)居場所に共通する課題と対応策の方向性」には、共助を支える国の役割についても盛り込んだ方が良いのではないか。例えば、国が表彰を行うと、地元の新聞社に取り上げられるなど、地元の栄誉になることがある。そのほか、居場所づくりに関する自治体のデータを国が発信したり、子ども・子育て会議の中で、居場所についても議論するように、国が位置付けていくなどもあるかもしれない。このように、予算を出すだけではない、共助を支えるための国としての役割についても検討が必要ではないか。
    • 居場所に関わるスタッフのメンタルケアも重要ではないか。居場所に関わるスタッフが短期間でいなくなってしまうと、居場所に喪失感を抱くこどもが生まれてしまう。居場所の継続に当たっては、金銭面も課題であるが、それ以上に、スタッフの精神的な受け皿がないことも課題であり、同じスタッフが継続して行える環境づくり(スーパービジョンなど)も大切にしていく必要がある。
    • 親とこどもが依存関係にあり、こどもが行きたくても、親に逆らえず、意図せず居場所に行けなくなるケースも多く、まず親に信用してもらうことが大切になることも多い。
      こども中心の居場所は大切であるが、時には、親子や母子の居場所も大切ではないか。
    • 居場所に関わる民間団体においても、こどもの権利に関する研修が更に行われるようになると良いのではないか。
    • 居場所において、虐待や希死念慮などのケースに対応するにあたっては、専門的な関わりや多機能性が求められる。そのような居場所をボランティアで運営していくには、様々な団体の協力、ネットワークの強さが必要になるが、ネットワークを構築するのは非常に大変である。そのような民間団体やネットワークをまとめる役割を、国が中心となって行ってもらえると、まとまりやすいのではないかと感じた。
    • 多様な居場所が増えることは良いことだが、こどもの権利を擁護できる方が居場所にいることが重要である。「(3)こども・若者の『居場所づくり』における理念」で、こどもの権利について明記されているが、それを体現できる方がいることが大変重要であり、様々な居場所において、その質をどのように担保していくかが重要。最低限の知識やスキル、マインドセットを担保する研修制度も大切ではないか。
    • 「(6)居場所に共通する課題と対応策の方向性」では、居場所の運営の委託先の団体や人材を想定した表現になっていると思うが、それだけではなく、行政のワーカーにおける人材の待遇やキャリアパスを支えていくことも重要ではないか。
    • こどもの居場所やターゲット型の支援においては、ケースワーカーやソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカー、コミュニティソーシャルワーカー、心理職、医療職など、あらゆる専門性をもつ多職種が連携する必要があるが、全員、言語が異なり、連携が難しい。上手く連携できている自治体では、長年携わっている職員がいるなど、属人的な面も大きい。居場所において、こどもの権利をまんなかにして、多職種が横連携していく際に、それを誰がコーディネートするかということは、大きな課題になる。
      行政職においては、短期間での異動となり、これらのとりまとめが難しく、現場担当者レベルで連携するケースも見受けられる。行政職の中でも、こどもや若者政策の専門性を育成できるようなキャリアパスの仕組みをつくったり、とりまとめを担う行政職員に、アドバイザリーボードをつけたりするなど、多機関連携、多職種連携ができる仕組みが必要ではないか。そうでなければ、居場所づくりが上手く進む自治体とそうでない自治体が出てくる懸念がある。
    • 多様な居場所が増えて、居場所に関わる職員が増えると、支援者へのケアという観点も重要になる。特にターゲットアプローチでは、死別や離別を経験しているこどもたちも多く、支援中に、そのような事象が発生することもあり、支援者側がハードな勤務環境に置かれる可能性も高いため、支援者へのケアの観点は重要である。
    • 夜間や休日に、居場所で虐待が発見されると、行政機関は開いていないので、居場所か警察で対応することになる。こどもが家に帰りたくないとなった時に相談する場所がなく、居場所の運営スタッフも同席して、警察でこどもが取調べを受けることもある。
      一部のケースでは、こどもの権利が意識されないようなコミュニケーションで取調べがなされることもあり、居場所の運営スタッフが伴走しながら、夜遅くまで対応する場合もある。このように、特に夜間利用できる居場所だと、自殺リスクを含むこどもの利用が高まる中で、民間に過度の負担がかかってしまう構造になっているため、サスティナブルな居場所の運営方法が課題である。
    • こども・若者のニーズに基づき、「行きたい・居たい・やってみたい」という視点から居場所づくりを検討していくことは重要だが、その視点を実現するための環境整備を資料2-3考察案に位置づける必要があるのではないか。居場所には、職業ベースで行われている場と、ボランタリーベースで行われている場があり、その区別を明示した方が良い。その位置づけがなければ、居場所づくりは、ボランタリーでやればよいものと受け取られてしまう懸念がある。
    • 居場所の運営団体が、児童相談所や警察、福祉事務所とのやりとりに労力を割いているケースや、公的機関では対応できないケースに対応しているケースが多い印象を受けている。居場所の運営団体が活動しやすいような行政支援機関のあり方についても言及してはどうか。
    • こどもの居場所を運営していると、ソーシャルワーク、ファシリテート、プレイワークなど、色々な要素を取り入れながらこどもに関わらないと、こどもの権利を保障することが難しい局面もあり、必然的に居場所が多機能になってくる。そのような多機能性が求められる居場所での人材育成や、ボランティアコーディネートも重要ではないか。
  • (7)おわりに

    • 2 点目と 3 点目は、「(6)居場所に共通する課題と対応策の方向性」にも含めた方が良いのではないか。例えば 2 点目であれば、多様な居場所を整備していくという文脈の中で、本来は居場所の目的がないところでも、居場所の要素があると良い、3 点目は、安心・安全の居場所を確保するという文脈の中で、こどもが意見表明できる機会が確保されることの重要性を盛り込んでみてはどうか。

○ 事務局より、こども・若者向け報告書のイメージ、「第1章~第4章(案)
 ※こども・若者への意見聴取の部分(資料2-2)」について説明。
○ 委員より、以下の発言あり。

  • 居場所が制度的な逃げ場所、避難先になっている側面も踏まえて、「行きたい・居たい・やってみたい」の他に、「助けてほしい/支える」という視点も必要ではないか。

    • こどもが自ら相談できる場所は、こども自身からもなかなか見えていないと感じる。ポピュレーションな居場所が、全面的に相談場所として捉えられてしまっては、趣旨が異なるので、見せ方が難しいところではあるが、視点に追加しても良いのではないか。
    • 助けてほしいと自分で気づけないこどももいる。気づいていないから、助けを求めないという側面があることも踏まえると、「居たい」の視点に含まれる要素の中に、「助けてほしい」と明記するのが良いのではないか。
    • 「居たい」の視点に含まれる要素の中にも、「助けてほしい」と近しい要素があるので、「居たい」の中に明示する形で良いのではないか。
  • 「関係性」など、低年齢層のこどもにとって理解が難しい言葉が入っている。どこまで対応するか検討が必要である。

(3)閉会
○ 自見はなこ内閣府大臣政務官より挨拶。
○ 事務局より、今後の予定について説明。

以上