本文へ移動

協議会議事概要(令和3年10月20日開催)

協議会議事概要

議事概要

子供の性被害撲滅対策推進協議会総会 議事概要

1 開催日時・場所

令和3年10月20日(水)午後2時~午後3時5分までの間
Web会議による開催

2 次第

(1) 開会
(2) 会長挨拶 【警察庁生活安全局長】

→ 緒方禎己警察庁生活安全局長が挨拶を行った。

(3) 議題1

警察庁が、 新たな子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)の概要(案)(PDF/894KB)
について説明した。
→ 関係府省庁から事前質問等について説明した。
別途3に記載

(4) 議題2

質疑応答
→ 別途4に記載

(5) 議題3

「子供の性被害撲滅対策推進協議会」規約の一部改正について
→ 協議会構成団体の変更による規約改正が承認された。

(6) 閉会

3 議題1の主な説明内容

以下のとおり、民間団体から質疑等があり、関係府省庁が応答した。

  • 現行プランの評価に関して、可能な限り事業評価指標(KPI)の導入についても検討してほしい。

  • 新型コロナの影響について、新たなプランの適切な箇所に記載を含めるべきではないか。

  • 新たなプランの表題にも、場の対策が強化されることを反映すべきではないか。
    → 【警察庁】
    1点目については、現行のプランにおいても毎年フォローアップを実施し、各施策の状況を把握しているところであるが、数値等で表すことが困難な施策も多くあるので、今後各施策の評価方法については引き続き検討してまいりたい。
    2点目については、例えば、令和2年中の児童ポルノ事犯や児童買春事犯の検挙件数については減少しており、その原因について明確な理由は分からないところがあるが、新型コロナウイルス感染症の流行によって、外出自粛等が影響しているのではないかということも考えられる。新型コロナウイルスが児童の性的搾取等にどのような影響を与えているのか、それについてどのようなことを新たなプランに記載すべきかは今後検討してまいりたい。
    3点目については、いただいたご意見を踏まえて、検討したい。

  • 「学校等における子どもの性被害」というと、教員等による加害事案を思い浮かべるが、被害・加害ともに児童・生徒という性被害事案も存在している。このことを踏まえて、新たなプランの検討においては、学校等における被害・加害ともに児童・生徒という場合の性被害への支援を検討課題に加え、被害現状の把握と児童・生徒等への支援対策を推進していただきたい。
    → 【文部科学省】
    子供の性被害への取組については、学校等における被害・加害ともに児童・生徒という観点から、いじめの一類型としても考えられる。
    一方で、性被害という特殊性も加わって一層対応や支援が困難になっていることから、このプランにおいてもしっかりと検討課題に加えるようにしてほしいとのご意見に対して、いじめ全般については、文部科学省としても、「いじめは決して許されないものだ」というスタンスに立ちながら、学校や教育委員会等に対しては、いじめを積極的に認知し、早期に組織的に対応していくように、いじめ防止対策推進法や基本方針ガイドライン等に基づいて対応するように行政説明や研修会等で周知を進めている。
    あわせて、児童・生徒が相談できるようなSOSダイヤルやSNS等を活用した相談窓口の周知等についても進めている。
    また、新たな子供の性被害防止プランにおいては、命を大切にして、子供たちを性暴力の加害者・被害者、また傍観者にしないための「生命(いのち)の安全教育」をはじめとした発達段階での教育・啓発を進めていくこととしている。
    さらに、関係府省庁とも連携し、SNSの活用も含めた、子供やその保護者等が相談しやすいような環境の整備等を通して被害児童の迅速な保護、適切な支援を推進していく。

  • 児童ポルノ禁止法は平成26年を最後に改正されておらず、そういった中で、児童ポルノに関わる規制について、児童ポルノ禁止法の改正によることを前提に調査・検討をお願いしたい。

  • 柱5の施策項目に「加害少年(触法少年・非行少年)の性非行防指導と立ち直り支援の実施」を追加してほしい。
    また、加害少年が触法少年の場合や、少年院に収容されない場合の非行少年への適切な性非行防止指導と立ち直り支援について検討課題に加え、これらを所管する部署を定めるとともに、加害児童の更生対策を推進していただくようお願いしたい。

  • ピントがぼやけている子供の裸の写真等を、簡単にネットで見付けることができ、規制されていない。性描写の激しいアニメやゲームが蔓延している現状が、結果的に子供の性被害の増加に繋がっている。
    グルーミング等を禁止行為とするよう児童ポルノ規制法の改正を望む。
    → 【法務省】
    児童ポルノ禁止法の改正に関するご質問については、いわゆる自画撮りを含め、様々な意見があり得ることと承知。現在、議員立法を視野に立法府の勉強会においても様々な議論が行われていることと承知しているので、今後もその推移を注視するとともに、適切に対応してまいりたい。
    いわゆるグルーミング行為に関しては、いわゆるグルーミング行為に係る罪の新設を含めて、性犯罪に対処するための法整備の在り方について、法制審議会において調査審議中であり、これが児童ポルノ禁止法の改正により措置するか否かは別であるが、その結果を踏まえて適切に対応させていただきたい。
    柱5⑩に記載のとおり、各少年院においては本件の非行名が性非行に該当するもの、又はそれに該当しなくても性的な動機により本件非行を起こしたものを対象にして、性に対する正しい知識を身につけさせるとともに、自己の性非行に関する認識を深め、性非行せずに適応的な生活をさせることを目的として、ワークブックを用いたグループワーク、または個別指導等を織り交ぜた性非行防止指導を各少年院において実施している。今後も触法少年を含め、少年院に収容された加害少年に対して性非行防止指導と立ち直り支援を実施してまいりたい。
    少年院に収容されない場合等の非行少年への適切な性非行防止指導あるいは立ち直り支援については、柱5⑪「保護観察所における性犯罪再犯防止プログラムの実施」という施策を掲げている。保護観察所というのは社会の中で保護観察を受けるように決まった者に対して、社会の中で指導や支援を行う、保護観察を所掌している部署である。
    保護観察所においては、自己の性的欲求を満たすことを目的とする犯罪に当たる行為を反復する傾向を有する仮釈放者、あるいは保護観察付き執行猶予者に対して性犯罪者処遇プログラムというものを実施している。少年の加害者で少年院に収容されない場合に保護観察に付された少年については、同プログラムの活用を含め、性犯罪に関する再非行を行わないように個々の保護観察対象者の問題性等に応じて指導や支援を実施している。
    今後も、この施策⑪に掲げたことを実施することに加えて、個々の問題性に応じた指導支援に取り組むことで、保護観察に付された性加害少年の更生対策を推進してまいりたい。

  • 新プランの6に新たに記載する予定の児童生徒等に対する性暴力等への厳正な処分等について、子供に関わるもの、従事するものについては、採用する前に事前に確認するシステムを導入すべきではないか。
    →【文部科学省】
    子供を守り育てる立場にある教員が性暴力を行うということは断じてあってはならない。文部科学省としては、これまでに児童生徒等に対して性暴力を行った教員に対しては原則として懲戒免職とするように従前から繰り返し指導を行っている。その結果、令和2年9月時点で、全ての都道府県・指定都市教育委員会において懲戒処分基準において、その規定が整備された。また、予防的な取組として、例えば児童生徒等とSNS等において私的なやり取りをしてはならないことの明確化であったり、そのような取組の強化をすることについても、本年4月に通知に明記して発出し、引き続き各教育委員会に対して対応を求めていきたい。
    さらに、都道府県教育委員会が官報に公告している免許状失効情報を簡便に検索できる官報情報検索ツールについては、本年2月に検索可能期間を過去3年分から過去40年分まで大幅に延長した。引き続きその活用についても評価していきたい。
    これらと合わせて、先の通常国会で成立した教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の施行に向けて、基本指針の策定等の必要な取組を今後着実に実施していきたい。
    →【厚生労働省】
    保育士とベビーシッターについて、保育士については実態把握を進めるとともに保育士資格についても教職員等による児童生徒性暴力防止法における特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例と同様の仕組みを検討することとしている。また、性暴力等を行ったベビーシッターに対する業務停止命令等に関する情報の共有・公表する仕組みの構築を検討し、取り組んでいる。

  • 先ほどの施策に関連して、子供に関わる者を採用・登録する際に犯罪歴や虐待歴をチェックできる全国システムを構築すべきではないか。
    →【内閣官房】
    本年6月の経済財政運営と改革の基本方針において、教育保育施設等や子供が活躍する場で有償無償を問わず職に就こうとしている者から子供を守ることが出来る仕組みの構築等について検討し、子供をわいせつ行為から守る環境整備を進めるなど、海外の先進事例を踏まえ、子供の安心の確保のための様々な課題について検討すると記載されている。これを踏まえ、現在政府として関係府省庁と連携して制度構築における懸念事項等を検討している。

4 議題2の主なやり取り

以下のとおり、民間団体から質疑等があり、関係府省庁が応答した。

  • コロナに関係するかもしれないとのことであるが、ここ1年の検挙数の減少についての傾向については、色々な背景分析・検証を進めていただきたい。
    今回、観光庁の児童買春旅行対策として、旅行業者への指導の推進が掲げられたことは非常に重要である。
    元々、児童買春・児童ポルノ禁止法が最初に成立したときの背景として、海外における日本人旅行者の買春行動、これに対して国際的な非難が集中したことを受け、議員の先生方の中で勉強会が始まり、最初の児童買春・児童ポルノ禁止法が成立した。最近あまり報道はされなくなったが、実際のところはあまり分かっていない状態だと思うので、是非、国土交通省及び観光庁の参画を得て、この問題について深めてもらえればと思う。
    日本ユニセフ協会は、2005年から、旅行業界における子ども買春防止のための行動規範、コードプロジェクトとして、独自の自主的な6項目の行動規範を宣言していただくという取組を、日本旅行業協会の皆様にも加わっていただき推進した。
    国土交通省や観光庁から、今後の方針についてご説明願いたい。
    →【観光庁】
    観光庁では、従来は子供の性犯罪という視点より大きな視点で、不健全旅行、いわゆる買春ツアー等についての対策に取り組んできた。
    旅行業法上では、禁止行為として、国内や海外旅行のそれぞれの当該国において、たとえば買春ツアー・売春ツアーと呼ばれるものが禁止されている場合は、そのような旅行を斡旋・関与することも禁止すると規定されている。(旅行業法第13条)今回の会議では、児童買春や児童ポルノに関することで参画をしているが、観光庁としては、大きく捉えると、現地の法令で犯罪になるような禁止行為に関与しないよう、旅行業者に対して、様々な場面でチェックをしている。具体的には、自主点検表に基づき、旅行業者で自らチェックしてもらったり、登録している旅行業者に対して検査・管理監督などをする権限に基づき、立ち入り検査等を行ったりし、しっかりと管理して旅行業者に対して、このようなことの抑制等に取り組んでいる。
    最近の傾向として、旅行業者が不健全旅行に関与している例は把握していない。旅行業者が関与せずとも、それぞれの旅行者が海外で売春、児童の性的搾取等に関与しているという話があるかもしれないが、旅行業法の禁止行為の中で旅行業者が不健全旅行に関与したことにより行政処分を行った事例は、ここ数十年見ても1件もない。ただし、今後そのような事例が出てくるのであれば、引き続き登録行政庁として旅行業者をしっかりと管理監督していきたいと思っているので、関係省庁と連携してこの取組に参画していきたい。

  • 観光庁の協議会への参加を大変歓迎する。旅行業者が関わって買春ツアーを組織するということは1999年に法律が出来た頃から、やってはならないし、やってないと信じたい。
    当時は、海外へ日本人が行って子供を虐待するということから始まったが、今は、ほとんどが国内各地のホテルで、その虐待が起こっている。業界もかなり自覚しているが、観光庁としては業界への指導は勿論のこと、ホテルがまさに虐待の場に使われているという事実をより深刻に受け止める中で、一歩進めた対策を是非、観光庁をはじめ、他の関係省庁とも協力して進めていただきたい。
    資料の少年の検挙状況がかなり上がってきている。資料には、児童ポルノ事犯が9割を占めると書いているが、9割というのは自画撮り、自画撮らせの加害者によって、少年自身が撮ったものを指しているのか、それとも少年が他の子供をだましたり脅迫して撮らせたというものなのか、中身を教えてもらいたい。
    →【警察庁】
    まず、ホテル等が虐待の場になっているのではないかとのご指摘については、新しいプランにおいても柱の3⑫「被害に遭わないための環境対策の強化」を掲げている。
    児童買春事犯・児童ポルノ事犯等が、どのような場所で行われており、どのような特徴があるのかを整理し、例えばホテルであればホテルを所管している関係省庁・業界団体等と協力しながら注意喚起等を進めていきたいという趣旨で新たな施策を掲げた。ご指摘を踏まえ、この部分を更に具体的に進めていきたい。
    少年の検挙状況については、児童ポルノ事犯が9割を占めるとあるが、検挙の中身は様々で、自画撮りや接触した上で児童ポルノをまさに製造するという事案も含まれる。