こども家庭庁予算案等の決定に当たっての加藤大臣メッセージ
先ほど行われた臨時閣議で、令和6年度当初予算案等が閣議決定されました。こども家庭庁が発足して9か月。初めての予算編成となりましたが、予算だけでなく、今後のこども政策に関連する重要事項が政府として正式に決定されましたので、こども政策担当大臣として、改めて、所感を申し述べたいと思います。
まず、こども基本法に基づく我が国初の「こども大綱」、「こども未来戦略」、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」、「こどもの居場所づくりに関する指針」が決定されました。このうち、「こども大綱」については、多くのこども・若者や子育て当事者のみなさんから意見をお寄せいただき、当事者のみなさんとともに作り上げることができたと考えており、「こどもまんなか社会」の実現に向けた私の思いについては、別途メッセージをしたためました。
また、「こども未来戦略」については、少子化は我が国が直面する最大の危機であるとの認識の下、3.6 兆円程度に及ぶ、前例のない規模での政策強化の具体策を盛り込みました。これにより、我が国のこども1人当たりの家族関係支出は16%程度になると見込まれ、OECDトップのスウェーデンの水準に達し、画期的に前進します。これらを支える財源についても、徹底した歳出改革等によって確保することを原則とし、支援金制度の構築を含め財源の具体的な内訳や金額とともにお示ししています。
次に、令和6年度予算についてです。令和6年度のこども家庭庁予算は0.5兆円増(+10%)の5.3兆円となり、「こども未来戦略」に基づくこども・子育て政策の抜本的な強化に向け、大きな一歩を踏み出す予算とすることができました。内容面でも、幅広い子育て世帯と子育て支援に携わる現場の方々を支えるものとすることができたと考えています。
第一に、児童手当について、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済的支援として、所得制限の撤廃、支給期間の高校生年代までの延長、第3子以降3万円の抜本的拡充を行い、来年12月から支給を開始します。
第二に、これまで比較的支援が手薄であった妊娠・出産期から0~2歳の子どもに対する支援として、出産・子育て応援交付金による10万円相当の経済的支援に伴走型相談支援を組み合わせて着実に実施します。また、令和5年度補正予算により、こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施に向け、試行的事業に取り組むこととしています。
第三に、制度発足以来75年間一度も改善されてこなかった4・5歳児の職員配置基準について、令和6年度より、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設けます。また、保育士等の処遇改善について、令和5年人事院勧告を踏まえた対応を実施します。この処遇改善により、保育士の給与を5.2%引き上げることが可能となります。
第四に、こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立促進や、児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー等支援、障害児支援、医療的ケア児支援等を拡充し、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支えます。
これらを含め、「加速化プラン」による充実額は、国・地方の事業費ベースで見て、こども家庭庁で1.1兆円程度、政府全体で1.3兆円程度となり、「加速化プラン」3.6兆円の3割強が実現されたことになります。
また、こども・子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきであることを踏まえ、総務省において、「加速化プラン」のうち令和6年度の地方負担分について地方財源を適切に確保するとともに、地方自治体が地域の実情に応じた独自のこども・子育て施策をソフト・ハード両面で実施するために必要な地方財源も確保したところです。
次に、組織定員関係についてです。長官官房総務課に戦略的な予算編成を行うための企画官1名の設置が認められました。また、定員については、庁全体で35名の増員となり、令和6年度末定員は465名となります。
増員の主な内容としては、
- 「こども未来戦略」に基づくこども・子育て支援特別会計(仮称)及びこども・子育て支援金制度(仮称)の企画のための体制整備として9名
- こどもの自殺対策の強化のための体制整備として3名 等
となっております。
これらの定員を活用して、「こどもまんなか社会」の実現に向けて庁一丸となって重要課題に取り組んでまいります。
様々な施策をできるだけ早く、こども・若者のみなさんや子育て世帯の方々にお届けできるように、年明けの通常国会には関連法案を提出すべく準備を進めてまいります。
あわせて、こども政策の推進にあたっては、制度の拡充ばかりでなく、その意義や目指す姿を国民一人ひとりにわかりやすいメッセージで伝えるとともに、施策が社会や職場で活用され、こども・子育て世帯にしっかりと届くことが何よりも大切です。社会全体でこども・子育て世帯を応援する機運を高めるべく、社会の意識改革にも取り組んでまいります。