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小倉大臣記者会見(令和5年5月12日)

小倉大臣記者会見要旨

(令和5年5月12日(金)9時24分から9時33分まで 於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

冒頭に2点ございます。
まず、1点目。保育所等における不適切事案について、昨年の12月から2月にかけて実施した「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」の結果と、昨年来の保育所等における不適切事案を踏まえた今後の対策を取りまとめましたので、御説明させていただきます。

まず、調査の結果でありますけれども、市町村が不適切な保育が疑われるとして事実確認を行ったのが1,492件。このうち市町村が不適切な保育の事実を確認したのは914件。さらに、このうち市町村が虐待と確認したのは90件となりました。虐待等はあってはならないことであり、虐待等を未然に防止するための更なる対策が必要と考えております。
 
一方、大半の保育所等において、保育士の方々がこどもの日々の成長に真摯に寄り添い、適切に保育を担っていただいていることも確認されたことを申し添えたいと思います。
 
今回の調査で明らかになった課題といたしまして、施設により「不適切な保育」に当たる行為の捉え方に大きなばらつきが見られることが分かりました。このため、「不適切な保育」の考え方をしっかりとお示しをすることが必要と考えております。
 
次に今後の対策でありますけれども、こどもや保護者が不安を抱えることなく安心して保育所等に通う・こどもを預けられるようにすること、保育所等、保育士等の皆様が日々の保育実践において安心して保育を担っていただくことを基本的な考え方として取りまとめました。
 
具体的には、第一に、今回初めての取組として、こども家庭庁と文科省が連名で、今まで必ずしも明確でなかった「不適切な保育」の考え方を明確化するとともに、保育所等や自治体等に求められる事項を整理したガイドラインをお示ししました。
 
第二に、保育所等における虐待等への対応として、虐待等に関する通報義務など、児童福祉法の改正による制度的対応を検討することといたしました。
 
第三に、保育現場の負担軽減に資する見直し事項と、巡回支援事業の活用について周知をさせていただくことといたしました。
 
こうした対策によりまして、施設内外への相談等を通じて早い段階で改善が促され、虐待等を未然に防止できるような環境体制づくりにつなげることによって、こどもたちの安全、保護者の安心の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
 
続きまして2点目になります。孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」において、孤独・孤立に関する支援の情報を一元化し、自動応答、いわゆるチャットボットにより利用者の悩みに応じた支援制度や相談先の案内をしています。

本ウェブサイトについては、これまで支援制度を案内された利用者は、市区町村で手続きが必要な支援制度については、自らお住まいの市区町村の情報を探して手続きを行う必要がございました。
 
本日より、孤独・孤立で悩む方が円滑に支援制度の手続きを行えるよう、デジタル庁の運営するマイナポータルと連携して、チャットボットの利用結果のページから市区町村の支援制度の手続き情報につなげることができるようになりましたので、お知らせさせていただきます。
 
今回の取組によりまして、孤独・孤立で悩む方に必要な支援がより一層スムーズに届けられるようになることを期待いたしております。
 
なお、今回マイナポータルと接続いたしましたのは、市区町村で手続きを行う制度の全てではなく、市区町村のマイナポータルへの登録状況を踏まえまして、一部の制度、18制度でございますが、となっております。残りの制度につきましても、速やかに接続できるよう市区町村や関係省庁と連携をして準備を進めてまいりたいと思っております。冒頭は以上になります。

2.質疑応答

(問)不適切保育の件数についてお伺いします。市町村が不適切保育と事実を確認したのは914件ということでした。この数字に対する大臣の受け止めをお聞かせください。

(答)先ほどの話に重なりますけれども、やはり、虐待等はあってはならないことだと思います。1件であっても、やはり望ましくないわけでありますから、政府として万全な対応を取らなければいけないと思っております。
したがいまして、先ほど申し上げたような対策を速やかに講じてまいりたいと思います一方で、やはり大半の保育所等の施設におきましては、保育士等の皆様方が真摯にこどもと向き合って、真剣に適切に保育をされているということも確認されましたので、そのことも強調させていただきたいと思っております。

(問)今回取りまとめられたガイドラインのポイントを教えていただけますでしょうか。

(答)ガイドラインのポイントは、幾つかあると思います。まず、「不適切な保育」に関して明確化したというものもありますし、例えば、今回の裾野市の事案で対応の遅れが一部で指摘されております。
そういった中で、ガイドラインにおきましては、保育所等に求められる対応といたしまして、こどもの人権擁護の観点から「望ましくない」と考えられるかかわりに改善が見られない場合等には、「虐待等」に該当するかどうかを確認すること。
また、「虐待等」と疑われる事案であると保育所等として確認した場合には、市町村等へ相談することなどをお示しいたしました。
また、自治体も速やかに対応しなければいけないということでありまして、今回策定したガイドラインにおきましては、自治体に求められる対応として、保育所等から相談や通報を受けた場合には迅速に方針を協議し方針を定めること、「虐待等」と判断した場合には市町村の組織全体として速やかに事案を共有し、都道府県とも連携し、改善勧告等を速やかに行うことなどをお示ししているところであります。
また、園に通うこどもたちの保護者への対応に万全を期してほしいという御指摘も裾野市の事案を踏まえてございました。
そういった中で、今般策定したガイドラインにおきましては、保育所と自治体双方に求められる対応といたしまして、「虐待等」の事案が発生した場合には「虐待等」の対象となったこどものみならず、その他のこどもも含め十分な心のケアを行う必要があること、「虐待等」が行われた経緯や、今後の保育所等としての対応方針等について保育所等を利用するこどもの保護者に対しても丁寧に説明し、理解を得ることが重要であることとお示しをいたしました。
そういう意味では、大変遺憾であります事案に対しまして、しっかり教訓を踏まえて、今回ガイドラインをつくらせていただいたということでございます。

(問)今、法改正のお話に触れられましたが、スケジュールとしては来年の提出という感じで見込んでいらっしゃるのでしょうか。スケジュール感をお願いします。

(答)児童福祉法改正も含む制度的対応に関しましては、今後の検討状況次第でありますけれども、担当大臣としてはできる限り速やかに実現させていただきたいと考えております。

(以上)