こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議(第1回) 令和5年6月27日(火)午後5時30分から午後7時15分まで ○羽柴参事官 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」の第1回会議を開催いたします。  事務局を務めます、こども家庭庁長官官房参事官の羽柴でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は小倉將信こども政策担当大臣に御出席いただいておりますので、大臣から御挨拶をいただきたいと思います。お願いいたします。 ○小倉大臣 ありがとうございます。こども政策担当大臣の小倉將信です。  本日は御多忙の中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。  会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。  令和3年12月に閣議決定されました「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」におきましては、教育・保育施設等やこどもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等について証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討を進めるとしております。  これを受けまして、こども家庭庁におきまして、これまで検討チームを設置した上で、職業選択の自由やプライバシー権との関係を含む法的論点の整理や、証明のための具体的な手続やシステムの在り方等について検討を進めてきたところであります。  このたび、検討をさらに加速化させるため「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」を開催することといたしました。  会議では、日本版DBS制度の必要性や、制度設計における留意点及び論点について議論していただくことを予定いたしております。  この会議には、座長を務めていただく予定の内田先生をはじめ憲法・情報法、労働法、刑事法、そして、民法といった法学の有識者、こども家庭福祉や児童心理関連の有識者、弁護士、保護者代表、地方団体の方々にも構成員として加わっていただきました。皆様の御知見を生かした多様な観点からのかったつな御議論に期待を申し上げます。  今後丁寧に議論を進めていく必要はありますが、可能であれば、次の国会での法案提出を目指して検討を進めてまいりたいと考えております。  性犯罪・性暴力はこどもの心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。こどもたちの安全に関わる大事な制度検討でありますので、構成員の皆様方にはどうぞ積極的な議論への御参加をお願い申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○羽柴参事官 それでは、ここで報道の方におかれましては、御退室のほどよろしくお願いいたします。 (報道関係者退室) ○羽柴参事官 それでは、本会議を開催いたします、こども家庭庁成育局長から一言御挨拶を申し上げます。 ○藤原局長 こども家庭庁成育局長の藤原でございます。  大臣から冒頭御挨拶をいただきましたように、この日本版DBS制度、論点は多岐にわたろうかと思います。先生方の御助言、御議論、どうぞよろしくお願いいたします。  また、オブザーバーとして出席していただいている各府省庁の皆様方、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 次に、今回初回でございますので、それぞれ構成員の方々、簡単に御所属とお名前を伺えればと思っております。  構成員を記載させていただいております有識者会議の名簿、これは五十音順となってございます。  本日につきましては、川出構成員におかれましては、御都合により御欠席と伺っております。また、磯谷構成員におかれましては、会議の途中から御出席いただくこととなっております。  そういたしますと、上から順番で恐縮でございますけれども、まず、内田貴構成員からよろしくお願いいたします。 ○内田構成員 内田貴と申します。  以前、大学に勤めておりまして、その後、法務省勤務を経て、現在は弁護士をやっております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 次に、小國構成員、お願いいたします。 ○小國構成員 小國美也子でございます。  鎌倉女子大学子ども心理学科に所属しております。小児科が専門でございます。  参加がオンラインになったことをおわび申し上げます。失礼いたしました。  以上です。 ○羽柴参事官 では、神吉構成員、お願いいたします。 ○神吉構成員 本日はオンラインで失礼いたします。東京大学で労働法を担当しております、神吉知郁子です。よろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 宍戸構成員はまだオンラインに入っておられないようでございますので、また後ほどと思います。  続きまして、濱田構成員、お願いいたします。 ○濱田構成員 大阪府高槻市長の濱田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○羽柴参事官 続きまして、比嘉構成員、お願いいたします。 ○比嘉構成員 日本PTA全国協議会から参りました、比嘉です。  保護者代表かと思っています。よろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 続きまして、普光院構成員、お願いします。 ○普光院構成員 保育園を考える親の会で現在顧問をしております、普光院と申します。  いろいろ保育に関するものを書いたり話したりしておりますが、その一方で、大学で児童福祉も教えておりますので、そういった立場から参加させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 日本社会事業大学専門職大学院の宮島と申します。  社会福祉士です。現場の人間としてのアイデンティティーを持っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 宮脇構成員、お願いします。 ○宮脇構成員 鳥取県の町村会長をいたしております、湯梨浜町長の宮脇でございます。至りませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 山下構成員、お願いいたします。 ○山下構成員 奈良県知事の山下真でございます。  知事になる前は、弁護士や奈良県の生駒市長をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 構成員の皆様、どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、こども家庭庁の出席者を紹介いたします。 ○浅野審議官 審議官をしております、浅野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○黒瀬審議官 審議官の黒瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○齋藤課長 成育局の総務課長をしております、齋藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○尾崎課長 支援局の総務課長をしています、尾崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○羽柴参事官 ありがとうございます。  次に、当会議の座長について御説明をいたします。  当会議の座長につきましては、こども家庭庁成育局長の指名ということになりますけれども、早稲田大学特命教授、東京大学名誉教授、そして、弁護士であらせられます内田貴構成員にお願いをさせていただいております。  それでは、ここからの進行は内田座長にお願いいたします。 ○内田座長 内田でございます。  力不足ではございますけれども、御指名ですので、御参加の専門家の皆様の御助力を得ながら、座長の務めを果たしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、当会議の開催経緯等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○羽柴参事官 それでは、当会議の開催経緯について御説明をいたします。  令和3年の第204回通常国会におきまして、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が成立いたしました。この法律におきましては、教育職員等による児童生徒性暴力等の禁止、児童生徒性暴力等の防止・早期発見・対処に関する学校やその設置者等が講ずる措置、児童生徒性暴力等を行ったことにより、教員免許状が失効又は取上げ処分となった特定免許状失効者等に関するデータベースの整備、特定免許状失効者等に対する免許状の再授与の審査等について規定されました。  また、同法の附帯決議におきまして、教育職員等以外の職員、部活動の外部コーチ、ベビーシッター、塾講師、高等専門学校の教育職員、放課後児童クラブの職員等の免許等を要しない職種につきましても、児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度が必要であるとされておりまして、その検討に当たっては、イギリスで採用されているDBS制度も参考にして、教育職員等のみならず児童生徒等と日常的に接する職種や役割に就く場合には、採用等をする者が、公的機関に照会することにより、性犯罪の前科等がないことの証明を求める仕組みの検討を行うこととされました。  そして、令和3年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」におきまして、教育・保育施設等やこどもが活動する場(放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、部活動など)等において働く際に、性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、日本版DBSの導入に向けた検討を進めるとされたところです。  また、令和4年の第208回通常国会において成立した児童福祉法等の一部を改正する法律におきまして、保育士について、欠格事由の期間が伸長されたほか、児童生徒性暴力等を行ったことにより登録を取り消された者の再登録やデータベースの整備等について、教育職員等についてと同様の規律が設けられました。  そして、その附帯決議、特に参議院厚生労働委員会の附帯決議では、いわゆる日本版DBS制度の導入に向けた検討を加速することとされております。  このように、こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みにつきましては、その導入に向けた検討が必要でありますところ、これを進めるため、こども家庭庁成育局長が学識経験者及び実務者等の参集を求めて「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」を開催することといたしました。  次に、当会議の運営につきましてですが、会議自体は非公開とすることとし、資料及び議事録は原則として公表することといたしますが、座長が特に必要と認めるときは、これらの全部又は一部を公表しないことができるものといたします。  次に、スケジュールについてですが、本日の第1回会議におきましては、当会議の趣旨説明、教育・保育施設等やこどもが活動する場等におけるこどもの性被害からの安全を確保するための関係省庁の現状の施策についての説明、被害当事者の方からのヒアリング等を行うことを予定しております。第2回会議以降は、7月以降順次開催し、ヒアリングを行うとともに、皆様に御議論いただくことを予定しております。  経緯等の説明は以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  ただいま御説明がありましたこの会議の開催につきまして、御質問などございましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。特に御発言はありませんでしょうか。  ありがとうございます。  続けて、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○羽柴参事官 続きまして、資料について御説明いたします。  お手元に配布資料の資料1から資料11まで、それから、参考資料1から参考資料6までをお配りしております。  御確認いただきまして、もし不足等がございましたら係までお申し付けいただければと存じます。  それでは、配付資料について御説明をいたします。  初めに、資料1は、先ほど御説明いたしました当会議の開催要綱でございます。  資料2は、令和3年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」の抜粋でございます。  3ページに、日本版DBSの導入に向けた検討を進めることが記載されております。  資料3は、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の概要資料でございます。  次に、資料4は、特にそのうち日本版DBS関係部分の概要及び附帯決議を抜粋した資料となります。  次に、資料5は、先ほど御説明しました児童福祉法等の一部を改正する法律の概要資料でございまして、資料6は、児童福祉法の一部改正の中でも特に日本版DBS関係部分の概要及び附帯決議を抜粋した資料でございます。  資料7は、性犯罪等に関する資料でございます。  その中で、資料番号1は、性犯罪に係る通常第一審事件で懲役刑が確定した者の数につきまして、昭和45年から令和元年までを掲載したものです。  次に、資料番号2は、令和3年における20歳以上の刑法犯検挙人員について、罪名別に前科の有無別構成比を示したグラフです。強制わいせつで検挙された者のうち同一罪種有前科者、つまり、強制わいせつの前科を有する者の割合は7.5%です。また、強制性交等で検挙された者のうち同一罪種有前科者の割合は3.9%となっています。  資料番号3は、平成17年から令和3年までの刑法犯全体の検挙人員に占める有前科者の比率を示したグラフです。緑色の折れ線グラフが、検挙者のうち前科を有している者の割合、オレンジ色の折れ線グラフは、同一罪種有前科者の割合です。  資料番号4は、同じく平成17年から令和3年までにおいて、強制わいせつによる検挙人員に占める有前科者を示したグラフです。濃いピンク色の棒グラフが、強制わいせつによる検挙人員中強制わいせつの前科を有している者の人数であり、オレンジ色の折れ線グラフは、その割合を示しています。  資料番号5は、強制性交等について同様に示したグラフです。  資料番号6は、資料番号4の強制わいせつと資料番号5の強制性交等をいわば合わせたものでございまして、いずれかにより検挙された者について、強制わいせつ又は又は強制性交等の前科を有する者の率を示したものです。その率について、平成21年から令和3年までの各年を平均いたしますと、9.6%となっています。  資料番号7及び8は、一般に再犯率が比較的高いと言われる窃盗犯と薬物犯について参考につけたものでございまして、資料番号7の窃盗は令和3年で20.2%であり、資料番号8のうち覚醒剤取締法違反は令和3年に68.1%となっています。  次に、資料番号9は、再入受刑者の再入罪名ごとの前刑罪名構成比でございます。平成18年から令和2年までに刑務所に収容された受刑者のうち入所が2回目以上の者について、今回の受刑に係る罪名、再入罪名と、前回受刑時の罪名、前刑罪名を調査したものになります。縦に並んでいる再入罪名のうち、一番上の強制わいせつを見ていただきますと、横に並んでおります前刑罪名も同じく強制わいせつであった者の割合は29.5%、前刑罪名が強制性交等であった者の割合は11.2%となっています。同じく、今回の罪名が強制性交等の欄を見ると、前刑罪名が強制わいせつであった者が9.4%、前刑も同じく強制性交等であった者が28.2%となっています。  資料番号10は「性犯罪に関する総合的研究」の特別調査から抜粋したものでありまして、性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受け、平成20年7月1日からの1年間に裁判が確定した者1,791人を対象に、性犯罪前科の有無別構成比を示したグラフになります。ここでは性犯罪に条例違反が含まれておりますけれども、それらの前科がある者の割合は31.9%となっています。  資料番号11も同じ特別調査から抜粋しているもので、性犯罪者の再犯率を表したグラフです。資料番号10と同じく、1年の間に性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受け、裁判が確定した者を前提とし、そのうち、死亡した者等の一定の者を除いた対象者につきまして、裁判確定から5年経過時点における再犯の有無を示しております。その総数欄を御覧いただきますと、構成比の赤い部分が刑法犯の性犯罪の再犯があった者で3.4%、オレンジ色の部分が条例の再犯の割合で10.5%となっています。また、総数の内訳となる類型ごとのグラフがその下に記載されております。  資料番号12は、平成22年から26年までのうちに矯正施設に再入所した者のうち前刑罪名も再入罪名も性犯罪であるという者の再犯期間別構成比を示しています。この再犯期間は前刑出所日から再入の受刑に係る罪を犯した日までの期間を指しています。  次の資料番号13は、令和3年度に性犯罪で有罪判決が確定した者の性犯罪による直近有罪確定日から今回の有罪確定日までの期間について示したものです。  次の資料番号14は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規則及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反に係る検挙者と被害児童数の推移を示したものです。  統計資料は以上でございます。  続きまして、資料8は、イギリス、ドイツ、フランスにおける犯罪歴照会制度をまとめた資料です。  まず、この中の資料1ページ目は、イギリス、ドイツ、フランスの3か国の各制度の沿革概要をまとめたものです。  次に、2ページ目からは、イギリスの制度について記載したものです。制度の概要としては、基本的に職種にかかわらず使用者が被用者の犯歴照会を求めることができることとなっております。ただし、こどもに関わる職業又は活動を行う使用者は、こどもに対する性的虐待等の犯罪歴がある者を使用することは犯罪と定められているため、こどもに関わる職種の使用者において被用者の犯歴照会を行うことが義務化されています。  次に、3ページ目です。犯罪歴のチェックには4種類あります。職種によって利用するチェックが異なりますが、基本チェックというチェックはどの職種であっても利用できます。4種類はそれぞれ掲載される内容が異なり、一番右側の就業禁止者リスト付拡張チェックが掲載範囲の最も広い証明書となっており、こども関連職種等について、規制対象活動かどうかにより違いがありますが、拡張チェック又は就業禁止者リスト付拡張チェックの証明書による確認をする必要があります。  4ページ目は、証明書発行フロー概要図となります。  5ページ目は、就業禁止者リスト付拡張チェックの対象となる職に関する記載、証明書に掲載される犯歴期間の記載をしております。  次に、6ページ目からは、ドイツの制度についてのものです。ドイツでは、全職種で利用可能な証明書である単純無犯罪証明書、それから、拡張無犯罪証明書というものがあり、保育等に関する者の雇用や配置の際は拡張無犯罪証明書を確認すべきこととされ、性犯罪歴等の特定の犯罪の有罪判決を受けた者を一定の職に雇用等してはならないとされています。  7ページ目には、証明書に記載される犯歴期間や証明書のフロー図等を記載しております。  次に、8ページ目からは、同様にフランスの制度についてのものです。フランスでも全職種で利用可能な証明書があるほか、こどもと関わる職種ではより掲載範囲が広いものと、それから、性犯罪歴等に特化した登録情報が利用されることとなっています。  9ページ目には、証明書発行のフロー図や掲載期間を記載しております。  次の資料に移りまして、資料9は、各国における性暴力の件数及び推計人口10万人当たりの発生件数が記載されたものとなっております。  資料10は、議論のテーマ案です。  当会議におきましては、特に日本版DBS制度の必要性や制度設計における留意点等について御議論いただきたいと考えております。留意点につき例を記載しておりますが、その他の点も含めまして論点整理ができればと考えております。また、併せて他の取組を行うべきであるかということも対象になり得ると考えております。  最後に、資料11は、スケジュール案です。こちらのようなスケジュール案を考えているところでございます。  また、参考資料が1から6までございますが、そちらは適宜御参照いただければと思います。  事務局配付資料の説明は以上となります。 ○内田座長 ありがとうございます。  大変大部ではありますけれども、よく見ると非常に興味深い資料を集めていただきました。この段階でただいまの事務局からの説明に関しまして、御質問等ございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。  宮島さん、お願いします。 ○宮島構成員 宮島でございます。  時間がない中ですので、もし後で説明等があるのであればそのときお答えいただきたいと思います。統計や海外の様子も詳しく教えていただきまして、ありがとうございます。まだ十分理解できていないところばかりなのですが、性犯罪ですね。この再犯率が幾つかの統計表で示されていますが、この問題を考えるに当たって、ネット等なのですが、信頼できるサイト等で見てみますと、再犯率が非常に高いのだという御指摘がありました。それらを見て受けた印象と、ここで今、お示しいただいた統計表との間では、少し印象が違うと感じました。再犯率が高いか低いか、それがどの程度のものかというのは議論の全体に関わることだと思いますので、一般に示されて国民の皆様にも目に触れるような統計とここに示されている統計の一致不一致について、少し補足で御説明いただけたらありがたいと思います。お願いできますでしょうか。 ○内田座長 ありがとうございます。  では、今の時点でお答えできることはありますでしょうか。 ○羽柴参事官 お答えいたします。  今、御指摘いただきました、ただいまの配付資料中の再犯率という点につきましては、配付資料7の資料番号11というあたりを御覧いただいたものだと思います。こちらの11を開いていただきますと、ここに書いてある数値、これをどのように評価するかという点は別といたしましても、こちらにつきましては、先ほど申し上げましたような特別調査をいたしまして、その中で5年の間に再犯があったかを実際に調査した結果になっております。  ただいま御指摘いただきましたように、他の数値、例えば八十何%とか、そういうような数値が指摘されることがあることも承知しております。特によく言われるものといたしまして、84.6%といった数字が挙げられて説明されることがあると思います。それにつきましては、ただいま御覧いただきました資料番号11にあります「性犯罪に関する総合的研究」の中で、同じく行った特別調査の中のものとして出てくるものでございます。それは、性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受けて、一定の期間内に裁判が確定した者、これを対象にしている、そこまで同じでございますけれども、その全対象者のうち調査の対象として適合しないとして、一部除外する部分があるといたしましても、その全体の母集団は同じだといたしまして、その中で性犯罪の前科を有していた者をピックアップしての調査になります。  更に申しますと、調査対象事件それ自体が性犯罪の有罪判決を受けて確定したというものなのですけれども、それ以前に2回以上の性犯罪前科がある者をピックアップしております。そういう者は86名いたということなのですけれども、そのようにピックアップした性犯罪で3回以上の有罪判決の経験がある者について、性犯罪中どのような類型の性犯罪に及んだのかを分類し、それが以前の前科のときも今回と同じような型の性犯罪だったのか、それとも性犯罪だけれども違う型なのかを見た、そういう調査になります。  先ほど申し上げました84.6%といいますのは、性犯罪前科3回以上の者のうち、今回が小児わいせつ型の対象者、それは13名いたのですけれども、その13名のうち、前に行っていた性犯罪の類型が同じく小児わいせつ型の前科があった者が84.6%で、以前の前科の性犯罪はそういう型ではない性犯罪であった者が15.4%だった、このような数値です。したがって、全体として整合性がないということではなくて、別の数値を取り上げたというものになろうかと思っております。  以上です。 ○内田座長 ありがとうございます。  ただいまの御説明でよろしいでしょうか。 ○宮島構成員 もう少し調べてみます。ありがとうございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。オンラインも特にはおられないですかね。  どうもありがとうございます。  大変大部な資料ですので、また御覧になって御疑問などありましたらお出しいただければと思います。  現在の段階では取りあえず以上で質問については終了させていただきまして、次の議事に移らせていただきます。  議事次第にありますように、まずは関係省庁から、教育・保育等やこどもが活動する場等におけるこどもの安全を確保するために現在取り組まれている各施策について御紹介をいただきたいと思います。  まずは文部科学省から御説明をいただきます。お願いいたします。 ○文部科学省 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長をしております、安里でございます。  私から文部科学省における性犯罪・性暴力対策への取組について御説明いたします。途中、皆様の関心が深いと思われる部分について、担当が替わりまして御説明させていただくことをお許しください。  性犯罪・性暴力対策でございますけれども、お手元の資料2ページを御覧いただければと思います。性犯罪・性暴力対策については、こちらの経緯のところに書いてございますが、令和2年に「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を政府として定めまして、まず集中的に集中強化期間として2年度から4年度まで取り組んだ後、この3月に改めて更なる強化の方針を出して取り組んでいる、これが政府の全体像でございますが、文部科学省で担当している部分はこの資料の下の方、蛍光黄色で3か所引いてございますが、この3つが大きく担当している部分でございます。このうち一つの「わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分と再発防止」、羽柴参事官からも丁寧に御説明があったところでございますけれども、そちらについては後で担当を替わりまして御説明させていただきます。私からは、学校における相談体制と発達段階に応じた教育・啓発について御説明させていただきます。  次のページでございますが、まずは学校における相談体制でございます。性暴力等の被害に遭った児童生徒のケアをしていくこと、非常に重要だと思っております。そうしたケアに当たっては、担当を1人だけという形ではなくて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門人材と教師が連携をして「チーム学校」という言い方をするのですが、そういう形で対応していくことが重要と考えております。令和5年度の予算資料をお持ちしておりますが、令和5年度予算においては、スクールカウンセラーについて、基礎配置分という言い方をしておりますが、全ての公立小中学校、こちらに配置しようということで、2万7500校分予算確保しておりまして、週1回おおむね4時間の配置分を計上しております。加えまして、学校は様々状況が変わりますので、重点配置という仕組みを持っております。いじめ、不登校、虐待、貧困等そういうポイントを押さえまして、そういうところには厚めに配置をするという予算の計上の仕方をしております。また、この資料の一番下の方、オンライン活用拠点というところも置いておりますが、オンラインを活用した広域的な支援体制の整備にも取り組もうということで、こちらも必要な予算を計上しております。  文部科学省においては、まず学校に来ていただいている児童生徒に対して、そのような体制を取っておるところではございますけれども、こうしたスクールカウンセラーによる対面やオンラインでの相談以外にも、例えば妊娠したとか、そういういろいろな悩みが児童生徒はあると思いますけれども、そういう生徒がいつでも相談できるようにということで、この事業とは別に「24時間子供SOSダイヤル」という事業を実施しております。各教育委員会等で実施いただいておりますが、ポスターの掲示等によって各学校に周知をしていただいているほか、併せてチャットなどSNSを活用した相談体制の整備も図っているところでございます。文部科学省としては、今後も悩みを抱える児童生徒がいつでも相談できるよう、引き続き相談体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  続いて、もう一つ、性犯罪・性暴力の対応として実施している取組としてぜひ御紹介したいのが「生命(いのち)の安全教育」というものでございます。こちらはまさに令和2年度の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」、この中から生まれてきた取組でございますけれども、まず、内閣府さんと文科省で連携をしまして、有識者の意見も聞きながら「生命(いのち)の安全教育」、次のスライドで具体の教材も一部御紹介いたしますが、教材を開発いたしまして、指導の手引も作りまして、これによってこどもたちを性犯罪・性暴力の加害者にもしない、被害者にもしない、傍観者にもしないぞと、そういう教育を推進しているところでございます。  今、見ていただいているスライドの下のほうにも「教材の主な内容」というところがございますが、こどもたちは発達段階がありますので、そこに応じて工夫をしているのですが、例えば幼児期を見ていただきますと、水着で隠れる部分、これは大切なところなのだよということを教えることによって、例えば小さい子は性被害に遭っていても認識できないということがありますが、何か嫌だなと思っていた、これはよくないことなのだとまず気づいてもらって、被害者にならないように、そういうことを体験したら声を上げていいのだよというのも伝えていきます。当然加害者にもならないように、そういうところは触っちゃいけない部分だとか、学年が上がってきますと、同意がないといけませんよということも入れていきますので、独り善がりになってはいけないということも含めて伝えていくのと、友達が悩んでいたら声をかけようとか、信頼できる大人に相談していこうということで、傍観者にもならず必要な支援につなげていこうということを伝えていく事業という形になっております。これは何科で教えるという決まりはございませんで、各学校で工夫していただいて展開していただきたいということで、令和2年度に教材を作りまして、3年度からモデル事業という形で各地で展開をしてまいりました。  令和5年度からは、今年度からですね、より一層推進しようということで、全国フォーラムなども開催しながら、全ての学校でこどもたちにちゃんと性犯罪・性暴力から身を守る術を身につけていただくということに取り組んでいきたいと思っております。  こちらで担当が替わりまして、次の資料からわいせつ教員の対応の御説明をさせていただきます。 ○文部科学省 失礼いたします。文部科学省教育人材政策課教員免許・研修企画室長をしております、樫原と申します。  私から教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律について御説明をします。先ほどこども家庭庁さんからも法の概略について御説明をいただきましたので、それを補足するような形で御説明、特にデータベースの部分を中心に御説明をさせていただきます。  資料7ページを御覧ください。2段目の右側に、この法律の対象となる児童生徒性暴力等の定義が記載されております。法律上この①から⑤までの類型が規定されておりますが、こちらは現在の運用上、教員の世界では懲戒免職処分の対象となり得る行為を条文で列挙してございます。その際には、刑事罰とならない行為も含み、児童生徒等の同意や暴行・脅迫等の有無を問わない、こういったものを広く児童生徒性暴力等の定義に含めております。  続きまして、8ページを御覧ください。主にデータベースについて御説明をさせていただきます。データベースについては、この経緯としまして、データベース関連は令和5年の4月1日から施行されたところでございますが、この法律の第15条に基づき、特定免許状失効者等、これは児童生徒性暴力等を行ったことにより教員免許状が失効又は取上げとなった者についてデータベースを整備するとともに、教育職員等を任命・雇用しようとするときは、データベースの活用義務が発生することになります。保育士についても、令和4年の児童福祉法改正により、教員と同様の仕組みが導入されたと承知しております。  このデータベースの内容ですけれども、まず、このデータベースに登録される者は、教員免許を持っている人のうち、児童生徒性暴力等を行ったことにより、学校を懲戒免職・解雇となり、免許状が失効・取上げとなった者、禁錮以上の刑に処せられ、免許状が失効した者、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められ、免許状が取上げとなった者ということになっております。この児童生徒性暴力等を行った際に、現職でない者若しくは教壇に立ったことがない者についても、3つ目の要件に従って、各教育委員会が状況を把握すれば、各都道府県教育委員会で取上げ処分を行うということになります。  続いて、主な記録内容ですけれども、氏名、本籍地、生年月日、免許状の番号、授与権者、失効年月日、それから、官報に公告することになっておりますので、官報公告日、それから、該当事由についても記載をされております。それから、法律上、原因事実を記載することになっておりますが、この原因事実については、個人情報保護の観点も踏まえ、個人情報保護委員会等とも協議をした結果、この原因事実の該当号を記載することになっております。  続きまして、このデータベースには、当面少なくとも40年分のデータを記録するということになっております。  データベースに登録を行う者は、教員免許状を発行するのは都道府県の教育委員会に限られますので、都道府県の教育委員会がデータベースに登録することになります。  続きまして、このデータベースを誰が活用するかという点ですが、教育職員等を任命又は雇用をしようとする者ということですので、これは公立学校の場合では教育委員会になりますし、私立学校では学校法人、国立では国立大学法人等が対象となっております。  個人情報保護との兼ね合いで主な安全管理措置を設けておりまして、これは法7条の規定により、もともと「教育職員等を任命し、又は雇用しようとするとき」に限って検索が可能となっておりますので、検索対象も当然採用希望者等に限定するよう運用しております。それから、業務マニュアル等を策定し、適切な利用条件や利用場面の限定、安全管理措置、事故発生時の報告などを徹底します。それから、組織内において当該データベースを使用できる者を採用責任者等に限定をするということで、ユーザーの操作ログを監視し、適正な利用を指導するということになっております。  実際にこのデータベースを検索した結果、このデータベースの活用により特定免許状失効者等であることが分かった場合についてですけれども、これは一律採用しないということには法律上なっておりませんが、その情報を端緒として採用面接等を通じ経歴等のより詳細な確認を行うなど、法の基本の理念にのっとり、十分に慎重に適切な任命又は雇用の判断を行う必要があります。それから、この法律の趣旨を踏まえて、少なくとも当該希望者が児童生徒性暴力等を再び行わないことの高度な蓋然性が必要であります。このとき、任命又は雇用を希望する者が、児童生徒性暴力等を再び行わないことの高度な蓋然性が認められなかったにもかかわらず任命又は雇用した場合については、任命権者等については、損害賠償の責めを負うことがあり得ることに留意が必要であるという点を、文部科学大臣がこの法律に基づき作成する指針の中に記載をしております。  説明は以上です。 ○内田座長 文部科学省の御説明をどうもありがとうございました。  続きまして、警察庁の担当者から御説明をお願いいたします。 ○警察庁 警察庁の人身安全・少年課長の阿波と申します。よろしくお願いします。  それでは、資料の2ページを御覧いただければと思います。初めに、最近の統計を踏まえた現状でありますけれども、まず、刑法犯である強制性交等と強制わいせつについて、少年が主たる被害者となる強制性交等、強制わいせつの認知件数の推移ですが、グラフのとおり、昨今、減少傾向にありました。ただ、最近は2年連続で増加に転じており、令和2年以降は増加に転じている状況になります。  次のページ、これは先ほどの刑法ではなく、児童買春事犯、児童福祉法、青少年保護育成条例に係る検挙件数・検挙人員・被害児童数の推移であります。令和元年以降、いずれも減少傾向にあり、令和4年は児童買春・児童ポルノ禁止法が制定された平成11年以降も最少ですが、依然として多くの児童が被害に遭っている状況にあると思います。この下側の棒グラフは令和4年の件数について罪種別に内訳を示したもので、青が児童買春、小さいオレンジ色が児童福祉法の淫行させる行為、緑が青少年保護育成条例という検挙の罪種別になっているところであります。  次のページ、これは児童ポルノ事犯ですが、これは検挙件数・検挙人員・被害児童数、いずれも増加傾向にあります。令和4年は検挙件数・検挙人員は児童買春・児童ポルノ禁止法が制定された平成11年以降では3番目に多く、被害児童数は2番目に多くなっている状況です。右肩上がりという状況です。  次のページですが、これは児童ポルノ事犯に係る被害児童の学職別・被害態様別の割合であります。一番左の円グラフは、被害児童の学職別割合ですが、中学生が一番多くて39.8%、高校生もほぼ同数でありまして、2つ合わせて全体の約8割を占めている状況であります。その右隣の円グラフは被害態様別であり、被害態様別の割合は、過去10年で見てもいずれの年も「児童が自らを撮影した画像に伴う被害」が多くて、4割程度を占めている状況です。  次のページですが、これは児童ポルノ事犯に係る被疑者の年代別・学職別・違反態様別の割合です。これは被害者ではなくて被疑者です。検挙した被疑者の方の数値について、令和4年を平成25年と見比べてみますと10代の被疑者の増加は非常に多くなっている状況です。そして、その10代の中でも高校生が非常に多くを占めている現状であります。  次のページです。近年、児童のスマートフォンの保有率が増加しています。このグラフは、SNSで知り合った者から犯罪の被害に遭う事犯がこれに伴って増加していることを示すものであります。SNSに起因する事犯についての被害児童数の推移をみると、令和元年まではずっと増加傾向にありました。令和4年中は前年からは減少しているものの、平成28年以降、おおむね1,800人前後と高い水準で推移しています。詳しい罪種別はグラフのとおりであります。  このうち青いところについては「重要犯罪」というくくりになっているのですけれども、これについて次のページでさらに詳細に内訳を見てみますと、これも非常に年々増加傾向にあり、中でも「略取誘拐」が大幅に増加している傾向にあります。  次のページを御覧下さい。このSNSに起因する事犯について、SNSを通じて被害児童と被疑者が知り合うわけですけれども、その知り合うきっかけとなった最初の投稿者の割合は被害児童が多くを占めています。左側の円グラフの青の部分が被害児童を示しており、被害児童の投稿がきっかけとなって被害に遭ってしまうことが非常に多いことがわかります。要は、被疑者が被害児童の投稿を見て接触を図っている割合が多いことを意味しているわけです。さらに、この右側の円グラフを見てみますと、この被害児童の投稿内容の内訳のうち、赤い線で囲ってあるところなのですけれども、「プロフィールのみ」だったり「趣味・嗜好」といった、一見してSNSに起因する事犯に巻き込まれるとは考えにくい、通常の書き込みをしたりして、そこからダイレクトメール等で被害に遭っている傾向が見受けられます。ともすれば、例えば右側の「援助交際募集」とか「出会い目的」の書き込みによる被害が多いように思いがちですが、実はそうではなく、通常の書き込みで被害に遭っているということです。  次のページは、警察における取組についてです。まず1つ目は「被害状況に即した取締り」であります。刑法犯もそうですけれども、特に児童買春・児童ポルノ禁止法違反や児童福祉法、青少年保護育成条例違反等による児童の性的搾取等事犯に対する取締りを強化して行っているところであります。また、児童が被害者である事件については、検察、児童相談所等と連携をして代表者が聴取する取組を行うなど、児童の負担軽減のための取組を推進しております。  2つ目は「相談への適切な対応」です。性犯罪は被害の申出をためらう場合も非常に多いものでありますことから、間口を広く安心して警察に相談できることが重要だと思っております。したがって、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国の共通番号「#8103」、「ハートさん」と呼んでいますが、これを導入して相談しやすい環境整備に努めるほか、また、利用者の相談内容に適した相談窓口への案内をサポートする「ぴったり相談窓口」やあるいは都道府県警察において「ヤングテレホンコーナー」等の名称で少年相談窓口を開設して、少年及び家族からの相談に応じているところであります。  3つ目は「被害に遭わないための取組」です。SNS事業者団体等の関係機関と連携した広報啓発、ツイッターを対象とした注意喚起、それから、個別のSNS事業者に対してそのプラットフォームを用いてどのような犯罪が起きているかを情報提供するなど、事業者による自主的な取組の支援、あるいはこどもの性被害の発生が多いホテル、ラブホテル等に対する再発防止等の指導を行ったりもしているところであります。これらの活動を通じて、こどもの性被害防止に努めていきたいと考えております。  説明は以上です。 ○内田座長 警察庁からの御説明、どうもありがとうございます。  最後に、こども家庭庁において取り組んでいる施策についても御紹介をいただきたいと思います。  まずは、支援局における施策につきまして、尾崎守正総務課長から御説明をお願いいたします。 ○尾崎課長 こども家庭庁の支援局総務課長でございます。  支援局では、保護者のいない児童や虐待等によって親と一緒に過ごすことができない児童、こういった児童に対して施設等で養護する取組をしているところでございます。本日はそういった社会的養護の施設に入所している児童に対して、施設等職員が虐待を行う、こういったことを防止するための取組、こちらについてお話をさせていただければと思います。  1番のところでございまして、こちらは制度的な対応になっております。被措置児童等の虐待防止につきましては、法改正をして対応しているところでありまして、施設等職員による性的虐待も含めた虐待の禁止、また、虐待を見つけた場合は都道府県等へ通告をする義務、こういうものを設けてございます。また、通告を受けた都道府県におきましては、事実確認を行うとともに、必要に応じて児童を守るための措置を講ずる、こういったことを制度的に義務付けているということでございます。  2つ目の○になりますが、その具体的な運用、こちらをうまくいかせるために、国においてはガイドライン等も作成をさせていただきまして、自治体向けに周知をしているところでございますし、毎年度の虐待等の件数等も集計・公表しています。数字は次のページ以降にございますので、後ほど見ていただければと思いますが、令和2年度の実績でいいますと、370件程度の通報がありまして、そのうち虐待があると認められたものが120件程度、うち性的虐待と認められたものが16件と、このような状況になってございます。  こういった取組の運用をよりよくしていく観点から、3つ目の○になりますが、今年度の調査研究において第三者を加えた委員会の設置ですとか、検証ですとか、その結果を施設にフィードバックしていく、こういった一連の流れについてマニュアル等をつくろうということを考えてございます。  大きな2点目が、各施設での取組になります。児童福祉施設につきましては、運営なり設備の基準が設けられておりまして、その中でこどもや保護者の苦情の相談窓口、こういったものを置くことを義務付けておりますし、また、問題の解決に当たりましては、施設職員以外の者、第三者を関与させなければならない、このようなことを義務付けてございます。こういった内容を各施設の運営指針なり手引書等に記載させることなどを通じまして、この取組を進めていこうということをしてございます。  3点目、こちらはこどもの視点からの取組になります。「子どもの権利ノート」というところでございます。先ほど文部科学省さんの説明にもございましたとおり、こども自身に自らに行われた行為、自らに対してなされた行為がよくないものだということをきちんと分かってもらうことも大事な取組だと思ってございます。児童相談所が施設にこどもを入所させる際に、この権利ノートというものを渡すという取組をしています。この権利ノートでは、施設の中ではこどもの権利がきちんと守られているのだということを年齢に応じて分かりやすく説明する、そういった冊子になってございまして、こういったものの配付等も通じて施設の中にいるこどもの権利を守っていこうという取組をしているところでございます。  最後「その他」のところでございますが、一時保護等につきましても、権利擁護を進めていかなければなりませんし、昨年の児童福祉法の改正によりまして、施設等に措置する場合には、こどもの意見を聴取する、このような制度も入れたところでございます。こういったものを通じて、こどもの権利擁護を進めていきたいと思ってございます。  支援局の関係は以上になります。 ○内田座長 ありがとうございます。  続きまして、成育局における施策につきまして、齋藤潔総務課長から御説明をお願いいたします。 ○齋藤課長 それでは、こども家庭庁成育局の方からは主に2点、先ほどから何度か言及がございますが、保育所における制度的な対応の部分、それから、こどもの性被害防止に関して関係省庁の全体の取組を取りまとめておりますので、その2点について御紹介申し上げます。  保育所における性被害防止に関しまして、先ほども御紹介がありましたけれども、令和4年6月の児童福祉法の一部改正によりまして、児童生徒性暴力等を行った保育士の資格管理の厳格化に係る制度改正を行っております。データベースの部分以外の部分については、本年4月より施行をしているところでございます。  具体的には、保育士の欠格期間の延伸見直しあるいは保育士資格を取り消さなければいけない事由にわいせつ行為があることを明示するということ、あるいは児童生徒性暴力等を行ったことにより保育士登録を取り消された者が再び保育士資格を登録しようとする場合、再登録審査が必要であるといったことの制度の導入、そして、過去の登録取消事由を確認するためのデータベースを整備すること、こういった制度内容の制度改正が行われたところでございます。  さらに、これらの制度が適切に運用されるよう、保育士による児童生徒性暴力等の防止に関する基本的な指針を定めまして、基本的な考え方、それから、性暴力防止等のための啓発等の施策、早期発見、相談体制等事案への対処等を明示いたしまして、自治体及び施設の関係者等に周知を図っているところでございます。 なお、データベースにつきましては、今年度中に整備することを目指して現在準備を進めておりまして、教職員に関するデータベースの部分と基本的には同じような方向性で整備をする方向で準備を進めているところでございます。  これに加えまして、保育所等における不適切事案の調査においても、自治体で確認された虐待等の事案の中に性的虐待というものが残念ながら含まれていることもございますので、不適切事案を踏まえた対応に取り組んでおります。一方で、現行制度においては、保育所職員における虐待行為について、職員の通報義務がないなど制度的な課題も引き続きあるということでございます。  これを踏まえまして、本年5月に取りまとめました保育所等の不適切事案を踏まえた今後の対応におきましても、虐待の防止・発生時の対応に関するガイドラインを策定することに加えまして、保育所等における虐待等への対応に関して児童福祉法の改正によるさらなる制度的対応を今後検討するということとしております。  続きまして、児童の性的搾取に対する対策の関係省庁における議論の取りまとめでございます。こども家庭庁では、成育局安全対策課におきまして、児童の性的搾取等に係る関係府省の取組を取りまとめる役割を担っております。政府において平成29年4月に「子供の性被害防止プラン」という形で関係府省庁の取組を取りまとめ、6つの柱に基づきまして、児童の性的搾取等に係る施策に取り組んでおるところでございます。  2022年度の防止プランにおきましては、具体的には、児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上、児童が被害者にならないための児童、家庭の支援、SNS等に着目した被害の予防・拡大防止対策、被害児童の迅速な保護、適切な支援、被害情勢に即した取締りの強化、加害者の更生、日本版DBSの記述もございますが、児童が被害に遭わないための基盤整備等について、関係府省庁と連携しながら取組を進めているところでございます。  さらに、本年6月でございますが、今、申し上げました「性的搾取に係る関係府省連絡会議」と「性犯罪・性暴力対策強化の関係府省会議」との合同会議を小倉大臣の下で開催いたしまして、こども・若者の性被害防止のための対策を強化することとしております。スピード感を持って議論を進め、7月中旬をめどとして、関係府省庁における対策の強化について取りまとめることを目指して議論を行っているところでございます。  以上でございます。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  関係省庁から大変盛りだくさんで充実した御報告をいただきました。盛りだくさんの内容ですので、いろいろな御意見、御質問はあろうかと思いますが、後で御意見をいただく時間を取りますので、各省庁からの施策についての御紹介はこれで終わらせていただきます。  この次がヒアリングなのですが、その前に、磯谷構成員と宍戸構成員に遅れて御参加いただきましたので、ここで簡単にお名前と所属の自己紹介をいただきたいと思います。  磯谷構成員からお願いいたします。 ○磯谷構成員 遅れてまいりまして恐縮です。東京で弁護士をしております、磯谷と申します。よろしくお願いいたします。 ○内田座長 ありがとうございます。  それでは、宍戸構成員、お願いいたします。 ○宍戸構成員 遅れまして大変失礼をいたしました。東京大学の宍戸と申します。  専門は憲法でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○内田座長 どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、ヒアリングに移らせていただきます。  本日は性暴力の被害に遭われた当事者の方からのヒアリングをいたしたいと思います。本日は「声を聴きつなぐ会」の平野利枝さんをお呼びしています。  ヒアリングの方法につきましては、まず、平野さんにお話をお伺いし、そして、質疑応答の時間を設けさせていただきますので、そこで御質問、御意見等をいただければと思います。  では、事務局から平野さんを御案内いただけますでしょうか。 (平野様入室) ○内田座長 どうもありがとうございます。座長の内田と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  それでは、早速ですが、平野さんから御経験やそれを踏まえてのお考え等をお話しいただきたいと思います。もしお話ししにくいこととか、あるいは御気分が悪い、悪くなるといったことがありましたら御遠慮なくおっしゃってください。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○平野様 初めまして、平野利枝と申します。  私は声を聴きつなぐ会という団体で、保育や教育現場において虐待、性暴力が行われないようにするための方法を提案しています。被害当事者として、二度と同じようにこどもが苦しまないことを願って、この場に立っております。今日はよろしくお願いいたします。  不慣れなため、メモを見ながらで大変失礼いたします。  今から30年以上前、私は小学生の頃、担任の教師から性暴力を受けました。行為は教室内、職員室、担任の自宅、修学旅行先で行われました。担任はすぐに怒鳴る威圧的な人物でした。先生の怒りを静めるとき、先生の膝の上に座らされて謝罪をさせられることが日常的にありました。私は小学校生活の中で時間をかけて先生に丁寧に手懐けられてきました。次第に学校生活だけでなくプライベートの時間も先生に支配されてきました。長い時間をかけて先生からの精神的支配を受け、教師の奴隷となるその延長に、肉体的支配、性暴力が存在をしました。  性暴力が、ある日突然、気まぐれに自然発生したわけではありません。教師と児童生徒の間に力の不均衡が存在するとき、性犯罪が発生しやすい状況だといえます。そのため、嫌悪感や拒絶感、屈辱感を感じながらも、毎日通う学校で毎日顔を合わせる先生からのその行為に、違和感を覚えづらい状況が続きました。加害者が教師という信頼性の高い職業であることも理由として加わり、先生は絶対的な存在で大人は力を持っている、間違ったことをするはずがない、こどもの自分はとても未熟で無力な存在であるから逆らってはいけない、先生に嫌われたくないとも思いました。肉体的接触を求められるのは自分のせいであると間違った認識を私は持って、これが性暴力被害、犯罪行為であることに気がつきもしませんでした。先生の言うことを聞かなければもっとひどいことになる、その恐怖がつきまとっていました。親には隠し通したいと願い、他の先生に相談するアイデアすら浮かびませんでした。私は苦しさのあまり、何度も死のうと思いました。それでも卒業すれば先生から解放されると信じて、抵抗せずに行為を受け入れ、人間として何とか生き延びることだけで精いっぱいでした。  保育や教育の現場では、加害行為が見えづらく、加害者が守られやすい、曖昧に転職を繰り返すことが可能なため、残念ながら性犯罪の温床となりやすい現実があります。また、本来こどもが持つ当たり前の権利や安心の条件を、発達段階に応じてこども自身が学ぶ機会がなく、知識やスキルを持ち合わせていないこどもが多いことも事実です。性暴力を受けると、体が凍りつき、思考も停止します。恐怖のあまり、出来事を立ち止まって確認したり疑ったりすることもできません。私も適切な学びを受けていなかったため、無力感や孤独を感じていました。そうしたことを解決するために、予防や再発防止の観点から、こどもや教育に関わる人間それぞれに向けた取組が進められることを願っています。  小学校卒業と同時に被害に蓋をして、向き合うことなく、私は大人になりました。小学生が性暴力被害を被害として認識や実感することは困難になります。被害に向き合うにはエネルギーが必要で、被害告白はハードルが高いという理由もあります。そもそも出来事を振り返り、言葉にすること自体に時間がかかります。恥ずかしい、忘れてしまいたい、そんな思いがストッパーにもなると思います。とてもデリケートな問題で、誰もが声を上げられるものではないと御理解いただきたいと思います。  私が高校2年生になったある日のこと、授業中、突然息苦しさに見舞われました。その日から様々な体調不良が続いて、私は電車に乗ることもできなくなり、学生生活続行が不可能となりました。平成に入ったばかりの時代で、インターネットがなく、身近に専門医もおらず、明確な病名がつきません。情報がなく、適切な機関につながることもできませんでした。1日の大半を横になって、ただ、天井を見つめ、呼吸をし、時計の音だけを聞いて過ごしました。日中の日差しを浴びることのないひきこもりのような状態が何年も続きました。病院を幾つも回り、家族にも大変苦労をかけました。  体調不良の原因が分からず解決方法も見つからないまま継続的に不安を抱え過ごした時間は、被害当事者の私だけでなく、家族の苦しみの歴史でもあります。また、意欲的に知識を吸収できるであろう高校生活が壊れていったことにより、今でも学歴がない、学ぶ機会を失った喪失感がつきまとっています。  当時はまだ生きづらさを抱えた人間の存在を理解し支える仕組みが構築されておらず、私は長期間にわたる体調不良により社会に出るタイミングも難しく、思うように仕事に就くことができませんでした。通院や投薬を続けながら社会に出ても、十分に働くことがすぐにできるわけではありません。それにより経済的損失も伴いました。  人間関係、異性との関係を築く際にも困難が伴い、女性の私は出産や結婚のチャンスも逃してきました。今でも男性と向かい合って座ることすらためらわれることもあります。また、性暴力被害による自己肯定感の低さによって、職業の自由な選択や恋愛、新しい世界の人と知り合い、関わり合う機会も逃してきました。  そんな私が知見ある心の専門医に出会って、幼い頃の記憶を伝え、これまでの体調不良や生きづらさの原因が教師から行われた性暴力によるPTSDであると診断されたのは、今から10年ほど前の30代半ばの頃でした。このとき、問題解決のためには専門家の存在が大きいと実感しました。  明確な病名が分かってほっとしましたが、日々の何気ない生活の中にも様々な生きづらさがあります。特に五感に関する香りや色、音等の記憶が、小学生当時に私を連れ戻します。担任教師の髪や洋服の臭いの記憶が私を苦しめます。また、被害を受けている際の生々しい肌感覚がよみがえることもあります。どれだけ月日が流れても、体は感覚的に覚えています。性暴力被害の爪痕は目には見えませんが、未来への可能性を潰します。こどもの頃の一被害だとしても、それは点ではなくて長期間にわたって線として影響し続ける、一生涯残る傷となる、そのように理解していただきたいと願っています。  それでも、暴力を受けた私たちは生きていかなければなりません。その理解の社会的広がりが、被害者らの回復や希望にもつながると思います。  二度と私たちのような苦しみを生まないために、今後の日本版DBSの仕組みの整備は大変重要だと考えます。性犯罪は依存性が高く、再犯率が高いことも常識となっています。保育や教育の現場に性犯罪者を立ち入らせることなど、決してあってはなりません。こどもが性暴力被害に遭うということは命に関わること、その危機感を持って対策を進めていただきたいと思います。正確に犯罪者を処分する仕組みとともに、確実に記録に残す日本版DBSの運用が、こどもたちを救うと信じています。  ありがとうございました。 ○内田座長 つらい御経験をお話しくださいまして、ありがとうございます。  それでは、平野さんへの質疑応答に移りたいと思います。構成員の皆様におかれましては、御質問の際には挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。  磯谷構成員、どうぞ。 ○磯谷構成員 今日はどうもありがとうございます。  「声を聴きつなぐ会」というところで活動されているというお話が冒頭ございましたが、簡単で結構ですけれども、どんな活動をされているのか、少しお教えいただければと思います。 ○平野様 私は被害当事者、元児童生徒という目線でお伝えをさせていただいているのですが、代表は加害者と同僚という形で、元教員なのですね。ですから、被害を止められなかった元教師と被害を受けたこどもの私がペアを組んで、具体的には小学校、中学校を回らせていただいて、教職員研修会を開いていただきます。被害の事実や被害後の影響、どんなことが起こるのか、解決に向けてどんなことができるのか、私たちならではの経験を基にお伝えをさせていただいて、今、学校の先生たちと意見交流を進める中で、私たちが同じ方向を向いてこどもを救っていきたいという研修会をさせていただいているのが一番中心となっていることだと思います。  あと、経験を基に要望書をつくらせていただいて、ホームページにも掲載させていただいていますが、市町、県の教育委員会に要望書をお届けさせていただいています。少しずつかみ砕いて質問をいただいたりしているので、これからの参考にしていただきたいと思っています。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 ありがとうございました。  お話しすることは必要なことであっても、そのときにまた傷つくものだろうと考えます。運動することも被害を食い止めて広げないために必要だけれども、傷つくことでもあるだろうと思うのですが、今、学校での研修とか教育委員会の研修などにも御参加くださっていると。そこで、こういう反応はつらいですということとか、あるいは私は社会福祉士であり専門職ですので、専門職は人を助ける仕事ですけれども、人を傷つける仕事だとも思っていますので、むしろそういう立場の人間に対してこれだけは知ってほしいということがもし一言、二言でもありましたならば、改めて刻みたいと思いますので、聞かせていただけますでしょうか。 ○平野様 ありがとうございます。  私、こうやって学校の先生方を回らせていただいて、失礼ながらお話をさせてもらって、半年、1年ぐらいのことになるのですけれども、御反応いただいて驚いたのは、御自身の経験とリンクして涙される先生が多いことなのですね。学生時代であるとか、家庭環境であるとか、地域において、少なからず自分の身にも暴力が起こっていて、それを思い出されて涙されたりとか、少し退室されたりすることがあるので、やみくもに情報をばらまけばいいというわけではなくて、教師も保育の現場の方々もベビーシッターさんとか様々な方も人間なので、それぞれの生きざま、生きてきた過程を確認しながら伝えていかないと、今日はこういうお話をするので無理せず参加できる人だけにしてくださいという話をさせていただいて、つらくなったら退室していただくようにさせていただいています。それはすごく私が気をつけなくてはいけないと思ったところなので、よかったよと言ってくださる方はそれはそれでいいのですけれども、多分苦しみのない人生は一つもないので、それぞれの御自身の御経験の中で思い当たることとリンクして傷つかれるところがある、それはお子さんのことであったりとか、いじめとか、御自身のこと以外の地域の救えなかった命の場面とかもあるので、すごく丁寧に、慎重に、私は少人数での勉強会をさせていただいています。そんなところです。 ○宮島構成員 ありがとうございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  小國構成員、どうぞお願いします。 ○小國構成員 大変つらいお話をきちんとしていただいて、とてもありがたく感じております。  今回日本版DBSが必要だと強く思っていらっしゃるというお話があ、この会で日本版DBSをつくることについても議論がされていくだろうと思われるので御質問させていただきたいと思います。被害者としてどういうことを一番その中に盛り込んでもらいたいのか、例えば参考のものを見ますと、教員等は登録を取り消されると3年たつと失効が再開されてしまうような形になっているようなことが書かれておりますけれども、そういう点も見て、何を最も大事に被害者としては盛り込んでもらいたいと願っていらっしゃるのか、ぜひ参考意見としてお聞きしたいと思います。 ○平野様 ごめんなさい。私も素人の立場なので、こんなに優秀な先生方を前にあれなのですけれども、そもそも確実に正確に処分されていないと排除することもできないので、まずそこはいつも強く思うところなのですが、曖昧に辞められたりとか、転職したりとかして、また戻ってくることが怖いので。その上できちんと記録に残していただいて、仕組みが動いていけば、私はとても安心なのではないかと思います。  性加害を行う人の特徴はとてもたくさんあるのですね。ですから、何もこどもに関する仕事に就かなくても、八百屋さんになってもらっても、魚屋さんになってもらっても構わないと思うので、その辺り、こどもに関わる仕事にすごく執着をするというあたりが危険だと思うので、職業選択の自由もとても大事なのですけれども、世の中には山ほど職業があるので、その辺、丁寧に人格も尊重しながら進めてもらったらいいなと思います。  多分質問のお答えになっていません。申し訳ないです。 ○内田座長 いえいえ。どうもありがとうございます。  ほかに御発言はありますでしょうか。大体よろしいでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、平野さんへのヒアリングは以上とさせていただきます。  本当に今日は大変ありがとうございました。 ○平野様 お忙しいところ、ありがとうございました。 (平野様退室) ○内田座長 それでは、本日のヒアリングはこれで終了いたしましたので、あまり時間はありませんが、残った時間で、ここから自由討議とさせていただきたいと思います。  盛りだくさんの各省庁の御報告もありましたし、ヒアリングもございましたので、御意見等ございましたら挙手をして御発言いただきたいと思います。時間の関係でお一人せいぜい2~3分程度しか時間はないかと思いますが、御了承いただければと思います。いかがでしょうか。どこからでも結構です。御発言ありましたらお願いいたします。  磯谷構成員、お願いします。 ○磯谷構成員 それでは、磯谷からお話をさせていただきます。  私、弁護士をしておりますけれども、これまで施設における性的な加害事故について、何度か改善委員会や再発防止委員会など、そういったところの委員を務めてきた経験がございます。  施設現場は様々な課題を抱えて、こどもたちの養育を担当するということで、肉体的にも精神的にもかなり負担がある職場なのですね。泊まりもあったりしますので、ただでさえ敬遠されがちな職場なのです。そうすると、採用するときにもなかなか人を選べないという実情にございます。一方、施設現場はこどもたちと生活をともにするということで、非常にこどもたちと濃密な関係になりやすいというところがあります。実際に身体的な接触ももちろん見られます。一部のこどもたち、特に性的な被害を受けてきたこどもたちは、性的な関わりをコミュニケーションの一つの手段として捉えてしまうこともありまして、性的な事故が起こりやすい職場だとも思います。  心理的なところは私は専門外ですから、よく分かりませんけれども、私もいろいろなところでこれまで伺ってきているところによると、こどもたちに対する性的な加害行為をしてしまう方というのは、特に何もケアをされないと同じことを繰り返してしまうということをよく伺います。先ほど統計のお話がありましたけれども、恐らく摘発されるのがごく一部であって、全体像を示していないというところも注意して見る必要があるのだろうと思っています。そういうことも考えますと、こどもたちを守るためには一定の人たち、こどもたちに関わる仕事をする人たちについては、そういう仕事に就かないでいただくという意味での対策も必要だと思っていますので、今回の議論については基本的に賛成をして議論に臨みたいと思っています。  具体的な論点としては、これからいろいろな悩ましい問題もあるかと思いますので、それはまた引き続き議論をさせていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがですか。  普光院構成員、どうぞ。 ○普光院構成員 今日はありがとうございます。  私は今、保育園を考える親の会で保護者の相談をよく受けているのですけれども、その中には、最近は、性的なわいせつの事件に関する相談はまだ受けていないのですが、不適切保育に関しては非常に多くなっております。不適切保育はいろいろありますけれども、特に身体とかに外傷がなければどちらかというと曖昧になってしまうことがあるのですが、保育を受けるこどもたちは人格形成期で、ちょっとしたことも大きな影響を受けているということを感じております。相談を受けてきた中には、小学校に入学してから担任の先生が厳しい先生になった途端に保育園時代を思い出して学校に行けなくなってしまう、お医者さんにかかったらPTSDであると言われた事例もありまして、大人から見たら別に傷もないし、大したことはないのではないかと思っても、心の傷というのは非常に深刻であると、今のお話の中にもありましたけれども、感じております。  そういった中で、先ほど文科省さんからの御説明の中に刑事罰とはならない場合も含めているというお話があったのですが、それから、先ほどの当事者の方のお話の中にも曖昧に辞めたり転職したりするようなことがあるのが非常に問題だと思っているというお話がありましたけれども、事例、事案に関してどれだけきちんと調査をして、そして、どこまでの範囲をDBSの記録の対象として持っていくのかというところも非常に重要なポイントではないかと私は思っております。  それから、もう一点だけ、ベビーシッターのわいせつ事件で殺人事件等が起こりましたけれども、平成26年3月に発生したマッチングサイトベビーシッターによるわいせつ殺人事件があったのですが、その後、「子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」が立ち上がりまして、その委員としても議論に参加しておりまして、その中で非常に思いましたのは、例えばマッチングサイトのベビーシッターというのは資格者もおりますけれども、無資格者もいるのですね。そういう中で、今、例えば保育士、教員、小学校の教員や幼稚園教諭や様々な資格に分かれている、そして、ベビーシッターのように無資格者もいるという中で、この資格の境目を越えてどうやってやっていくのかも非常に重要だと思っておりまして、今、各府省庁で対策は取られておりますけれども、これを串刺ししていくことができるのかどうか。例えば幼稚園教諭、保育士資格ともに持っている、あるいは小学校の先生の資格も別に持っている、あるいはそれが都道府県を越えている、そういった場合に、どうやって不適格者情報をきちんと串刺しして管理するのかもぜひ検討すべきことではないかと思っております。  以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他に御意見はございますか。  宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 ありがとうございます。  平野さんのお話を伺いまして、改めて、悪意を持ってこどもに接近しようとする方にアクセスをさせない仕組みが必要だと思いました。これに対しては、日本社会が甘かったと認めざるを得ないし、その在り方を変えなくてはいけない、また、具体的な仕組みをつくらなければいけないと感じました。  一方で、別の観点から2つ申し上げたいと思います。こどもまんなかでいくと、本当にこどもたちに関わる人を増やさなければいけないと感じています。私は児童相談所に長く勤めておりました。そこも人が確保できていない。去年落とした人を今年採用するということが実は起こったりしています。また、教員になる方も少ない。今、市町村に私は勤めてもいるのですけれども、そこにはファミリーサポートとか様々な方々にこどもに関係する力を貸していただいています。そういった方々が喜びを持ってこどもたちに関わることに取り組まなくてはいけない。悪意を持って接する人に対しては厳しく接近させない、一方で、多くの方がこどもに関わってくれるようにするという、この2つのことを同時に進めていかないといけないのだと。これはとても難しいことですけれども、必要だと感じております。  もう一つ、最後に平野さんがこどもに関わらない仕事はたくさんあるのだと言ってくださいました。この取組に対してキックアウトという言葉を使ったりする例がありますけれども、これが社会からのキックアウトにならないようにしないといけない。言葉をどう使っていくか、発信の仕方を間違えて、冤罪が起こっても仕方がないのだという空気をつくることがないようにも進めていきたいと思いますし、願います。  以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  宍戸構成員、どうぞ。 ○宍戸構成員 ありがとうございます。時間が押しているところ、申し訳ございません。  一つは、今、宮島先生がおっしゃったとおり、法務省において特に犯罪を1回犯した人が社会で更生するための取組をされてきているところでございまして、その全体像の中で、他の職業には罪を犯した人も罪をあがなって普通に復帰し、社会の包摂性を高めていくことと同時に、今日お話がございましたけれども、現実の被害が想定される、児童生徒と特別の権力性でありますとか、身体的、人格的な接触があって支配性が生まれ、そこでまた性犯罪が起きかねないところへの再就職を阻むための日本版DBSを的確に制度設計していくことが大事ではないかと思うところであります。  その情報を受け取る事業者の方ですけれども、この日本版DBSから漏れている危ない人とのコンタクトリスクは常にあるという観点からしますと、広く一般に教育・保育等に関わる事業者の方々には、児童生徒、こどもの安全を守るという責務があって、その責務をよりよく達成するための手段として日本版DBSを構想しているのだということと、その情報が漏えいすると、当該教員の方もそうですし、その先にいる過去の被害者の方についても大変なことになりますので、その情報の安全管理については遺漏なきよう制度設計をしていくことも大事かと思います。  私からは以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございました。  まだ御発言があろうかと思いますが、予定の時間が参りましたので、本日はこの程度とさせていただきたいと思います。  貴重な御意見もいただきましたし、大変充実した報告もいただきました。どうもありがとうございました。  最後に、本日御出席いただきました小倉大臣より御挨拶をいただきたいと思います。 ○小倉大臣 内田座長をはじめといたします構成員の皆様、初回から御熱心に説明を聞いていただき、また、議論していただきまして、誠にありがとうございます。  事務方の説明を聞いても、先生方のお話を聞いても、この件は本当にどういった場でどういう仕事をされている人のどのような行為に日本版DBSの射程を入れて、それに対してどのような手続の下でこのDBSの仕組みを回していくのか、これを考えると、本当にすごく難しい問題だと思います。  他方で、今日も当事者、被害経験者の方の話を聞くと、こどもの性被害・性暴力というのは、その後の人生の長期にわたって心身に本当に有害な影響を及ぼすものということを再認識いたしましたし、今もその危険に脅かされている、そういうこどもがいるのだということを考えると、断じてこうした行為は許すことはできないと思っておりますし、こうしたこどもたちがしっかりと身を守るためにも、できる限りこうしたDBSのような仕組みを一刻も早くつくっていかなければいけない、このような気持ちを新たにいたしました。  そういう意味では、冒頭申し上げたように、可能であれば次の国会にも法案提出を目指すということを申し上げております。今年の秋、臨時国会があれば、それが次の国会になりますので、それを考えると非常に短期決戦になります。恐らく先ほど申し上げた具体的な制度設計をしていくためには、今日、様々な統計が示されましたけれども、国会等においてきちんと説明できるような立法事実も収集した上でそれを固めなければいけないと思いますし、そういったことをもろもろ考えますと、この有識者の検討会で出していただく方向性は、大変恐縮でありますけれども、できる限り具体的に方向性をそれぞれお示しいただいて、その後の法案化の作業に速やかにかつスムーズに入れるように御助力をいただきたいと、このように思っております。  大変僭越なお願いではございますけれども、それぞれの専門家の皆様方に今回の有識者会議、お集まりをいただいておりますので、そのことを担当大臣として最後にお願いを申し上げたいと思います。初回、どうもありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございました。委ねられた役割の重さを感じながら、これから議論を進めてまいりたいと思います。  それでは、本日の有識者会議、正式名称は「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」ですが、第1回目の会議をこれで終了させていただきたいと思います。  では、事務局から事務連絡をお願いいたします。 ○羽柴参事官 次回、第2回会議につきましては、現在調整をさせていただいておりますので、事務局より追って御連絡させていただきます。 ○内田座長 ありがとうございます。  最後に、本日の議事録等の扱いについてでございます。本日の議事録、会議の議事につきましては、特に公表に適さない内容に当たるものではなかったかと思いますので、議事録等を公表することにしたいと思います。  もっとも、ヒアリングの部分につきまして、念のために当事者の方に御確認をしまして、必要があれば一部非公表とすることもあり得ることはお含み置きいただければと思います。  この判断につきましては、大変恐縮ですが、座長に御一任いただけますでしょうか。 (異議なし) ○内田座長 ありがとうございます。  それでは、原則公表ということで進めたいと思います。  では、本日は長時間にわたりまして熱心な御議論をいただき、ありがとうございました。これにて閉会をいたします。