こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議(第3回) 令和5年8月1日(火)午後3時30分から午後6時50分まで ○内田座長 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」の第3回会議を開催いたします。  座長を務めます内田でございます。本日もよろしくお願いいたします。  本日は、川出構成員、比嘉構成員、宮脇構成員が御都合により御欠席となります。  なお、藤原成育局長及び黒瀬審議官は用務により遅れての御参加と伺っております。  では、まず事務局より、本日の議事及び資料の説明をお願いいたします。 ○羽柴参事官 まず配布資料の確認ですけれども、お手元に資料1から資料4まで、それから、参考資料をお配りしております。また、ヒアリング対象者の方の資料がございます。  それでは、まず、本日の議事でございますけれども、お手元の議事次第のとおり、初めに関係業界4団体からのヒアリングを行いまして、次に、被害者臨床御専門の上智大学准教授の齋藤梓先生、それから、加害者臨床心理御専門の早稲田大学教授の嶋田洋徳先生にお話をいただくこととしております。続きまして、自治体発表といたしまして、奈良県知事であられます山下真構成員から現状等について御発表いただき、最後に議論の時間を設けさせていただくという予定にしております。  次に、配布資料について御説明いたします。  資料1は第3回会議の議論のテーマです。第1回及び第2回の議論も踏まえて更新した内容になっております。  資料2はこれまでの主な御意見についてまとめたものでございますので、議論の際に御参照いただければと存じます。  資料3は海外制度関係で、韓国、オーストラリア、カナダの各犯罪歴照会制度をまとめた資料です。第1回会議でも海外法制について御紹介いたしましたけれども、並行して調査をしているところでございまして、今回把握できたところまでということになりますが、3か国について御紹介する資料となっております。  1ページ目の韓国ですが、韓国では裁判所が特定の犯罪による刑又は保安処分宣告の際、その対象者の就業等を一定期間制限することを命じる就業制限制度がございます。雇用者が就労させようとする者について就業制限対象者でないかを照会することが義務付けられており、就業禁止に反することもできないこととなっており、それらについて刑罰ではなく行政罰が設けられているということでございます。  2ページ目のオーストラリアでは、こどもと仕事等をするための審査・許可制度があり、これはニューサウスウェールズ州について調べたものですけれども、そこでは審査結果に基づいて発行されるこども関連業務従事許可証を保持又は申請中でなければ、こどもと関わる業務に従事する、あるいは従事させるということは禁止されております。その従事禁止、あるいはこの制度を利用しないということが禁止されておりまして、それらの違反に対して刑罰、罰金刑が設けられているということでございます。  3ページ目のカナダでは、裁判記録が公開されており、誰でもウェブ上で有罪判決の有無を検索することができ、また、誰もが自身の犯罪歴を確認できる犯罪記録調査というものもございます。そして、さらに、こども関連業務従事者等について、一般的には封印あるいは停止されているという犯罪歴の有無についても雇用者が確認することができるという制度になっております。  カナダにつきましては、特に、従事させてはならないという禁止があるわけではなく、この照会もしなければいけないということではなく、それらについては雇用者の判断に委ねられているということでございます。  なお、他にも調べているところがございますので、また追って御報告する予定です。  それから、先日御質問がございました、雇用者が照会の結果得た情報の漏えいについての罰則という点ですが、これも調査しているところでございますので、また改めて御報告いたしますけれども、本日のところで把握できているものといたしまして、韓国につきまして、そういった情報漏えいについて懲役又は罰金という刑事罰があるということです。それから、アメリカのカリフォルニア州について、全体としては調査中なのですけれども、その情報漏えいについては罰則があるということを確認しております。  海外法制につきまして本日の時点では、以上、御説明したとおりでございます。  続きまして、資料4ですけれども、こちらは第1回に概要等を御説明いたしました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律に基づく特定免許状失効者等に係るデータベース、改正児童福祉法に基づいて登録取消しとなった保育士に係るデータベースにつきまして、補足といたしましてDBSの性犯罪歴等確認の仕組みとともに簡単に図示した資料です。  それから、参考資料といたしまして、ヒアリングで来ていただきます齋藤先生と嶋田先生の御経歴をお配りしております。  配布資料に関する説明は以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  この段階でただいまの事務局からの説明に関して何か質問等ございましたら御発言をお願いいたします。特にありませんでしょうか。  それでは、次に、議事のとおり「ヒアリング」に移らせていただきます。  本日は民間教育関連、そして、児童養護や児童保護等をしておられる児童福祉施設関連、被害者心理関連、加害者心理関連の方々からお話を伺うために、日本民間教育協議会、児童健全育成推進財団、全国児童養護施設協議会、日本知的障害者福祉協会、そして、齋藤梓先生、嶋田洋徳先生にお越しいただいております。  まずは民間教育における取組や現状につきまして、日本民間教育協議会の安藤大作様より御説明をいただきます。  安藤様、どうぞよろしくお願いいたします。 ○日本民間教育協議会 安藤でございます。  大変貴重なお時間を頂戴いたしまして少し御発表させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  お手元に配っていただいておると思いますが、資料がございまして、今、御紹介いただきましたように、私、まず日本民間教育協議会の会長として、それから、公益社団法人全国学習塾協会の会長として御発表申し上げたいと思います。  表紙をおめくりいただき、右下2ページを御覧下さい。日本民間教育協議会、これは学習塾のみならず、例えば英会話教室でありますとかスイミングクラブでありますとかスポーツ教室でありますとかピアノ教室でありますとか、その他もろもろ、様々な習い事を網羅まではし切れておりませんが、様々な習い事が集う日本民間教育協議会、こちらの会長として、また、右下3ページにございますが、公益社団法人全国学習塾協会、これはもう設立して35年になるのですけれども、ここに加盟している塾というのは個人の塾から上場塾までいろいろございますのでカウントは難しいのですが、年間売上高としては1兆円産業と言われておりますので、3,125億円分の売上げのところが合計で加盟しておりますので、占有率というのはそういった意味では33.5%。つまりは日本の塾に通うこどもたちの約33.5%だというようにお考えいただいてもよろしいかと思います。  さて、もう一つおめくりいただきまして、右下4ページと書いてあるところでございますが、平成15年に当時、15歳以下のこどもを狙った事件が126件発生し、その中で、そろばん塾の帰宅途中の事案が1つあり、こういったところから求められて全国学習塾協会の方で非常に防犯対策を強化したような歴史がございます。平成16年のことでございます。自分たちの業界でしっかりとこういったことの再発を防ごうというような狙いでいろいろと事を起こしました。  しかし、それでも平成17年に痛ましい事件が起こりまして、右下5ページでございますけれども、京都府内においてアルバイト講師が塾に通う女子児童を刺殺してしまうというような事件がございました。非常に痛ましい事件でございまして、すぐに平成18年、翌年に全国学習塾協会として「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン」、これをしっかりと府省庁の方々の御指導もいただきながら基本的方針を定めました。そして、塾の業界の中に啓蒙したという次第でございます。  右下6ページ、御覧になっていただきたいのですけれども、この「学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン」は当時、警察庁、それから、内閣府、文部科学省、経済産業省という4府省庁局長会議に提出させていただき承認を得て公表したというものでございますが、このガイドラインは特に採用ですね。塾でこどもたちと接する方々の採用、ここに関して非常に重きを置いたガイドラインということで策定をしました。  しかし、右下7ページでございますけれども、塾側としては、採用時において新たに入って来られる方々に誓約書を提出していただいたりとか非常に慎重に面接を実施したりとか、又は興信所や犯歴、新聞記事検索、メンタルチェックテスト、SNSチェック、調査会社等、ありとあらゆるいろいろなことをしながら、そういった方々を業界の中に入れると非常にまたこどもたちを守り切れないということが起こるものですから、そういったことをずっとそこで強化してやってきたということでございます。  しかし、右下8ページでございますが、どうしてもやはり人権であり、個人情報の観点もあって、こういったことの厳格化というのは我々にはもうやはり限界があります。したがって、今回、いろいろな流れの中で民間教育側のことも観点の一つに入れていただきたいということを強くお願い申し上げたいところでございます。  そういった強いガイドラインを設けた後も、右下9ページにございますが、インターネットの中に挙がっているというような、そういった限りでございますが、41件のこういった事件が検索の中では挙がってきます。18歳未満の事案は39件、内訳は学習塾が29件、スイミング、スポーツクラブが10件、その他、英会話、保育所等々ということが挙がっているケースでございます。そこから先に細かい一つ一つの事案は、細かく記載をさせていただきました。この一つ一つに言及することは、今日は避けさせていただきます。時間の限りもございますので、また御覧になっていただければと思います。  また今日、お示しさせていただいた資料には、スイミングクラブ協会さんからも、特にこういったものが非常にスイミングクラブ協会さんとしても懸念しているという事件報道の一覧、これも本日、提出させていただきました。  それから、学習塾、スイミング、スポーツクラブ等々の、先ほどと重なりますけれども、繰り返しですが、事件・事案の事例を提出しております。  それから、当時、平成18年に策定させていただきましたこのガイドラインも提出しております。しかし、この策定後もどうしても事件というのは頻発していっている、このような状況でございます。  恐縮ながら資料を離れて申し上げますが、塾というのは現在およそ1兆円産業というように言われておりまして、塾の仕事の中で生計を立てている従事者の方々はおよそ30万人と言われております。その他、システム事業者とか教材販売事業者等々、周辺の事業者を入れると50万人以上、塾というものを中心にしながらなりわいを立てている方々が50万人以上いると言われております。そして、上場企業は学習塾においては20社ございます。この20社といってもスクール事業が20社でございまして、例えばその周りのシステムでありますとか等々周辺事業を入れますとさらに多くの企業が上場しているというような状況が塾業界の周りの状況でございます。  また、塾のみならずスイミングクラブ、ピアノ教室、英会話教室又はスポーツ教室とか、いわゆる民間の大きな習い事、ここを入れるとそこで生計を立てている方々は100万人というのを超えていくであろうというように言われております。  そのような中、現在は言うまでもないことですが、不登校児童生徒数というのはもちろん過去最大で増えています。また、悲しいことながら、こどもの自殺も過去最多で増えています。こどもの自己肯定感の低下も他国との比較で非常に日本は低い状況にあるということも言われています。しかし、学校の教職員の精神疾患もそのような中、過去最多であるというようにも言われています。こどもの精神的な状況がそうであって、学校の教職員の精神的な状況もそうであって、となれば民間教育がある種、重要な教育資源となっているという背景が昨今は非常に強く傾向としてあろうかというようにせんえつながら思っております。  また、教員の働き方改革ということで部活動の地域移行も今、叫ばれておりますが、そうなると、やはり民間教育が教育資源としてこれからますます活発にその役を担っていかなくてはならないのではないか、そういうようにもせんえつながら思っております。  そのような中、今回のような、いわゆる性的な犯罪し好の方が行き場を求めて民間教育業界により一層なだれ込んでくるリスク、このリスクに関しましては、まず一つはやはり企業側の経営リスクというのが考えられると思っております。  既に民間教育側というのは非常に今、経営の面においては大きな荒波の渦中にあります。といいますのは、言うまでもなく少子化が一つです。特に地方の少子化、これはもう非常に著しく、地方で民間教育というのはどんどんと経営の危機というか、もう廃業ということが今、起こっている状況です。その経営の問題だけではなくて、そこに住むこどもたちからすると、やはり学びの環境が幾つか多様性があるという状況ではなくて、民間がないわけですから、行くところはもう学校一択とかそういうようなことにもなりかねない、そういうような状況がますますと進行しております。  もう一つは、やはり今、教育に求められている力の移り変わりです。思考力であり、判断力でありとか、そういった中で民間教育事業者、日々たゆまぬ努力をしておりますが、貧困家庭の増大、割合の増加、これもありますので非常に経済格差からなかなか塾というものもこれから先、やっていくのは必死の状況で今やっております。もちろん採用難もございます。  このような荒波の渦中にいるわけですので、今回、またこういったことの中でリスクが大きくなることで、より一層の経営リスクというのは計り知れないということは思っております。もしも問題が起きた場合、先ほど申し上げた約20社以上の上場企業の株価への影響ももちろんでございますが、未上場であったとしても地域でたゆまぬ努力を続けている民間の企業、教育事業者の存続問題にすぐ発展するというような状況にあります。やはりどうしても何かあった場合、それに伴う大きな損失を含んでいける体力のあるところというのは現在非常に限られているということでございます。  そして、もう一点は、やはりこどもを守り切れないということでございます。実は学習塾に通塾する割合は今、60%から70%、こういうように言われております。受験直前になるともちろんさらにその率は上がります。また、低年齢期でも何らかの習い事に通うこどもの割合というのは82%、約80%前後でございます。つまりは、もう既に8割方のこどもたちが何らかの習い事に通っているとするならば、学校と習い事というのはほぼ車の両輪のようにこどもたちの日常には既に存在しているというのはせんえつながらそういう状況にあるというように思っております。  そして、今回、既にこれまでに発生した事件のほんの一部を資料として提出させていただきましたが、やはり塾又はスイミングクラブ、これが多いというような状況でございます。私、日本民間教育協議会としては、では、そのジャンルまでを対象とするのがいいのかということまでは私が申し上げることではございませんし、しかし、線引きもできないというところかもしれませんが、これはやはり教育から福祉までこどもの生活シーンは様々だというのがあろうかと思います。  ですので、現実には今後、雇用側、我々、民間教育企業側がジャンルを問わず、例えば求職者、応募者をはじめとした求職応募者が履歴書とともに例えば無犯罪履歴という何かを提出いただくよう求めることができるといった、そんな策が大変ありがたいのではないかとせんえつながら思っております。  また、とはいえ、求職者への人権上の配慮もございましょうから、証明提出を求める我々雇用企業側に例えば我々側が個人情報取扱いの何らかのライセンスを一つバーとして義務付けられるのもひょっとすると一つかと思われますが、ただ、既存の実際プライバシーマーク制度のようなライセンス制度は現実を申しますと取得費用額がかなり高額でございまして、そういった中からは学習塾業界においては上場塾、上場企業、又はそれに準ずる規模の企業しかなかなかこういった制度には対応し切れないというのが現実でございます。  結びになりますけれども、学習塾は全国に5万教室ございます。そして、そこに通う小中高生は概算ではございますが、およそ500万人又は600万人とも言われております。500万人、600万人と申しましたが、言うまでもなくスイミングスクール、英会話教室、ピアノ教室、スポーツ教室等々合わせると恐らく800万人かそれ以上のこどもたちが民間教育の機関に通っているというように考えられます。  最後に、繰り返しますが、民間教育というのはやはり今、日本の教育資源として学校教育のみならず、民間教育がともに両輪の機能としてこどもたちの日常に存在しているという事実はせんえつながら思っております。しかし、その経営においては現在、荒波の渦中にあるという現実。そして、とにかくこどもを守る観点からも、そこに通うこどもたち、数百万人にも上るこどもたちへの影響も考えて民間教育への影響も御一考いただきたいということをお願い申し上げて発表を終わらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問される場合には挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。  宍戸構成員、お願いします。 ○宍戸構成員 東京大学の宍戸と申します。  大変分かりやすい御発表、ありがとうございました。私からお伺いをしたいのは2点ございます。  1点目は、差し当たり学習塾に関連して申しますと、今、学習塾協会に加盟されているのが約3分の1であり、それについては参考資料3でお出しいただいた「子どもの安全確保ガイドライン」を恐らく遵守される取組をされているものと思いますが、その学習塾協会でのガイドラインの遵守を確保する方策と、2点目は学習塾協会に入っておられない学習塾においてこの安全確保ガイドラインが遵守されているかとか、あるいはこれを日本版DBSの議論を機に学習塾協会なのか、あるいはそれ以外の団体なのか分かりませんけれども、広く残りの3分の2の方々にこういった安全確保についてのいわゆるソフトローを遵守していただくということが現実的に考えられるだろうか、少しお考えを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○日本民間教育協議会 ありがとうございました。  まず1点目でございますけれども、このガイドラインが本当に皆さん、遵守されているかどうかという例えばパトロール機能というのは学習塾協会、やはり有しておりませんでして、どうしてもこれを投げかけて、そして、それぞれの自主努力に委ねるしかないというところが現実でございます。言うまでもなく、加盟していない3分の2のところへのアプローチというのも、アプローチと言うほどのことはなかなかできずにいるというのが現実でございます。  そして、2点目なのですけれども、今回の件がさらに進んで、それをしっかりと塾業界に周知ができるのかという点に関しましてなのですが、先ほど申し上げましたように例えば一案でございますが、求職者に対して履歴書とともに何かしらを持ってきてくださいと、しかし、そういうことを言うからには我々民間教育事業者側もある程度のやはりそれを言うにしかるべき例えばライセンスであるとか、フィルタリングをある程度かけられますよとか、でも、そこをクリアすればそれもできますというようなより一層身近なものとして迫られると聞く側もまた変わってくると思いますので、そこに期待するところかなというように思っております。 ○宍戸構成員 ありがとうございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 御報告ありがとうございました。  こんなにたくさんのこどもたちが学習塾協会の下で教育を受けているということをまず驚いたところなのです。素朴なところで恐縮ですけれども、今回、とても貴重なデータで、過去の犯罪歴を示していただいたのですが、1点目は、インターネット調査を行ったことについて、先ほどパトロール機能はないということだったので、このインターネット調査というかたちが一番網羅的に状況をつかめるだろうということで、この方法を取ったのではないか推察しますけれども、それでいいのかということです。2点目は経年のデータでとても長い期間を対象にしておりますが、これはその都度、その都度、データを集めたものなのか。それとも、例えばこの機会に、現時点で過去に残っているインターネットの記事などで現在閲覧できたものをリスト化したものなのか。とても貴重なデータだと思いますで、調査方法等がはっきり分かった方がありがたいと思いまして、私の方で見落としかもしれませんが教えていただきたいと思います。 ○日本民間教育協議会 ありがとうございます。  まず、1点目のインターネットに頼った情報収集でいいのかということですが、本当に本来、我々は全国学習塾協会という立場を取っておりますので、ネット上の記事のみならず、様々なところからきちんと事案を収集して、そして、それを蓄積するという機能を有するべきだと思いますが、残念ながらそこまでの力を有しておらず、今回の話はもうそのまま申し上げますと、まずは我々が把握しているものとインターネットのものというのは重なる部分ももちろん多々あるわけなのですけれども、インターネットの方がより多くの事案が掲載されていたということで、そこを選択させていただいた。  2点目なのですけれども、それはずっとの蓄積なのか、埋もれたものはどうなのかということなのですが、これもそのまま申し上げますと、今回、このケースに当たって改めてのインターネットとしての検索をかけたという程度でございますので、そういった意味で言うと、もう過去のもので消えたものというところまでリサーチしているわけではございません。それが実際のところです。 ○宮島構成員 ありがとうございます。とても貴重なデータ、ありがとうございました。 ○内田座長 ありがとうございます。  では、磯谷構成員、お願いいたします。 ○磯谷構成員 磯谷です。貴重な御報告、ありがとうございます。  2つございまして、1つ目は業界について余りよく分からないものですから可能であれば教えていただきたいのですけれども、私が塾というと一番典型的には建物、賃貸も含めて構えて教室みたいなのがありまして、そこで塾長の先生とか、あと何人もの講師の人たちがいてこどもたちを教えているという構図かと思うのですが、この塾というところの外縁部、ずっとマージナルな部分というか外の部分で例えばもう本当に自宅みたいなところで1人でやっているとか、そういったところも結構あるのか、そういったものは全体的にはかなり少なくて、やはり何かきちんとした形で場所なんかも構えてやっておられるところが多いのか、業界のイメージといいますか、特に小さいところのイメージというのを教えていただきたいというのが1つです。  2つ目は、前回、私がこの会議で少し御提案させていただいたのが、特にこういう塾のように何か規制がもともと例えば認可性とかそういうわけではないところに広めていくために、例えばマル適マークのようなものを設けて、例えばこの制度を使う、このデータベースの制度をきちんと使って該当する人を雇用していないということ。更には、こういった性犯罪を防ぐための何か研修に出ているとか、あるいは何らかの防止策を講じているとか、そういったことをしていただいている塾に対しては何かマル適マークのようなものを付けると、こどもを通わせている保護者の方からするととても安心感があるかと思うので塾にとってもアピール材料になるのかなというように思ったのですけれども、今、突然聞かされてということになるかもしれませんが、そういったアイデアについては実際塾の立場としてはどうなのでしょうか。現実的なものか、ちょっと御感想を伺えればと思いました。  以上2点、お願いいたします。 ○日本民間教育協議会 ありがとうございます。  まず1点目なのですけれども、言わば自宅でやっている個人塾とかという方々というのは一体どれぐらいいるのかというようなことでありますとか、その他もろもろ、様々な塾の形態がありますのでどれぐらいの割合で存在しているのかということなのですが、おっしゃられるとおり、塾というのは認可が必要なわけでもないので誰でもいつでもどこでも開こうと思えば開いてしまえるというようなところが現実問題あります。となると、一体どこで誰がどれだけの塾を経営しているのかというのを隅々まで把握し切れるかというと、自宅の2階でやっているというところまで言われるとなかなか把握し切れないというのが現実でございます。  そういった意味で、ただ、把握している範囲で申し上げますと、何とか塾とか何とかゼミナールとか、塾の屋号で言いますと法人で、法人企業として社員を雇ってという屋号でやっているのと、自分でやっている、何とか塾として個人でやっているというような率は、9割は個人だと思います。屋号数で言うと1割が法人だと思います。しかし、生徒数で言うと全くこれは逆転しまして、生徒数で言うと大きな企業が半分以上を占めている。大きな企業というか法人企業。数字で申し上げられなくて大変恐縮なのですけれども、信憑性が余りない数字を言っても仕方がありませんのでおおむね話で申し訳ございませんが、個人塾の方が非常に数が多い。個人塾も個人ですけれども、個人事業主として法人をつくって場所を借りている方もいるし、副業のように御自宅でやられている方もいるというようなことですので、そこは非常に千差万別です。  今回のケースは法人というか雇用していく側に特に大きな影響を与えられるというような気もします。それに当たっては、繰り返しですけれども、では、塾の事業者としての割合は1割か2割いかないぐらいだと思いますが、そこに通う生徒の割合は6割、7割、半分以上であるというように御認識いただいてもいいのかなというように思っております。  そして、2つ目なのですけれども、もう本当におっしゃるとおり、誰でもいつでもどこでもやれるわけなので、塾というのにマル適マークを付けるということに関しましては、実は学習塾協会もこれまで東日本の震災があったときに、例えば何かあったときに防災グッズをしっかりと準備しているかどうかとか、こどもの命、安心・安全を守るための備えがあるかどうか、こういったもののマル適マーク、うちは備えがありますと自己申告ではあるのですけれども、我々がこういうようなところまでそろえたらこのマル適マークを付けてもいいのではないでしょうかというお示しだけして、そういったもののマル適マーク。あとは合格実績とかでどこどこ何人とありますけれども、あれもいろいろな数え方をしていますので、きちんとこの基準で数えて、それで何人と言いましょうと、それを守っていますというマル適マークとか、消費者との安心・安全なきちんとした特商法にのっとった契約をしっかり結んでいますとすると、それもやっていますというようなマル適マーク等々を今までは現実にやってきております。しかし、それがきちんと広がるかというと、やってもやらなくても、マル適マークを出しても出さなくても、それが本当に営業活動というか募集活動にすぐさまプラスに働くならば前向きに取り組むけれども、出しても出さなくてもさほど変わらないとなると、そう見られてしまうと広まりにくいというような現実は正直あります。  しかし、今、非常に塾というのは採用難の時代を迎えておりまして、本当に喉から手が出るほど人が欲しいというようなところは企業側の一つの共通の悩みとしてあると思います。しかし、その中で、では誰でもいいのかというところが今回の問題に当たってくるところだと思いますが、最終的にこどもの未来にしっかりとつながる人材を確保できるのかどうかということに関しましては非常に企業としてやっている塾としましては死活問題というか非常に重要な問題だと思っておりますので、今回のマル適マークは今までのマル適マークとは少し質が違うというような感覚として持っております。  以上でございます。御指摘ありがとうございました。 ○内田座長 ありがとうございます。  では、続いて、山下構成員、お願いいたします。 ○山下構成員 今、議論している制度設計についてなのですけれども、先ほど安藤さんの方から応募者の方が性犯罪歴がないことの証明書を持参する。また、それをチェックする立場の雇用する側が何かライセンスを与えるというようなことをおっしゃっていたかと思うのですが、実際、犯罪歴のないことの証明書を発行するような制度は判例との関係とか、応募者にとってなかなか煩雑ではないかとか、ハードルが高いのではないかという問題があるのと、あと犯罪歴を照会する側にライセンスを設けるというのも非常に事務が煩雑になるような気もしましてちょっとどうかなと思ったのです。  それとは反対に、雇用する側に性犯罪歴のデータにアクセスする権限を付与して、雇用する側が性犯罪歴の有無を照会する。ライセンス制度の代わりに、照会して得た性犯罪歴の情報を漏えいした場合には何らかの罰則を科すというような制度も考えられると思うのですが、そういった制度をこの業界団体に加盟している塾とかスイミングスクールの皆さんは受入れ可能でしょうか。といいますのも、先ほど制度の創設には期待するというようなお話がありましたので、そうであれば情報漏えいした場合に罰則を科せられても受け入れてくれるかどうか、その点についての感触を教えてください。 ○日本民間教育協議会 ありがとうございます。  飽くまで推測の域を出ませんけれども、今、おっしゃっていただいたスキームというのは非常に受入れ可能どころか、我々、民間教育事業者からするとありがたい御提案ではないかというように思っております。先ほどせめて求職者がそういった証明書を御提出いただくというのは、せめてという枕言葉が付くくらい何とか我々に情報をいただくようなことはできないものかというようなことで申し上げましたが、今、そのデータベースを閲覧させていただくというのは、もちろんその情報漏えいとかというものに厳しいペナルティーが科されるというのは当然のことでございますけれども、そういった権限を例えば付与いただくというのは今、おっしゃっていただきましたスイミング、それから、ピアノ、英会話、塾ももとより非常に受入れ可能というか、非常にありがたい御提案ではないかなというように、推測の域は出ませんが非常にそのように思います。ありがとうございます。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  ちょっと時間が超過しておりますので、この程度で終えたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、日本民間教育協議会へのヒアリングは以上とさせていただきます。  安藤様、誠にありがとうございました。 ○日本民間教育協議会 皆さん、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○内田座長 では、次に、放課後児童クラブ等における取組や現状につきまして、児童健全育成推進財団の渡部博昭様より御説明をいただきたいと思います。渡部様にはオンラインで御参加いただいております。  では、どうぞよろしくお願いいたします。 ○児童健全育成推進財団 渡部でございます。  本日はヒアリングの機会をいただき、誠にありがとうございます。  当財団は、こどもの健全育成を図ることを目的として児童館及び放課後児童クラブのサポートを行っている団体でございます。  事前に事務局の方からいただいたヒアリング項目に基づき、今回、児童館等における性犯罪防止の取組に関するアンケートを実施いたしましたので、その結果について御報告をさせていただきたいと存じます。  1ページ目を御覧いただければと思います。アンケート調査は令和5年7月10日から19日までの10日間に全国の児童館を対象に行い、回答数は817でございます。まず設問1として、こどもに対する性犯罪防止のために実施している取組があるかについて、でございます。約2割の施設があると回答し、8割がないとの回答でした。あると回答した施設の具体的な取組内容を分類し、代表的な回答を列挙させていただきました。分類した項目だけ御紹介いたしますと、職場での申合せ、文書への明文化、周知、2ページ目に入りまして、職場研修、施設の運営管理での取組、こども、利用者への指導、情報提供の5項目に分類してございます。各項目の内容については資料を御参照いただければと存じます。  次に3ページでございます。設問2、こどもに対する性犯罪防止のための対応マニュアルがあるかについてでございます。ある、運営管理マニュアル等に記載している、を合わせて約14%の施設が何らかのマニュアルがあると回答し、約86%がないとの回答でございました。あると回答した施設のマニュアルのレベルについてですが、管理運営主体レベルが46.3%と最も多く、次いで児童館が33.9%、自治体が19.8%となってございます。  次に4ページ目でございます。設問3は職員を採用する際、犯罪歴等を確認するに当たって困っていることでございます。こちらは自由記述としたところ、多様な表現の回答があったため、その内容を概括させていただいております。  1つ目でございますが、情報取得の困難さでございます。犯罪歴を具体的に確認する方法がなく、ネット検索や報道記事等限られた情報源に頼るしかないこと、また、他の機関への照会権限がないため、情報共有が困難なことが挙げられておりました。  2つ目がプライバシー保護の観点でございます。犯罪歴の確認には個人情報の取扱いやプライバシーの保護が重要視されていること、確認方法が限定される一方で、個人情報保護の観点から、他者に情報提供を求めることがちゅうちょされること等が挙げられておりました。  3つ目、採用プロセスの制約です。採用側は履歴書や面接での本人申告に頼るしかなく、犯罪歴の具体的な確認が難しいこと、また、法的な障壁や人権侵害のリスク等を考慮しなければならないこと等が挙げられておりました。  4つ目が情報共有の不足でございます。犯罪歴の情報共有が不十分であり、他の機関や前職場への問合せが難しく、確認手段が制約されていることが挙げられておりました。  以上のようなことが課題となっているとの回答でございました。  以下、主な意見を列挙しておりますので後ほど御参照いただければと存じます。  続いて、情報提供でございます。もう一組の資料を御参照いただければと思います。  設問1のこどもに対する性犯罪防止のために実施している取組の具体事例としまして、公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会こども育成課の取組を御紹介させていただきます。  この財団では、札幌市内の199の児童会館とミニ児童会館の管理運営を行っております。こどもたち利用者の安全と精神的な安心感を得られる心のよりどころとしての居場所作りも重要な柱の一つとしております。そのために、暴言や体罰、性的虐待等の被害からこどもたちを守ることを目的として現場職員により構成される行動規範チームを立ち上げ、こどものセーフガーディング行動規範を策定し、5月には職員向け講習会も実施され、行動規範の運用が始まったと聞いております。  内容ですけれども、お手元の資料にあるとおり、aからsの19の禁止事項、10のこどもと接する際の留意事項で構成されております。現場職員で構成された策定チームによる行動規範の中に職員の禁止事項として具体的にわいせつ行為に関わる事項が明示されているということで、職員の職業意識、問題意識を高める上でとても意義深く、また、このたびのヒアリングの趣旨に合致すると考え、御紹介をさせていただきました。  最後になりますが、お願いでございます。学校等の教育施設、保育所等の児童福祉施設に日本版DBSが導入された場合、導入対象施設から排除された性犯罪の前科がある者や犯罪企図者、小児性愛者等々が導入対象から外れた施設に流れてくることも考えられます。施設側、運営側の努力も当然大事ということは重々承知してございますけれども、こども家庭庁が全ての児童の最善の利益を保障し、こどもまんなか社会を推し進める行政機関であるからこそ、他の施設同様に児童館、放課後児童クラブについてもぜひ導入されるよう御検討されますことを切にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの御報告に対して質疑応答に移りたいと思います。御質問される際には挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。  では、宮島構成員、どうぞ。 ○宮島構成員 同じような質問で何回も申し訳ありません。このアンケート結果のデータもとても貴重だと感じられたのですけれど、回答が817あったということですが、対象施設がどのくらいあって回収率がどのくらいだったのかが分かれば、データをより正確に理解できると思いますので、教えていただきたいと思います。また児童館と放課後児童クラブ、両方を含むということですが、それぞれ特色があると思いますので、可能であればそれぞれ区分けして分かるものならば知りたいのですがいかがでしょうか。  今回の制度で開示対象になった施設から、開示対象にならなかった施設等に流れてくることはとても危険だという指摘がありましたが、確かにそうだと思いますので、それぞれの施設がどういう状況かということを知る上でも質問させていただいたところですので、お願いできますでしょうか。 ○内田座長 渡部様、いかがでしょうか。 ○児童健全育成推進財団 ありがとうございます。  まず今回、このヒアリングのお話をいただいた際に私どもでも実際にこうした犯罪に関する対応がどのようになっているかというのは残念ながらつかむことができておりませんでしたので、急遽、調査をさせていただいた次第でございます。  調査対象になりましたのは、私どもの方で持っております児童館組織の方で、また会員等々の組織を持ってございまして、そちらを通して各児童館の方に回答いただくという形で行っております。回答数は817というところなのですけれども、そうした今、申し上げたような方法で投げたものは施設では約3,000になっているのですが、何分、10日間という短い期間でしたので御協力いただけたのが817というような状況でございます。  それから、全国の児童館数でございますけれども、児童館は4,347、放課後児童クラブは2万6,683ということで、それぞれ国の基準がある中で行っておりまして、多くの児童館、放課後児童クラブというのは、特に児童館の場合は自治体が設置運営をして民間が運営を行うというような状況のところも半分ぐらいございます。  そして、放課後児童クラブの場合は公立公営が全体の約28%ほど、公立民営が約49%といったような状況になってございまして、かなり割合というのは違うところがございます。いずれにいたしましても、こうした状況の中で自治体ですとかその施設を運営している運営主体が採用ということを行うことになりますので、やはり情報があるかないかというのは非常に重要なところになってきますし、ここに他の施設からあぶれてきたそうした性犯罪の前科があるような者が流れてきた場合、どうやったらそれを排除できるのかというところは悩ましいところかなというように考えております。  以上でございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  小國構成員、お願いします。 ○小國構成員 アンケート調査を事前にしていただいて、本当にありがとうございます。  とても参考になりました。こどもに対する性犯罪防止のために実施していないという方が多いというのも、これはやはりアルバイトであるとか学生ボランティアというような方たちが多いからなかなか難しいのではないかと思います。そこで、性犯罪防止のために雇用する際にどういう仕組みがあるといいと考えられるのか、あるいはもう一つはどの様に情報漏えい等の防止ができるのか、その2点についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。 ○児童健全育成推進財団 ありがとうございます。  まず、雇用の方法でございますけれども、そちらに書かれているとおり、現状は各自治体、また各児童館、児童クラブの運営主体というところが主に試験を行ったり面接を行ったりという形になっておりますので、あとはもう履歴書ですとか本人申告の中で頼るしか方法がないわけですね。  あとインターネット検索をするというようなことも書かれていたのですけれども、そういった身近で取れる方法という形でしかできていないのが現状かなというように思っております。ですので、今後、そうしたことを防止するということになってきた場合には、やはり今、御検討いただいているような制度というのも導入というのは一つ大きな役割を果たすのではないかなというように考えてございます。  もう一つ、御質問の方なのですけれども。 ○小國構成員 守秘義務についてです。 ○児童健全育成推進財団 守秘義務ですね。守秘義務についてですけれども、こちらはやはり個人情報保護法に遵守するというようなところをマニュアル等で各児童館運営主体の方で作られておりますので、それを遵守するという形で研修を行うとか、それから、倫理の中でそうしたことについて注意を払っていくというようなレベルにやはりなってしまうのと、それから、当然のことながら、そうしたような情報が入っている重要な書類ですとかパソコンですとか、そういったものについては持ち出さないといったようなルールを決めるとか、そういったレベルにやはりなっている状況がございます。 ○小國構成員 罰則とか設けた場合には、なかなか受け入れ難いでしょうか。 ○児童健全育成推進財団 その罰則の内容にもよるのですけれども、基本的にはそうした情報漏えい等は守られるのが当然というように考えておりますので、基本的には受け入れられるものではないかなというように思っております。 ○小國構成員 ありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  他にいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。  それでは、児童健全育成推進財団へのヒアリングは以上とさせていただきます。  渡部様、誠にありがとうございました。 ○児童健全育成推進財団 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 ○内田座長 では、次に、児童養護施設における取組や現状につきまして、全国児童養護施設協議会の橋誠一郎様より御説明をいただきます。橋様にはオンラインで御参加をいただいています。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○全国児童養護施設協議会 よろしくお願いします。  それでは、皆さん、改めましてこんにちは。私、全国の児童養護施設協議会で今期、総務部長を務めております、東京にあります至誠学舎立川の至誠大地の家の橋誠一郎と申します。  本日はこのような貴重な機会をいただきましてありがとうございます。  児童養護施設は児童虐待等で傷ついたこどもたちが多く生活しておりますので、こどもたちを守るこういった仕組みを早期に整備していただくためにも、そういう機会を強く願って今日は発表させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、表紙を御覧下さい。まず、児童養護施設、全国の組織が全国児童養護施設協議会ということで全養協と呼んでおりますけれども、こちらの説明を簡単にさせていただきます。  次のページを御覧下さい。全養協は全国に606施設、現在、児童養護施設はございまして、それによって構成される協議会です。それから、児童養護施設は、児童福祉法制定時は戦後の浮浪児や震災孤児、そういったこどもたちを保護し生活する施設として始まりましたが、現在は児童虐待等家庭の事情で家族と生活することが難しいこどもたちが児童相談所の措置によって生活する社会的養護の施設の一つです。全国ほとんどの施設は民間の社会福祉法人によって運営されています。  定員ですが、大体3万人ぐらいであり、現員は2万3,000人程度です。  年齢ですが、2歳から18歳までというのが法律上ですが、法改正が重ねられまして、現在は0歳から上は大学進学している場合は22歳まで、この22歳も来年の児童福祉法の施行で年齢が撤廃になってお子さんの必要な時期までということが示されております。  次のページを御覧下さい。児童養護施設に入所するお子さんの状況ですが、入所理由としては平成30年の国の調査によりますと、虐待を理由とする入所が45%ということで一番多くて、次はお父さん、お母さんの精神疾患となっています。数字的には令和3年度が虐待相談件数20万7,660件のうち施設入所は4,421件ということで、相談件数から見ますと約2のお子さん、こどもたちが施設で生活しているということになります。障害のある児童も増えておりまして、36.7%が知的障害又はASDですとかADHD、そういったいわゆる発達障害、または反応性愛着障害等精神科の診断を受けたり服薬治療を受けたりしているお子さんも多いことが国の調査からも明らかになっています。それから、下の方、職員の方なのですが、どういった人が働いているかと申しますと、施設長、事務職員、こどもたちの生活を支えるのがケアワーカーと呼ばれる児童指導員、保育士、食事の面では栄養士、調理員、それから、心理の方、心理士や看護師、そういった医療面の治療的な関わりを持つ専門職や、あとソーシャルワーク的に家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員、自立支援担当職員等のソーシャルワーカーが配置されています。児童指導員なのですが、これは福祉系の学部の卒業、心理学、社会学、そういったところの大学で学んだ方、また、教員免許、それから、無資格者でも2年間の経験で任用される任用資格なのです。更に、現在は無資格者でも児童指導員や保育士を目指すという方は直接こどもの職員として採用していいというように条件が緩和されています。  次のページを御覧下さい。今度はこどもたちの生活の形態なのですけれども、児童養護施設はここ近年、大きく形が変わっておりまして、従来の大きな食堂や大きなお風呂で皆で生活するというよりは小規模化ということで、まず施設そのものが小さく、定員を小さくするということと、あと一つの生活集団が小さくなって現在は6人から、令和8年までには8名の定員を6人にするという、それをユニットと呼んでいますが、それが複数あるような施設、そのユニットの中には玄関がそれぞれあって、リビングもあって、キッチンもあって、こどものお部屋があってお風呂やトイレというようにそれぞれ生活が独立しているようなイメージです。本園と呼んでいますけれども、施設のあるところには事務室や会議室、そういったものが併設されていて、大きいマンションのようなイメージですかね。あとグループホームと呼ばれていますが、地域の中に分園ということでこどもたちの生活する単位を一般の戸建てのお家を借りたりとか、又は法人で建設して生活したりするというような形が進んでおります。  職員の勤務なのですけれども、大抵はそれぞれのユニットを担当する職員がおりまして3人から4人、現在はグループホームですともうこどもの数と同じだけ配置できるようないろいろな職員配置をよくしているのですが、ローテーション勤務といって交代勤務で24時間365日、こどもたちの生活を支えるということになっております。現在は一般的には宿直勤務ということで週に1回から、本当は労基法上よくないのですが、2回程度宿泊の宿直勤務ということで週の40時間の勤務と別に泊まりの勤務をしている、それを交代して日々回しているというような状態でございます。  したがいまして、夜間、職員1人でこどもを6人とか8人を見ている。又は本園ですとフロア2つのユニット6人が2つとか8人が2つのユニットを1人の方が夜を見るというような勤務体制で毎晩やっているところが多いです。  さらに、夜間に限らず、こどもの学校の関係ですとか、あとは通院の関係ですとか、そういったものもこどもの生活に合わせて勤務を変更しながらやっているというのが児童養護施設の職員なので、かなり職員の負担は大きいのと、あと1人で勤務するという機会がかなり大きいものですから職員と施設との信頼関係といいますか、そこに基づいてる現場だと思います。  次のページを御覧下さい。実施している取組でございます。これは一般的な施設はみんなこのようにやっていると思うのですが、まずは採用時の面接ですね。その際に、疑いの者はもちろん採用しない。採用時の宣誓書ですね。こどもの権利擁護というのは非常に大事にしている業界ですので、それについてのことですとか、もちろん体罰等はいけませんし、施設内虐待と呼んでいます。それから、個人情報、かなり家族のことですとか扱いますので、それについて個人情報を保護しますというような署名をいただくというのは一般的にされていると思います。それから、保証人も立てていただいております。  それから、研修です。権利擁護の研修ですとか、特にいろいろな環境から来るお子さんたちですので、それと、そういった環境によって行動等もやはり理解できないといけませんので児童の理解に係る研修を行っています。  それから、性教育もかなり大事にしております。性教育も性だけではなくて生きる教育という意味で取り扱っている施設が多いと思います。その研修も施設だけではなくて都道府県の協議会ですとか、全国の協議会でも実施しております。  それから、倫理綱領もありまして、大会の際には全員で斉唱するような機会もあって意識を高めようとしております。  それから、全養協で人権擁護チェックリストというのがもうかなり前からあって、改訂を重ねているのですが、これも全国の施設でなるべく職員各自が年間に4回ほどチェックして、施設のチェックリストというのもあるのですけれども、そういったものを年間やって、自分たちでチェックしましょうということを取り組んでおります。  それから、施設内虐待も根絶するために過去に全養協で照会の仕組みをやろうといった、平成26年か27年あたりだったと思うのですが、これは実は断念した経緯がありまして、採用の段階でその方がそういった事情で退職になってないかというようなことを、前に働いていた児童養護施設に照会する書類を出してもらうということを全国的にできないかという取組があったのですが、これはなかなかそれを理由で雇用しないということが、その方の働く権利としては施設や協議会が負うのは難しいということに最終的に判断になりまして断念した経緯があるということなので、今回、公的な仕組みができるというのは本当に一番良いことだなと思っています。  それから、事故防止のために苦情解決の観点から意見箱ですとか第三者委員というのが必ず施設に外部委員がいますので、そういった形でこどもたちにいつでも聞いてもらえるような仕組みと、あとここはスライド上にはないのですが、第三者評価のサービス評価の仕組みもありまして、民間の評価機関、民間の企業やNPOが多いのですが、そういったところが施設のこどもたち一人一人にインタビューをするというのが児童養護施設の仕組みなものですから、その話、面会の中から何か出てくるということもありまして、そういった仕組みもあります。  それから、最後に実際に性的被害を受けた場合でありますと、施設内の被措置児童等と虐待防止の各都道府県で実施する仕組みでありまして、お子さんに対して何度もヒアリングすることがありますため、また再び傷ついてしまう機会にもなってしまうというのもありましたので入れさせていただきました。  別施設に措置変更というのは、性的被害が起きた場合、児童間の場合は加害児童、被害児童ということになってしまうのですけれども、どちらかのお子さんが措置変更になるというのは一般的になっております。  次のページを御覧下さい。それから、採用の際の困っていることということで、体罰や虐待を行った経験のないことを証明する仕組みが今、やはりないものですからこれがあるといいなということで、私もアメリカの施設で実習、留学中したのですけれども、やはりポリスレコードということで自分がそういう犯罪歴がないというものを警察でもらってきてくださいということで、実習の前に警察へ行って身の潔白でありませんが、そういったものをもらってきまして、こういった仕組みが日本にあるといいなということはあります。  それから、都道府県内では公ではないのですが、ある程度施設の施設長の間で事故が起きれば情報も共有されますので、もし加害者となったような職員の方がまた再就職をという話になれば、県の中だと多分大体はもう何となく分かると思うのですけれども、県をまたいで応募される方もいるというのも聞いたことがあるものですから、そういった場合はなかなか分からないなというのはあります。  それから、何といっても児童に対する虐待行為、特に性的虐待行為については、中には犯罪が成立しないものもあるので、犯罪でないとやはり記録として残っていませんので分からないというところもあると思います。  それから、性的な虐待を起こして退職になりましたという職員がいた場合、自主的に退職してしまうともうそれで終わりになってしまうので分からないということで、東京都の場合はそれが児童へのそういった不適切な関わり、性的な関わりによる退職に該当する者がいても調査をしますということで、すぐには退職させずに自宅待機等をさせて調査するというのは行政の指示で今、なっております。  それから、解雇された場合でも本人が言わないと分からないという仕組みがあると思います。権利侵害を起こして諭旨解雇、又は懲戒免職等であっても、次の職場の採用試験に来ても本人が履歴書に書いていなければ分からないというものもあると思います。  最後の福祉施設を転々として応募してきた方等いらっしゃいました場合、その方が事故を起こした者でないということを証明するものが今ないということで、実際そういう方がいるというのもちょっと気を付けようみたいなのもあるものですから一応書かせていただきました。  それから、先ほど申し上げたように無資格者であっても資格を目指す者ということであれば採用できるように今、なっておりますので、いろいろな経歴のある方がここ2、3年、応募されてくるようになりまして、中途採用の方も随分多く応募してきてくださるようになりました。保育士の資格だけではありませんので、あと特に施設長もそうですね。施設長も結構違う分野でされていた方が施設長になられるというのもありますので、こどもの最善の利益、権利擁護の視点からも性的事故や暴力、不適切な関わりということからこどもを守ることは重要だと思います。  それから、日本版DBSの導入に当たっては、最後になりますけれども、全養協での過去の調査の中では68.9%が何かしらの虐待を受けて入所しているということで、事故が起こりやすい環境でもあるということが言えるかもしれません。だからこそ職員には高度な専門性と人権意識がすごく求められるのですけれども、そういった職員がこどもと関わるべき現場だと思います。  職員の採用に当たっては、今般の運用される日本版DBSを活用して厳しく取り組んでいきたいということが執行部の中でも確認されています。  先ほど述べさせていただいた、困っていることにありますように、犯罪歴とならない児童に対するわいせつ行為等も漏れることのない仕組みとなるよう検討いただきたいと思います。今般の日本版DBSが児童へのわいせつ行為の犯罪を防ぐものではないため、児童養護施設に従事する職員については研修等を通じてこどもの安全・安心な暮らしを保障していきたいと思います。  以上で全国児童養護施設協議会からの発表を終わります。どうもありがとうございました。 ○内田座長 橋様、どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に移りたいと思います。構成員の皆様は御質問される際は挙手をお願いいたします。  普光院構成員、お願いします。 ○普光院構成員 大変詳しい御報告をありがとうございました。私からお聞きしたいことなのですけれども、2点ございます。  1点目は、最後の方にお話ししていただいた、東京都が、問題があった場合にその職員をすぐに退職させずに調査をするようにしているという話がありましたけれども、それはいつ頃からされていて、その調査の結果、非常に問題があるとした場合に東京都はどのような処分をされているのかということをお聞きしたいというのがまず1点です。  それから、2点目なのですが、このDBSの制度を考えるときに、いわゆる犯歴あるいはもう少し広げてとか、あるいは例えば懲戒処分とか、そういう解雇された理由まで広げることもあり得ると思うのですが、そういったものがあった人の欠格条項、そういったことがあった人については再びこどもに関わる業務に再雇用されることはないという欠格条項を定め、それに該当していないという証明を当局が出すという。その証明をもって採用する側の方は割と簡単に、そういう無犯罪が証明されたからオーケーというように判断する方式が一つあって。ちょっと分かりにくくなりますけれども、もう一つは、ある程度の範囲で採用者が情報を閲覧できるようなシステムが作られて、そこで採用者が閲覧して自分で採用するかどうかを判断するという仕組みも海外ではあるそうなのですが、そういったいわゆる採用者側に判断が委ねられる。そして、そういったいろいろなもろもろの情報が採用者、採用する側に閲覧できるような形になるという仕組みが2つ目の仕組みなのです。その1つ目の仕組みと2つ目の仕組みがあった場合、どちらの方が採用される方にとっては安心かということをお聞きしたいと思いました。すみません、分かりにくくなりまして。お願いします。 ○内田座長 いかがでしょうか。 ○全国児童養護施設協議会 ありがとうございました。  1つ目の東京都の事例としては、大抵そういうことが起きると自主的に職員が退職届を出して退職、施設にしてみればそのまま残っていただくのも困りますので、退職になると思いますが、被措置児童と虐待の手順がありまして、国で定められているのですが、都道府県の調査後、最後、審議会まで出すという流れの中で結構時間がかかるものもありまして、その間のインタビューというか職員への聞き取り、また、こどもへの聞き取り、そういったことがありますと、入所しているこどもたち全員に聞き取りと、関係しているこどもに聞き取りとか職員に聞き取りとか、かなり大がかりな調査になりますので、その間に本人がいないと全貌が分からないというのもありまして、そういったこともあって調査の期間があるということがあると思います。  5、6年前ぐらいから言われていたような気がしますけれども、現在は一般的に、もちろんその間は自宅待機というか、仕事はしませんが、そこでどこに行ったか分からないという状態になりますと何といってもこどもを守ることができませんので。この結果を毎年、東京都の場合も含めてどこの県でもそうですが、インターネットでも公表されていまして、そういった児童福祉施設でも不適切な事故の報告というのがあります。  それから、2番目の方ですね。これは御本人が就職する際に犯罪歴があるかないかというのを出すのか、又は雇用者側がどこかに照会ができたらいいかという趣旨でしょうか。 ○普光院構成員 すみません、少し分かりにくくなってしまったのですが、仕組みは諸外国でいろいろあるのですけれども、典型的にいわゆる最初にこどもに関してこういう行為があった、あるいは罰を受けた、刑罰を受けたりその他あったりした人に関しては、こどもに関する職に就けないというような欠格条項をあらかじめ当局が決めておいて、それに該当した場合には無犯罪証明を出さない。つまり、無犯罪証明を出すか出さないかで、事業者の方はそれが出たかどうかで採用をするかどうかを判断できるという仕組みと、それから、そういう当局の証明ではなくて、当局の側である程度そういう方の情報をシステム上に記録していて、それを採用者の方が見に行ける。見に行って、その見た情報で採用するかどうかを判断することは事業者の方に任されるというのが2番目のシステムなのです。そのどちらの方が安心、どちらのといっても、それだけではないのでちょっと選べないとは思うのですけれども、もしその2つだとするとどちらが安心感があるかなというように思いましてちょっとお聞きしました。 ○全国児童養護施設協議会 分かりました。すみません、ありがとうございます。  どちらの仕組みにしても、そういった情報がある方の情報はどこかに蓄積されていてということなのですね。それが公でできるというのはもう本当にまずはどちらでもありがたいというのは一つと、1番目の方が多分私、アメリカで受けたのがこの形なのかなと思って、自分の犯罪歴はありませんというのをもらえるのだけれども、出すかどうかを当局が判断するということなのですね。2番目の方だとどういった犯罪をしたかも見えてしまうということになりますかね。こういった児童福祉施設で働くことを継続するのは難しい方でも、その方も人権もあるので、こどもに関わらない分野で働いていただくことにはやはりその方の権利としてもありますので、余り詳細までは分かりませんが、2番目の仕組みというのも私も全然想定はしていませんでしたが出来上がるとありがたいなというのも思いますし、もちろん、1番目の方ですともう当局の方でこの人は出せませんとなると何かあったのだなということでこちらも判断できるので、それでもありがたいなと思います。 ○普光院構成員 ありがとうございます。分かりにくい質問で申し訳ありませんでした。ありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  他にいかがでしょうか。  宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 ありがとうございました。  橋先生、いろいろお世話になって、今までも教えていただいてきたのですが、今日も教えていただきたいと思います。  社会的養護の施設は被害を受けて来たこどもたちが多いので、そのこどもたちが保護されて、保護した先で再び被害を受けるということはあってはならないことです。それゆえにいろいろなことを考えて厳しく対処してこられたのだなと改めて思いました。  ただ、今、困ってらっしゃること、悩んでいることが、この制度ができたらにわかに解決するのかというとそうでもない気がしました。例えば疑いでも対象にするということが果たしてよいことなのかどうか。逆にそういうかたちの厳しい社会にすればするほど表に出ないようにするという力も大きく働くかもしれない。また、疑われて実際はそうでなかった、冤罪等の問題が発生した場合にはその方の人生を完全に壊してしまうことにもなりかねない。社会的養護に入所しているこどもたち、先ほど橋先生の資料にも5%弱はお父さんやお母さんが拘禁とか服役で入所しているこどもたちだとありました。5%弱というのは20人に1人弱ということです。こどもたちが犯罪者のこどもであることを理由に差別されたり、施設に入っていること自体が差別の理由にならないように注意しなければならないと考えています。  やはり、厳しくするときには、更生の道を充実させるとか、あるいは疑いを排除していくというようなことも同時に必要だと思います。そう考えると、悩みが解決するというよりも深くなるようにも思えます。 先ほど先生が一旦先駆的に前の施設の退職を理由に採用しないというようなことをやろうとしたのだけれども、これは断念したということでしたが、このあたりの悩みの経験をもう少し詳しく伺うことがこれからのこの制度を作る上でも参考になるのではないかというように思いまして、そこをもう少し詳しくお聞きしたいと思います。そして、先ほど申し上げたことに対してどのように思うかということについても伺ってみたいと思います。お願いできますでしょうか。 ○内田座長 では、いかがでしょうか。 ○全国児童養護施設協議会 ありがとうございます。  宮島構成員がおっしゃるとおり、かなり社会的養護の分野は思いを持って、なかなか大変な仕事、本当に24時間交代勤務で大変な仕事なものですから、かなり思いを持って就職されていらっしゃる方が多い中で、こういったことも考えなければいけないということなので大変つらいものがあるのですけれども、先ほど御質問にありました全養協で過去にやろうとしたのを断念したというお話のところは、そのとき考えた仕組みとしては、この方はどうなのかという方がいらっしゃるという場合、みんなにみんなやるわけではないのですが、全養協の協議会の中で一応守秘義務等もかけておいて、実はこういう方が就職に来ていますというのを照会する仕組みを応募してきた施設から元いたという施設の方に照会をかけるというか、文書でこういう方が来ているのですが教えてくださいというのを出すことを考えていたところです。元いた方の施設から、その方はそういった不適切な関わりで退職したということでありませんというのを一筆出したもの、証明書を出すというような仕組みなのです。出さないというのももちろんそちらの元いた施設の方の権利としてもありますよと。いろいろ例えば職員間のちょっとトラブルがあったとか、もちろんいろいろあると思うので判こを押したくないというところもあるかもしれないなという話も当然出ましたので。ただ、こどもに関するところに関してはやはりそこは大事にしたいので聞きたいということで当時、虐待根絶委員会という名前だったと思うのですけれども、施設内のやはり虐待というものがメディアでも取り上げられて、とにかくなくさなければいけないと一生懸命だった。今ももちろん一生懸命やっていますけれども、そういう背景で特別委員会ができました。その情報については最終的にはきちんと、全養協は全社協の中の事務局であるのですが、そちらのもう鍵のかかる金庫できちんと保管するというようなところまでルールが決めていたのですけれども、実際断念したのはやはりそれを理由に就職できなかったということになってしまうのがその方にとって本当にいいことになるのだろうか。先ほど宮島構成員がおっしゃったように、実はそういう事情がもう少し違うところにあるかもしれないとか、本当に一生懸命だったために施設の組織とちょっと違う行動になってしまったとか理解を得られなかったというようなこともあるかもしれないということで、なかなか難しいという判断で実施されなかったというような経緯があります。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  他にいかがでしょうか。ちょっと時間が超過しておりますので、大体よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。  それでは、全国児童養護施設協議会へのヒアリングは以上とさせていただきます。  橋様、誠にありがとうございました。 ○全国児童養護施設協議会 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。 ○内田座長 それでは、次に、障害児入所施設や障害児通所支援における取組や現状につきまして、日本知的障害者福祉協会の北川聡子様よりお願いしたいと思います。北川様にはオンラインで御参加いただいております。  では、よろしくお願いいたします。 ○日本知的障害者福祉協会 日本知的障害者福祉協会副会長の北川です。どうぞよろしくお願いいたします。  本日はこのようなヒアリングの機会をいただきましてありがとうございます。  それでは、お話をしていきたいと思います。  表紙をおめくりいただき、次のページを御覧下さい。日本知的障害者福祉協会なのですけれども、昭和9年に知的障害のある方の福祉のために創設されて来年で90周年を迎える団体です。  次のページを御覧下さい。知的障害のある方々のための事業所、こどもの児童発達支援センターから障害児入所施設、それから、成人の通所、就労等入所も含めて全国で約6,500事業所の方々が会員になっています。そして、障害のあるこどもの事業所に通う今の全国の数ですが、全国的には児童発達支援事業所で令和5年だと思うのですけれども、17万人、放課後等デイサービスで30万人を超えている実態があります。  次のページを御覧下さい。私の所属する施設は、幼児期の児童発達支援事業所と放課後等デイサービスのこどもたちを合わせると約400名ほどのこどもたちが通園してきております。そして、こどもとお母さん向けに10年前から年1、2回、性教育を行ってまいりました。その目的は、こどもたちに性に関しての情報があふれているので、正しい知識と情報を伝えていかなければならないということと、こどもがやはり安全な毎日を送る、自分が守り守られていくためにこのようなことが必要だということから性教育を行いました。  そして、目的としては、性のことはお互いリスペクトの中で行う行為であること、その結果としての命の誕生は本当に奇跡に近い尊いものであること、それから、自分と人を大切にすることが体を大切にすることでもあり、プライベートゾーンのことを学びました。また、そこにはお母さんやお父さんと一緒に学ぶということを大切にしてきました。  次のページを御覧下さい。大人と一緒に学んだのは、もし被害に遭ったときに、つらいことだから、こどもは悪くないから、ここにいる大人に伝えてね、嫌だったら言っていいのだよ。一緒に話を聞いた大人は、もしこどもから被害の話を聞いたら、怖い思いをしてつらいのはこどもで、大人は決して本人を責めないでね、よく話してくれたねと伝えてほしいという講師の先生からの予防も含めて学びました。私たちのところにいるお母さんたちの話を聞くと、性被害を受けたお母さんたちの話を聞くと、あなたがそういう行動をしたからよということで二次的な被害になったりするということも聞いていましたので、この先生の言葉は親御さんに対しての良いメッセージになりました。  次のページを御覧下さい。しかし、それでも、実際に被害に遭ってしまったこどもがいました。暗い帰り道で知らない人に抱きつかれて体を触られるということがありました。このこどもは性教育を受けた中学生の女の子だったので、そのために一緒に学んだお母さんにすぐ伝えることができました。お母さんも一緒に学んだのですぐにクリニックの方のお医者さんだとか放課後等デイサービスの先生や心理士に相談して、こどもさんも心のケアにつながることができました。  次のページを御覧下さい。本当に知識がないと、つらいことであるため伝えることが難しいというように思ったのですけれども、この子は残念ながら性教育を受けていなかったので、かなり時間がたってからお母さんに伝えて発覚しました。本人の気持ちを思うと、本当に私たちは性教育を全てのこどもに届けなければいけないなと思いました。そして、保護者の方もつらい中、関係機関に相談して問題の解決に当たりましたが、加害者は有罪判決となったのですが、その後、まだ同じ地域に住んでいるということで今でも家族は不安を持ちながら生活しているということとか、警察で何度も何度も証言しなければならなかったことがとても負担だったということをお父さんとお母さんがおっしゃっていました。  次のページを御覧下さい。このことがあってから、私たちは、性教育は年1、2回では駄目だ、足りないと思いました。また、障害のある子はなかなか自分の遭ったことを表現できなかったり、意思を伝えられなかったりするので被害に遭いやすく、日常的に性教育を行う必要があるというように考えました。  次のページを御覧下さい。実際の取組としては、毎週水曜日に法人全体の小学生以上に対してプライベートゾーンの大切さ等について、こういう紙芝居のような絵等を使いながら、発達障害のこどもも多いので具体的に学ぶようにしています。幼児さんは月1回、行っています。その中ではやはりきちっと知識、スキルを身に付ける。それから、ノーと言う練習。それから、大人には助けを求めていいのだということと、やはりこども同士の児童間の性的な暴力もありますので、そういうことも友達同士でも駄目なのだよということをこどもたちが知識として学んでいくということと、やはりこれは練習をしていく、練習しないとなかなか体もこわばることですし、助けを求められないので実際声を出して助けを求める練習を毎週今は継続しております。  次のページを御覧下さい。このことをうちの放課後等デイサービスの職員からこどもに伝えるという時間を取っていますので、一緒に職員も学んでいます。それは職員のリスクマネジメントにもつながると思っています。現状、働く職員に性犯罪の前科があるか等、そういうことが確認できないので、やはり被害者や加害者を作らない、性的被害を防止する取組は現場で必要だというように思います。  まず私たちのところでは、こどもとほとんど1対1にならないように対応しましょうというようにしています。また、乳幼児であっても、男性は女の子の排せつの介助はしない、それから、携帯電話で写真を撮る等の行為が新聞とかで出ていますので、支援現場には持ち込まないようにする。それから、幼児の場合はお昼寝もあるのですけれども、お昼寝はしっかり座ってとんとんして横にならない等のいろいろな細かいルールは取り決めていますが、私たち、やはり一施設だけでは難しいというように思います。もっと制度的にこのようにこどもを守るための研修を位置付けていく必要がありますし、研修をしっかり園やその機関がしているということで犯罪というかリスクの回避にもなるというように思います。ただ、それだけではやはり弱いので、今、行っている日本版DBSの導入等は必要だと思います。ですから、性犯罪の前科を有する方が保育現場に入らないようにする仕組みは私どもは必要だと考えます。  次のページを御覧下さい。このような性犯罪は再犯率の高いアディクションにもつながることなので、ジャッジするという面もあるかもしれないのですけれども、私も心理職としてやはりこれに関してはこの後の専門の先生方のお話にもあると思いますが、治療が必要なことであるというように思います。治療の必要な方はこどもの支援者にならない工夫が必要だと思います。  先ほども何度も言っていますけれども、これは現場だけで予防するのは大変難しいことです。そして、こどもにとってはとても心の深い傷になるということになりますので、私たちは事業所に来ているお母さんたちのカウンセリングを行っている中で、その中で長年話せなかったけれども、実は性被害に遭ったことがあるというお母さんが少なくありません。やはりこのセクシャルアビューズを受けたお母さんたちの自助グループもあって、定期的にケアカウンセリングを行っていますけれども、なかなか心の傷は深いものがあるなというように思います。ですから、本当にこどもの関係者を含めた全国的に意識的に予防教育等を位置付けていく必要があるのではないかと思います。  あと被害があったとしても、そのケアの在り方や自分が悪かったからだと思わないような周りの関係者の対応、配慮、知識も必要だと思います。  本当に学校、保育園、児童館、放課後等デイサービス、ベビーシッター、スイミング、習い事、こども食堂、こども会、それから、施設でも性被害が起きているので、このようないろいろな場所でDBSの対処は大切なのではないかと思います。  これは親御さんのお話ですけれども、こどもを連れて警察、婦人科、検察で何度も話すことになる。それから、裁判になると職場に言えないまま仕事を休むということになって親の方も心のケアが必要で、親も本当につらかったし、こどもを支えるということをしていかなければいけないけれども、自分たちもつらかったということもお伝えしてほしいということを今回、お父さんの方から直接言ってくださいましたのでお伝えします。  これで終わりたいと思います。次で終わりです。  御清聴ありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問される際は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。  神吉構成員、お願いします。 ○神吉構成員 詳細な御報告をいただきましてありがとうございました。  今考えている日本版DBSの制度で情報開示の対象となるのは刑法犯としての前科と考えられるのですが、例えば職員からの性被害が障害者、福祉の現場で起きたとして、それは現在、前科という形で残る取扱いになっているのでしょうか。先ほども障害者支援の方からお話しいただいて、そこでは「事故」という扱い方がされていたのですけれども、こういう職員からこどもに対する性に関わる虐待事案内容があったときに最終的に刑法の犯罪として取り扱われる確率や見込みを、もしお持ちでしたら教えていただけますでしょうか。 ○日本知的障害者福祉協会 児童福祉法第34条の規定や刑法上の罪等を犯すこととなれば、当然、当該刑法上の罰則等の対象になってくるのだろうと思います。私たちのところでは、たまたまこども食堂で被害があった方だったのでお母さんとお父さんがこれは被害があったということで訴えました。また、都道府県知事は、毎年度、被措置児童等虐待の状況、被措置児童等虐待があった場合に講じた措置等を公表することになっているかと思いますが、個別事例の情報が伝わるということは今はないというように思いますので、ここら辺の仕組みも刑法ではなくても、やはりそのような被害があった場合は何らかの情報共有、本当に本人の人権もあるとは思うのですが、人権も含めた情報共有の在り方というのは現場では求められると思います。 ○神吉構成員 ありがとうございます。 ○内田座長 ありがとうございます。  他にいかがでしょうか。ほかには特によろしいでしょうか。  それでは、北川様、どうもありがとうございました。大変詳細なお話をいただきました。日本知的障害者福祉協会へのヒアリングは以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。 ○日本知的障害者福祉協会 ありがとうございました。失礼します。 ○内田座長 では、続いて、性暴力による児童への影響等につきまして、被害者臨床の専門家であられます上智大学総合人間学部心理学科の准教授であられます齋藤梓先生からお願いしたいと思います。齋藤先生にはオンラインで御参加いただいていますが、長時間お待ちいただきましてすみません。  では、よろしくお願いいたします。 ○齋藤准教授 本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。上智大学総合人間学部心理学科の齋藤と申します。  プロフィール等はお手元に配布いただいているかと思いますので、早速、中身に入っていきたいと思います。  表紙をおめくりいただき、次のページを御覧下さい。今回ですが、児童が被害者の場合の性暴力の発生のプロセスについてと性暴力が児童に与える影響の2つについてお話をさせていただきます。  次のページを御覧下さい。こどもが被害者の性暴力の加害者というのは例えば本当に様々です。同年代あるいは年下のこどもであることも、少し年上のこどもであることも、家族や親族、教師や習い事の先生、知らない人、そして、最近では特にSNSで出会った人等であることも多く、本当に加害者は多様です。  次のページを御覧下さい。加害者がこどもであるということもそうですし、発生のプロセスも本当に様々でして、例えば同年代のこども同士ですとスカートめくりであるとかズボン下ろしであるとかという一見遊びに見えるような性暴力がありますし、もちろん年配の大人から一見遊びに見えるような。例えば膝の上に乗せてくすぐっているように見せて体を触るであるとか、様々な性暴力がございます。いじめが伴うもの、家庭内でのもの、そして、性的てなずけ、性的グルーミングというように言われますけれども、そうした性暴力。あるいは脅し等を利用したもの、突然襲われるもの、SNS上での性暴力等があります。今回は時間も限られておりますので、性的てなずけに限ってお話を進めさせていただければと思っております。  次のページを御覧下さい。性的てなずけ、性的グルーミングと言われるものは、顔見知りからのもの、知らない人からのもの、SNSでのものと、こういった大きく分けると3種類あるかなと思います。SNSでのてなずけが本当に大きな注目を集めていますが、やはり古くからといいますか、ずっと昔から知られているのは、基本的には顔見知りからのてなずけ。親やきょうだいや教師といった、こどものすぐ周りにいる大人たちからの性的グルーミングというものが本当に大きな問題でして、1990年代から心理学の領域では研究されてきたかというように思っております。  次のページを御覧下さい。こちら、性的てなずけの対象というように書いておりますが、加害者はどういった対象にグルーミングの手法を使っていくかといいますと、もちろんこどもはそうなのですが、最初に組織とかコミュニティーに対してのてなずけというものがあると言われています。これはこどもに関わるような組織やコミュニティーに入っていって、そして、その中で信頼を得ていって、こどもと常に1対1になれるような制度を利用して加害に及んでいくというようなものになります。  例えば塾もそうですし、学校もそうですし、あるいはこどもたちだけを対象にしたキャンプであるとか、様々なこどもに接触するコミュニティーに加害者が入っていっていくということになります。そして、さらにこどもや組織からの信頼だけではなく、家族からの信頼、こどもの家族から相談に乗るであるとか、そういうようなこともしていって信頼を得ていく。そうすると、こどもたちは何かおかしいなと思うことをされていても、あんなに信頼されている人に対してこどもの私が何かを言っても家族も組織も信じてくれないだろうなという気持ちになっていきます。  加害をする人たちは自分たちに、自分自身に対してもグルーミングをしているというように言われまして、これは何かといいますと、自分のしていることは犯罪であるとか加害であるということではなくて、これは愛情であるとか、こどもに教えてあげているのだとか、自分自身を正当化していき、そして、最終的にこどもに対して接触をしていくということになります。  こどもに対する性的てなずけのプロセスというのを次に説明させていただきます。  次のページを御覧下さい。こちら、性的手なずけのプロセスというもので、プロセスについてはずっといろいろな研究があるのですが、比較的新しくいろいろな研究をさらって整理されたものがこちらのプロセスになります。  まず探索するというものがあります。探索するというのは何かというと、接触しやすいこどもたちを探す、あるいは悩みを抱えている子であったりとか、あるいは何か寂しさを抱えているこどもであったりとか、そういったこども、接触しやすいこどもを探していくというプロセスがあります。ただし、こどもたちは誰でも悩みを持っていて誰でも大人に好かれたいと思っているので、探索すると言っても本当に多くのこどもたちが対象になります。  そして、接近し、隔離していくというのは、例えばこどもたちだけのキャンプに誘い出すであるとか、あるいは1対1で個別の指導を行うであるとか、特別対応をするであるとか、こどもたちに近づいていって物理的に他の人たちから引き離していったり、大人もまた引き離していったりですとか、あるいはこどもたちに周りの人というのは信用できないねとか、君は頑張っているねというような言葉をかけていって周りの人との精神的な距離を空けさせていくというものです。  そして、こどもに頑張っているね、偉いね、私は好きだよとか、大事だよみたいな感じの言葉をかけていって信頼関係とか愛情関係を構築していく。そして、マッサージをするとか膝の上に乗せるとかくすぐり合ったりするとか、性的なことに慣れさせていったり、あるいは中学生ぐらいのこどもですと性的なことに関心がありますので、そういった話題に触れて性的な話をしたりするとか、過剰なコミュニケーションに慣れさせていって加害に及ぶ。そして、加害が終わった後も優しくして、こどもたちが加害から離れていかないようにしていく。様々な性的なてなずけの加害者たちの行動を見ていると、こういったプロセスがあるのだなということが分かります。  次のページを御覧下さい。それをこどもの視点で考えてみますと、こどもたちは自分に声を掛けてくれた、注目してくれた、周りの大人から信頼されている大人が自分に声を掛けてくれたというのはすごくうれしく、また楽しく遊べるのではないかとか、あるいは自分が特別な存在なのかもしれない、自分は特別大事にされているのかもしれない、そういうのもやはりうれしいことになります。  大切にしてくれているのだな、信頼できるのだなという思いを育てていき、そして、そこから性的な接触が始まったとしても、少し怖い、少し何かおかしいなと思っても、知らないことを教えてくれるとか、あるいは大事にしてくれる人だから逆らってはいけないのではないかとかそういうように思いますし、性加害が行われたとしても相手を疑ってはいけないとか、あるいはその後、優しくされることで、やはり優しいのだとか、だから、このことを誰かに相談することでこの人の立場が悪くなってはいけないとか、そういったように思って、こういう性的てなずけの性被害、加害というのはすごく継続されやすいということがあります。  こどもたちにとっては大切にされてうれしいことも、もちろん新しいことに興味を持つことも当たり前のことですし、何か物理的にも精神的にももらっていますし、こどもたちの側からこの性的てなずけのプロセスを防ぐというのは非常に難しいです。これは環境を変えるか、あるいは加害者と接触させないというようなことで、やはり防犯というか犯罪が起きないことを目指す、となるかなというように思います。  次のページを御覧下さい。被害児童に与える影響を御説明いたします。  次のページを御覧下さい。性暴力被害というのは一般的に言うとトラウマ反応、性暴力でのトラウマ反応というのが起きますし、その後、様々な精神疾患が起きることだけではなくて、こどもたちは健全な様々な発達に影響が出ること、人生や尊厳に影響が出るというような本当に多岐にわたる影響が出てまいります。  次のページを御覧下さい。トラウマ反応というのは一般的には大分知られてきたことかなと思うのですが、ショックな出来事、衝撃的な出来事、あるいはショックとか衝撃的というのは分からないけれども、年齢不相応な性的な体験等があると、眠れない、食欲がないといったような状態になったり、そのことが繰り返し思い出されたりします。あるいはこどもたちはフラッシュバックという感覚がどうも分からない場合があり、ただただいらいらするとか、すごくかんしゃくを起こすとか、すごく情緒不安定になるような、割と行動や感情の面に状態が反映されやすいということがあります。  また、外に出られなくなることもありますが、こどもたちの影響ですごく大きいのは、例えばスマートフォン等が手放せなくなります。それはなぜかというと、フラッシュバックは映像刺激である場合が多く、スマートフォンを見ていてゲームをずっとやっていれば思い出さなくて済むので。そして、ずっとずっとゲーム等が手放せないとか、あるいは自分が誰かに攻撃されたために、逆に誰かを攻撃することで自分の主体性を取り戻そうとするような、一見、周りから見ると問題に見える行動が出ることもあります。いらいらするのですごく反抗的になったり、非行傾向に見えたりといったようなことも出てきます。  そして、考え方として世界は危険だとか、他人は信頼できない、自分は価値がない、自分が悪い、自分は汚い等が出てきまして、例えば被害に遭った小学生でも、もう自分は汚いから将来、何もできないとか、こんな自分はもう生きている価値がないみたいなことを本当に小学生ぐらいのお子さんたちから聞くこともあります。  次のページを御覧下さい。こちら、詳しくは見ていただければ分かるので説明はいたしませんが、これらの性暴力の精神的な影響についての様々な研究をまとめたものです。古いデータになりますが、もちろん被害の影響についてこどもに直接調査するのはすごく難しいので基本的には大人に調査しているものですが、大人でこんな結果が出ているのならば、こどもならなおさら結果が出るということになります。大人よりこどもの方が影響が出にくいということはなく、やはりこどもの方が発達途上でぜい弱ですので、こどもの方が影響というものは出やすいし、長引きやすいということがあります。  次のページを御覧下さい。こちら、ACE研究というアメリカの方から始まった研究ですけれども、幼少期、こどもの時代の虐待があるとか親が刑務所に入るであるとか、そういったものというのがその後、神経の発達を阻害し、そして、社会的な障害が出たり、先ほど言ったような健康を害する、例えばたばこに依存するとか誰かを攻撃するとか、あるいは社会的な困難を抱えるとかということで、幼少期にいろいろな虐待とか虐待的な環境に置かれたこどもたちというのは早くに亡くなる可能性が高くなる、リスクが高くなるということがこちらの研究で分かったというものになります。  このACE研究について、最初の方に行われた調査から使われている少年期の虐待体験の質問紙というのがあるのですが、この中で身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト等は家庭内の大人から頻繁にしばしば行われたみたいな文言が付くのですけれども、性的な虐待に関してだけは加害者を大人には限っておりませんし、5歳以上大人、自分より5歳以上年上の人からであれば、回数も継続性も書いていないので、1回限りでもこれに当てはまるということになります。  性暴力というのは、決して家庭内だからとかそういうことではなくて、1回でもこどもに起きたらその後も影響は甚大であるということになります。  次のページを御覧下さい。下記の点にも影響しますということで、精神的なことだけではなくて、健康であるとか行動であるとか人生というものに影響しますということになります。  次のページを御覧下さい。こちらは最後のスライドとなりますが、性暴力がこどもに与える影響は様々あるのですけれども、先ほど言ったトラウマ反応とかそういった反応だけではなく、そもそも大人というのは自分を守ってくれるものだとか世界は自分を守ってくれるものだと思っていたので信頼が裏切られた感じがあったりとか、自分の行動が性暴力を引き起こしたのではないかというようなことを思ったりですとか、あるいは同意の概念が分からなくなるので、その先、そこから先、適切な対人関係が持ちにくくなったりですとか、すごく自分を責めたり、自分は価値がないという思いを持ったり、そうした本当に様々な影響というのが出まして、それが例えば成長してからもリスクの高い性行動とか自殺念慮、自殺企図のリスクを高めるとか、本当に深刻な命につながるような影響につながっていくとか及んでいくということがありまして、性暴力はこどもに本当にいつまでも起きてはいけないことではないかというように考えております。  そして、こどもたちが守られるような制度、守られるような社会になるということを切に願っております。  以上になります。ありがとうございます。 ○内田座長 齋藤先生、どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、質疑応答に移りたいと思いますが、大変興味深いお話でしたのでたくさん御質問があろうかと思います。しかし、時間が予定より遅れております。そこで、構成員の皆様には御質問をできるだけ簡潔にお願いできれば幸いです。  それでは、どうぞ挙手をして御発言をください。いかがでしょうか。  どうぞ、宍戸構成員、お願いします。 ○宍戸構成員 東京大学の宍戸と申します。  大変貴重なお話をありがとうございました。  1点お伺いをしたいのは、スライドで申しますと7枚目、8枚目のあたりが、日本版DBSを検討している私どもといたしまして、特に重要な教育・保育等の場面での性犯罪の経歴のある人がこの場に関わらないようにした方がいいのではないかという議論に関わっているので大変興味深くお伺いしたのですが、特に先生から御覧になっていて、日本の教育・保育の場面で性犯罪が起きやすい特質が世界的な教育と比較して、あるいは性暴力の様々な場面を措いて、日本における特有の事情、この種の議論をする際に考慮すべき事情が何かお気付きの点があれば教えていただきたいのですが、いかがでございましょうか。 ○齋藤准教授 大人の目が少ないということが一つはあるかなというように思っております。学校の先生方は大変御多忙だということはあるかと思うのですが、誰が、例えば担任が児童生徒を個別指導するときに管理職が誰も把握してないことがあったりですとか、あるいは誰が今、誰と二人きりになっているのかということが把握されていなかったりですとか、こどもたちが、あるいは担任制がきちんとあるからこそ余計に、他クラスの子には他の先生は口を出してはいけないのではないかというような考えもあったりですとか、そういった大人の目が少ないということは一つ大きく関わっているのかなと思うことがあります。  あとは身体接触が、この身体接触はおかしいのではないかなというような感覚は多分薄いといいますか、抱きつくとか膝に乗せるとかというようなことが割と当たり前、最近では認識されてきたとはいえ、そういった身体接触に対する考え方とか捉え方というのが日本、このあたりは難しい判断になってくるのかなということを思っております。 ○宍戸構成員 どうもありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  他にいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。  それでは、せっかく興味深いお話をしていただいて、実はまだまだ質問があるのだと思いますけれども、時間の関係でこの辺で終了させていただければと思います。齋藤先生にはどうもありがとうございました。 ○齋藤准教授 お時間いただきましてありがとうございました。失礼いたします。 ○内田座長 それでは、次に、性犯罪者の実態や処遇について、加害者臨床の御専門家であられます早稲田大学人間科学学術院教授の嶋田洋徳先生からお話をお伺いしたいと思います。嶋田先生にはオンラインで御参加をいただいています。長い時間、お待ちいただきまして申し訳ありませんでした。  では、嶋田先生、よろしくお願いいたします。 ○嶋田教授 早稲田大学の嶋田と申します。  本日は貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございます。  私の方からは、性犯罪の加害者に対する治療的支援のあらましについてお話しさせていただきたいと思います。  表紙をおめくりいただき、次のページを御覧下さい。現在のところは、性犯罪加害者に対する再犯防止に対しては、認知行動療法に基づく治療的支援が最も有効であるとされています。この認知行動療法というのは心理療法、非薬物療法の一つでありまして、行動科学に基づいた比較的エビデンスの蓄積が多い心理療法になっています。  我が国におきましては、皆様方も御存知かと思うのですが、2004年の秋に発生した奈良女児誘拐殺人事件を背景とした法改正が行われまして、法務省の矯正局、保護局において認知行動療法という心理療法に基づく実践を既に行っているカナダあるいはイギリスの実践を先例としながら性犯罪者処遇プログラムが策定されております。  法務省矯正局におきましては、こういった特別なニーズのある方々を対象として特別改善指導プログラム、矯正処遇符号で言うとR3という法務省の符号が使われているのですけれども、保護観察所等においても専門的処遇プログラムとして位置付けられており、刑務所や保護観察所において認知行動療法に基づく再犯防止指導が行われているというところです。  次のページを御覧下さい。これらの国家的取組を背景としまして、実は民間の方にも大きな影響があり、民間の医療施設等においても認知行動療法に基づく治療的支援が行われるようになってきました。それまではいわゆるセルフヘルプグループ、自助グループと呼ばれる、同じような問題性を持つ方々が集まるグループミーティングがメインだったのですけれども、国が採用した認知行動療法に基づくものはどうやら有効らしいということが民間にも伝わりまして一部で行われるに至っています。ただし、全国的にはこの治療が行われているのはまだまだ少ないというところにあります。  諸外国におきましては、いわゆる性欲をコントロールするために薬物療法、これはSSRIといううつ病に対する治療薬の副作用等を利用するものですとか、いわゆる抗男性ホルモン剤、化学的去勢と言われるようなものをこの認知行動療法と併用することがあります。  我が国におきましては、もちろんコストの面、人権的側面からこういったことを懲罰的に利用することは現実的ではありませんので、一部の医療施設で任意で治療法の一つとして紹介されるにとどまっています。  また、諸外国におきましては、治療的支援の効果としてプレチスモグラフィーというのですけれども、これは体の膨張等を計測する機械等の総称でして、例えば私がカナダの方で見てきたものでは、男性の陰茎にゴムのようなものをはめまして、それを治療後に幼児の動画、私が見たものでは普通の幼児、女児がプールで水着を着て戯れるようなほほ笑ましい映像を見せます。それによって陰茎が勃起するかどうかというのを測定して本当に対象者が安全かどうかというのを測るような仕組みも導入されています。  しかし、日本におきましては同様に人権等の問題等もございますので、質問票、御自身が評価したり、あるいは十分にその方を知る他者が評価する、あるいは専門の心理技官等が評価する等にとどまっているというところでございます。  次のページを御覧下さい。性犯罪加害におきましては、心理的機制を十分に考慮した働き掛けというのが行われておりまして、一般に思われているように「性欲の充足」というところの面は確かに共通しているのですけれども、認知行動療法に基づく場合には性加害行動がどのような「機能」を有しているのかというアセスメント、そしてそれに見合った治療的支援を行うことが重要だというように言われています。すなわち、性的加害は性欲の充足のためだけに行われているのではなくて、生活の中でその方にもたらされる様々な環境が影響しているというように考えます。これに関しましては後ほど例示いたします。  また、性犯罪者に対しては厳罰をもって処遇を望む声が強いのですけれども、厳罰で再犯が抑止されるというエビデンスが残念ながらほとんどないというのが現状で、むしろ厳罰に科すと再犯率を高めてしまう結果に結び付きやすいというのが学術的研究でも知られています。そこで、現在では、対象者の特徴に見合った手続が用いられていまして、これはこの領域では比較的有名な原則なのですが、RNRの原則というのに従っています。これはすごく簡潔に申し上げますと、重症度の程度が軽い方には相対的に軽い処遇を、重たい方には密度の濃い処遇をといったように、その方に合った密度、回数に従うように設計されたものです。日本においても法務省においてこの考え方が採用されています。  次のページを御覧下さい。先ほど申し上げた「機能」という側面の説明を少しだけさせていただきます。行動科学の理解の仕方では、ちょうど四角の中央にございます手を伸ばして触る、これは性加害行為、痴漢等と思っていただければよいのですが、それがどのような状況で起きるかという先行事象、そして、どのような結果が起きるかという後続事象という3つの枠組みから捉えることが多いです。  したがいまして、例えば上下を比べていただきたいのですが、左からすぐ目の前に好みの女性がいるときに手を伸ばして触るというところだけを取り上げるのであれば、加害者には同じような心理療法が有効だということになるのですが、実際にはそうはいきません。例えば上で言いますと、手を伸ばして触るというときには、いつ騒がれるのかのスリルがたまりませんといった方がいますし、逆に下で言うと、いらいら感やストレスが解消するという方がいます。  この後続事象の方の分析を丁寧にやりますと、例えば手を伸ばして触るというところを別の行動に置き換えると考えます。行動科学では何々「しない」ということは難しいので、どんなときに性加害するという行動を何々「する」というより適応的な行動に置き換えるという作業をいたします。したがいまして、例えば上のパターンで理解される方は手口が同じであっても別の行動、例えばくじ引きをするですとか、もっと生活の中でスリルを味わうといったような行動に置き換わる可能性が高いですし、下のパターンの例で言いますとストレスの解消する方法というのを性加害以外のもので身に付けることができれば性加害をする確率は下がっていくだろう、このような理解をしていきます。  一般に犯罪はストレスによって生じるというように言われていますけれども、それはこの絵で言いますと下のパターンに当てはまりますが、確かにそういうものが多い一方で、ストレスがなくても加害する方は多くいます。特に性加害の場合はそれが顕著だと言ってもいいかもしれません。  次のページを御覧下さい。このような枠組みの理解を性加害をする直前の行動だけではなくて、生活のどのようなことに端を発して、どのようなプロセスをたどって性加害に至るのかということを一連のプロセスで検討するということを行っていきます。その「行動の連鎖」でその方を理解することができれば、その生活のどこかで断ち切ることによって性加害まで至らない仕組み、これを心理的機序に基づいて支援していくということを行っています。  もともとは法務省の矯正局と保護局で別々の様式等を使っていたのですが、最近はこういった収容中から出所後まで一貫性のある効果的な指導を実施するということで法務省の方でも工夫された共通様式が使われていまして、このやり方に基づいて性加害の再犯防止をしようという試みを行っているというところでございます。  次のページを御覧下さい。これが先ほど申し上げた先行事象と後続事象で、ちょうど不適切な行動を減らすということを取り去るというところと他の行動に置き換えるというところ、そして、適切な行動を増やすといったところが赤字になっておりまして、理屈の上では不適切な行動を減らすということだけでは再犯防止につながりません。再犯防止のためには先ほど申し上げた適切な行動を増やすといった支援を同時に行っていく必要があります。特に不適切な行動を減らすためには、きっかけとなる出来事を取り去ることと、それから、先ほど申し上げた機能に応じたその方の別の行動に置き換えるといったことが同時に行われると性加害行動を減らす可能性が高くなります。それと同時に、事件と同じような状況のときに適応的な行動が取れれば結果的に性加害を抑止することができる、予防することができるということになります。  次のページを御覧下さい。このように再犯防止計画というのがありまして、最終的には自分用のものを作ります。この計画は個人によって違いまして、ある方は自分のルートに従ってこのようにやるといったものが別の方にも同じような「行動の連鎖」になるとは限りませんで、個人個々に違ったものを作るということになります。その中に先ほど申し上げたきっかけを減らすという環境調整を行う、先行事象のコントロールをするという手続がありまして、それは性加害を行うに至るきっかけから遠ざかる内容がもともとからその一部に含まれています。すなわち、こどもに接しないという手続が認知行動療法を用いた治療的視点には既に含まれているということになります。従いまして、性加害者をこどもから遠ざけるということは、決して更生の機会を奪うものではなく、再犯防止の施策とも方向性としてかなりの程度一致しているのではないかと考えております。  そして、こどもに対する性加害を行った者の場合は、生活の中でなるべくこどもに接触しないような具体的な工夫を行うことになりまして、通勤手段や経路を変えたり、こどもに関わる職業等に就いている場合には転職等を勧奨したりします。これはあくまでも加害者自身が犯罪から遠ざかる、再犯から遠ざかるための一つの選択肢として提案するにとどまっているのですが、実際に再犯するかどうかに関しましては、ここのところが非常に大きなポイントとなっていることは申し添えたいと思います。  そして、いわゆる性的し好性に関しましては、性的し好の短期的変容、例えば小さなこどもが好きであるといったようなことを短い期間で治すということはやはり困難でありまして、性的行動といいますのは薬物等のアディクション等と違いましてゼロにはならないので、性犯罪にならないように、すなわち社会的に容認される方法を用いて自分の特徴とうまく付き合っていきましょうということが当面の目標になります。そして、その当面の目標を続けていくうちに性的し好の長期的変容を目指していくというのが一般的な考え方になっています。  次のページを御覧下さい。被害者がこどもである加害者の特徴は、大きく分けて二つございます。  被害者がこどもである場合は、加害者が幾つかの様態に分けて理解され、13歳未満の被害者がいる場合には医学的診断である小児性愛障害を念頭に関わることが多いのですけれども、これは医学的分類では表現が余りよくないような気がするのですが、専従型と非専従型というように言われています。専従型というのはこどもだけを対象とするもの、非専従はそうではなくてこどもも成人も対象とするものということになります。こういった対象者の方の医学的な理解と併用して、先ほど申し上げた性加害行動の機能の理解を併せてその方用の治療プログラムが行われているということになります。  まとめますと、一つ目は、性的し好がこどもである場合です。こどもも対象の場合がこちらにも入りますが、私たちが留意していることは、もう一つの場合で、性的し好は成人女性なのですけれども、通報をされることを回避したり、心理的な優位な立場に立ったりするために結果的にこどもを加害対象としている場合がかなりあるということです。  すなわち、こどもを被害者とする加害者の中には成人が実は性的対象となっている者もいますし、こどもだけの者もいるというところが治療的支援の理解の際には非常に重要なポイントということになってまいります。  次のページを御覧下さい。この性犯罪がどれぐらい予測ができるのかというところ、再犯の予測ができるのかということは研究が大分進んでおりまして、どちらかといいますと静的なリスク、スタティックと言うのですけれども、その方のもともとの特徴と現在からでは変容不可能な履歴等に基づくとその方の再犯の予測ができるというものがあります。  そして、もう一つのリスクとしては、今からでも変容可能なもののことを動的リスクと言うのですけれども、現在の認知行動療法に基づく治療は二つ目の方に実際には働き掛けていまして、一つ目の過去の仕方のない特徴である静的リスクに対してどのように二つ目の動的リスクへの働き掛けをもって治療的支援を行っていくかというのが課題になっております。  参考までに次のページを御覧下さい。Static-99というリスクの評価票ですが、これは学術的にも認められているもので、ここに挙げられているようなものがそれぞれリスクとして評価されます。繰り返しになりますが、現在からは変容が不可能なものなのですけれども、実際に高リスクな評価、これは得点の仕方があるのですが、6点を超えた場合には10年、15年を超えると50%の再犯率があるということが学術的には確認されているというところでございます。  次のページを御覧下さい。もう一つ、私どもに、よくいただく質問の中には、再犯をした方々の特徴を調べていくときに、この人、再犯防止プログラムを受けたのでしょうというような質問があります。現在は先ほど申し上げました静的リスク、動的リスクの考え方に基づいて最大限の努力がなされておりまして、法務省の方でも有効性の統計値等を公表していただいているのですが、相応の効果は上げています。ただ、逆にありていに言いますとその方を完全に治してから社会内に出しているのではなくて、決められた刑期、決められた回数の中でその方にできる最大限の支援をしているというように考えていただきたいと思います。最も体系的に行われていますのは、矯正局のプログラムで1回100分間が約70回程度行われるものが最大のものです。民間の方では8回から12回程度の支援になっています。保護の方は5回というちょっと回数が少ないのが現状なのですけれども、このようなものが混在して「処遇プログラム、再犯性犯プログラムを受けた」といった中身の違いがあります。そして、何よりも先ほど申し上げたとおり、学校教育と同じように全員が満点で受講を修了するわけではありませんので、性犯再犯防止プログラムを出たからといってもう完全にその方が再犯しないということは残念ながら言えないというのが現状です。そして、特に民間で行われている性犯処遇プログラムの中には認知行動療法に基づかない支援法もかなり数多くありまして、なかなか一概に民間の治療的支援の効果を論じることができないというのが現実になっています。  次のページを御覧下さい。最後にDBSの対象犯罪をどのように考えればよいかということをこれまでの経験やデータ等からお話しさせていただきますと、先ほど申し上げましたとおり、加害者の性的し好が主に成人女性、男性も含みますが、その場合であってもこどもが被害者であるものが相応に含まれるという実態があります。そして、中学、高校生が被害者の場合、加害者の性的し好は若い子あるいは若く見える子であることが多く、実質裁判の刑期、罪名等が決まる被害者の実年齢とは支援上は余り関係がないことも多いです。  そして、盗撮、のぞき等の接触を伴わない加害者の場合、性欲の充足以上の機能、これは具体的にはいわゆる人が撮れないものを撮っているという優越感ですとか、そういった心理的機制に基づく機能を有することが多く、この場合にはこどもに限らず被害者の実年齢に依存しないことも相応に多いというように言えます。すなわち、もしDBSが法制化されることになったとすれば、性犯罪全般を対象としてこどもの安全に結び付ける方が妥当ではないかと考えているところです。  私からは以上でございます。どうもありがとうございました。 ○内田座長 嶋田先生、どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に移りたいと思いますが、できるだけ質問は簡潔にお願いできれば幸いです。では、御発言、お願いいたします。  では、小國構成員、どうぞ。 ○小國構成員 鎌倉女子大学の小國と申します。  非常に分かりやすい御発表で、ありがとうございました。  私から1点、質問なのですけれども、日本版DBSができたとして、加害者の方は再犯する可能性がずっと残っているわけですから、永遠にやはり期限は設けずに犯罪歴として残すことが妥当だと思われますか。 ○嶋田教授 御質問ありがとうございます。  先ほども申し上げましたとおり、いわゆる性的し好というのは短期での変容が難しいところがあります。外国等では10年、15年等をもってそれが変わったというような報告もあるのですけれども、やはり日本の現在の性犯罪者に対する社会的理解や心情等も含めますと期限は設けない方がいいのではないかと私自身は思っております。  以上です。 ○小國構成員 ありがとうございました。 ○内田座長 それでは、磯谷構成員、お願いいたします。 ○磯谷構成員 大変興味深い御説明をいただきましてありがとうございました。  二つお尋ねしたかったのですが、一つ目は今、既にもう質問が挙がりましたのでお答えいただいたかと思います。要するに終期、登録の終わりをどうするかという問題がありまして、こちらの方について今の先生のお立場からすると特にもう期限を設けないでずっと記載した方がいいのではないかというような、お立場的にはそういうことというように理解しました。  それから、二つ目も最後のところで御説明いただいたので確認的なところになりますけれども、性犯罪についてどういうような性犯罪を対象にするのかというようなところで問題があって、先ほど先生も御指摘がありましたが、本当に幼いこどもたちだけを相手にする、いわゆる専従型というところもあるけれども、そうでもないものも含まれるので、やはり成人に対する犯罪についても対象にしていく必要があるのではないかというようなお話だったかと思います。  加えて、これは盗視だとかのぞきとかという、いわゆる直接的な加害行為ではないという言い方が正しいのかどうか私も分かりませんが、そういったところもやはり結局のところはさらに直接の加害行為に発展していく可能性があるというように理解をした方がいいというのが最後のところなのかと思いましたが、その点、確認をさせていただきたく思いました。  以上です。 ○嶋田教授 御質問ありがとうございます。  まず1点目は先ほどと同様の答えになるのですけれども、付け加えさせていただきますと、対象の方がいわゆる治療的支援を受け続けていただくといいましょうか、民間のクリニックや自助グループ等に参加していただいた場合に変容が期待できるのであって、自然の普通の生活の中では難しいと考えております。  2点目に関しましては、どちらかといいますと先ほどのStatic-99というリスクの中にもありましたとおり、非接触のものが入っているとさらにリスクポイントが高くなるというのがございます。これはデータ等をお示しすることはできませんが、一般に加害者の方が若年の場合はエスカレートする可能性が高くなってきます。中年から高齢者の場合には自分の手口とずっと同じものを続けるという感じでエスカレートが余りなく、盗撮のものは盗撮、そういったようになっていくことが多い印象があります。  以上です。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  他にはいかがでしょうか。  では、神吉構成員、お願いします。 ○神吉構成員 ありがとうございました。  認知行動療法の観点からすると就業制限というか、こどもに関わる職業に就かないということが本人のためにもなるということだったと思うのですが、性犯罪の加害者の本人の性的し好であるとか前科が周りに知られること自体の意味はありますでしょうか。再犯の抑止力になるのか、それともむしろ有害な側面があったりするのか、それについて教えていただければと思います。 ○嶋田教授 御質問ありがとうございます。  自分が加害者であることを知られることの影響ということでよろしいでしょうか。 ○神吉構成員 そうですね。周りに。 ○嶋田教授 これも個別具体的な話はできないのですけれども、一般に性加害者で治療的支援を受ける方は、ネットに名前が出ているかどうかというのはかなり神経質にチェックしている印象があります。やはりもう私は知られてしまっているからみたいな方の場合にはそれを踏まえて、もう被害者を出さないようにあなたのためにもこれから頑張りましょうという支援を行っていきますし、知られていない方の場合には自分にとってどういうメリット・デメリットがあるかということで、周囲に言うか言わないかは考えていきましょうというような支援に持っていくことが多いです。よろしいでしょうか。お答えになっていますでしょうか。 ○神吉構成員 ありがとうございます。  知られることが本人にとっていいという選択も場合によってはあるという理解ですか。 ○嶋田教授 そうです。本人が本当の意味で立ち直りたいというようなことを明確に示すときには、周囲に自分の特徴を言うという選択をする者もいます。 ○神吉構成員 ありがとうございます。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  他にはよろしいでしょうか。  時間が遅くなって申し訳ありませんでした。嶋田先生、どうもありがとうございました。 ○嶋田教授 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 ○内田座長 それでは、嶋田先生からのヒアリングは以上とさせていただきます。  続いて、自治体の発表ということなのですが、もう予定の時間が来てしまっていますけれども、誠に申し訳ありません。続いて自治体の発表をお願いしたいと思います。  当会議では自治体から3名の方に構成員として御参加いただいていますが、これまで鳥取県の湯梨浜町と大阪府高槻市についての自治体における教育・保育等やこどもが活動する場等におけるこどもの安全に関する現状、そして、日本版DBSについての御意見をお伺いいたしました。本日は同じく構成員であられます奈良県知事でいらっしゃる山下真構成員から発表をお願いいたしております。時間が遅くなって申し訳ありませんが、山下構成員、どうぞよろしくお願いいたします。 ○山下構成員 表紙をおめくりいただき、次のページを御覧下さい。まず、このスライドは奈良県が所管する主なこども関連施設をリストアップしたものでございまして、まず一番多いのは県立学校でございます。高等学校が31校、それから、特別支援学校が10校、合計41校でございます。一方で、私立の高等学校は19校ございます。その高等学校に関わる職種といたしましては、教員の他に事務職員、図書館司書、非常勤講師、学習指導員等々、多種多彩な職種がございます。スクールバス介助員、調理員、医療的ケア看護職員、寄宿舎指導員等もおられます。また、雇用している職員ではございませんけれども、清掃や警備業務等の用務員業務や給食業務を外部委託している学校もございます。それから、こども家庭センターが2か所、奈良県にはございます。そこにも多種多様な職種の方が働いておられます。  次のページを御覧下さい。それから、奈良県では直営で児童自立支援施設も運営しておりますし、また、視聴覚障害児や知的障害児を対象とした福祉型障害児入所施設も運営をしております。  次のページを御覧下さい。県の直営施設ではございませんけれども、ここに列記してありますような民間施設に対しまして児童福祉法等に基づいて定期的に指導監査を実施しておるところでございます。  次のページを御覧下さい。現在、既に運用が始まっております特定免許状失効者管理システムについて、本制度とも深い関連がございますので簡単に御説明をさせていただきます。  まず教員の懲戒免職や分限免職、禁錮以上の刑、そうしたものによって免許が取り上げられたかどうか、免許状が失効されたかどうかを調べるシステムといたしましては、自己申告というのが一番外枠にございまして、自己申告で虚偽の申告をしても官報検索ツールというものを用いれば性犯罪歴以外の事由による懲戒免職、分限免職、禁錮以上の刑による免許状の失効者も検索できるようになっておりまして、そのうち児童や生徒に対する性暴力等を理由とする懲戒免職、禁錮以上の刑による免許状の失効については、この特定免許状失効者管理システムで捕捉されているということになります。  次のページを御覧下さい。特定免許状失効者管理システムの利用に関する罰則等についてでございますが、まず、特定免許状失効者管理システムを仮に利用しなかった場合でも、現時点では罰則がございません。もし日本版DBS制度で性犯罪歴等の確認を義務付けて罰則を設ける場合、特定免許状失効者管理システムを利用することを義務付けられている者が利用しなかった場合に罰則がないというのはバランスを欠くことにならないかなという懸念がございます。それから、特定免許状失効者管理システムを利用して性犯罪歴等で免許状を失効したということが分かっても、あえてその人を任用するということに対して特に罰則はございません。本年7月13日に改訂された文部科学省の「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」におきまして民事上の損害賠償責任を負うことがあり得るということは示されてはいますが、ペナルティーはないということです。もし日本版DBS制度で性犯罪歴のある者を採用した場合のペナルティーが民事の損害賠償責任のみでよいかどうかということは検討する必要があるのではないかというように思っております。なお、奈良県教育委員会は当然特定免許状失効者管理システムを利用しておりますけれども、県内の3校の私立高校にアンケートを取ったところ、特定免許状失効者管理システムはきちんと利用しているという旨の回答がございました。それから、特定免許状失効者管理システムを利用した者の情報漏えいによるペナルティーについてでございます。地方公務員の場合は地方公務員法上の守秘義務が課せられていますので、公立学校の教職員が特定免許状失効者管理システム等を利用して得た性犯罪歴に関する情報を漏えいした場合には地方公務員法によって罰則が科されております。けれども、私立学校の教員にはこうした地方公務員法上の守秘義務と同様の守秘義務はないので、バランスを欠いていると言うことができるのではないかと思います。  次のページを御覧下さい。特定免許状失効者管理システムを運用した立場での日本版DBS制度に対する問題提起でございます。特定免許状失効者管理システムでは、免許管理者、これは都道府県の教育委員会が免許管理者に該当するわけですが、この免許管理者が把握することができるのは免許状が必要な職種のうち、任命権者や雇用者から報告のあったもののみでございます。どういうことかというと、公立や私立を問わず、懲戒免職を受けずに依願退職をした場合には教員免許状が失効しませんので、特定免許状失効者管理システムには登録されないということになります。このような場合は雇用者からの報告がないので、当該教員に対して免許状を失効させるということは困難でございまして、こうした問題は日本版DBS制度を考えていく際にも検討すべきではないかなというように思っております。続きまして、特定免許状失効者管理システムでは、結婚等によって姓を変えた場合、あるいは何らかの理由で名前を変えた場合は対象者を検出できない、仕組みになっておりますので、別の名前で再度免許状を取得して他の都道府県で勤務するということは可能となっております。その上で、マイナンバーを利用するということについてはいろいろな問題もあろうかとは思いますけれども、日本版DBS制度ではマイナンバーとのひも付けによって追跡が可能となるような制度設計を検討することも一考に値するのではないかなと思っております。それから、特定免許状失効者管理システムでは、児童生徒等に対する性暴力等による懲戒免職未満の処分、すなわち停職や減給、戒告等の処分歴や禁錮刑未満の刑罰歴等を確認することはできません。日本版DBS制度による性犯罪歴照会の対象事案の範囲をどうするかということがこれから議論の対象になってくると思いますけれども、現在運用している特定免許状失効者管理システムにおける性犯罪歴の対象範囲との整合性をとっていく必要があるのかなというように思っております。  次のページを御覧下さい。県が所管する施設や県が指導監査する民間施設からのヒアリングを踏まえての奈良県としての意見でございます。制度導入のメリットとしては、採用面接だけでは性犯罪歴までは分かりませんので、この制度が導入していれば安心して教職員に対して業務を任せることができす。また、保護者に対しましては性犯罪歴を有する者が勤務していないということで、安心してこどもを預けることができる施設ということの証明になるのではないかと思います。また、重度の障害児の場合は、性的な被害を受けても意思表示をすることが困難な場合もございますので、そうした児童を性犯罪から守ることができると思います。また、当然のことながら、施設等での児童への性犯罪のリスクを減らすこともできます。  次のページを御覧下さい。そうしたメリットの一方で、制度導入に対する課題とか懸念としてどういったことが考えられるかということなのですが、まずアの人材確保についてですが、一定の資格が必要な職場では応募者が少ない職種がございまして、この制度導入によって人材確保が厳しくなる可能性もあるかなと思います。イの性犯罪歴のチェックについてでございますが、教員の特定免許状失効者管理制度や改正児童福祉法による保育士等の資格免許管理厳格化に基づく性犯罪歴照会の対象事案と現在検討中のものでございますが、この基準と日本版DBS制度における基準との間で整合性が必要ではないかというように思っております。  つまり、どういう性犯罪歴を照会の対象とするかという、この会議で議論となっているテーマについては、こうした既存の制度あるいは現在検討中の制度と日本版DBS制度との整合性を図る必要があるのではないかという問題提起でございます。  それから、どの時点で性犯罪歴の有無をチェックするかという問題についてです。就職当初にチェックすることは想定されていると思うのですけれども、就職当初はこどもに関わるような職場では勤務せずに途中から人事異動でこどもと関わる職場に配属された場合はどの段階でチェックすることを義務付けるのか、何らかの形で法案に盛り込む必要があるのかなというように思います。それから、直接雇用している教職員だけではなく、こども関連業務施設と契約する委託業者、清掃や警備、給食等に関わる会社等の従業員等も性犯罪歴チェックの対象とするのか、といったことも検討する必要があるのかなと思います。それから、職員採用に当たって性犯罪歴情報に基づき採用しない場合の判断基準を明確化するべきではないかということもございます。ウのその他でございますが、性犯罪歴情報に接することができる者を法律で限定的にするべきではないか。あるいは関係者の負担軽減のために性犯罪歴情報の確認の仕組みというのは簡素な方がいいのではないか。そうした意見もございました。  次のページを御覧下さい。以上のようなメリット及び懸念材料を前提とした上で、制度導入に当たっての奈良県としての意見でございます。こどもへの被害防止や安全確保の観点から制度の導入は必要であろう。また、先ほど来業界団体の方からの発表がございましたけれども、事業規模の大小にかかわらず、あらゆるこどもに関わる民間事業者が確認の義務を負うという制度設計にすれば、制度の実効性を担保するためには雇用主等に性犯罪歴の確認を負うことを義務付けして、違反した場合にはペナルティーを設けることが必要ではないかと思われます。なお、県内の3校の私立高校にそうしたペナルティーを設けるということについての意見を聞いたところ、それは仕方がないという意見でございました。また、前科前歴情報の高度のプライバシー性に鑑みると、採用担当者からトップに至るまで性犯罪歴情報に接する可能性のある全員に対して情報漏えいした場合にはペナルティーを設けることが必要ではないかというように思われます。下に昭和56年4月14日最高裁判決の多数意見及び補足意見を記載させていただいております。なお、情報漏えいの場合のペナルティーについても私立学校にアンケートしたところ、そうしたペナルティーを課せられるのは仕方がないという意見でございました。  奈良県からの発表は以上でございます。ありがとうございました。 ○内田座長 どうもありがとうございました。  それでは、質疑応答に移りたいと思いますが、構成員の皆様には御質問の際には挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○濱田構成員 山下知事、どうもありがとうございました。  質問というわけではないのですけれども、私、次の予定がございまして退席させていただきますので少し気になったことだけお話しさせていただけたらと思っておりまして、この山下知事の御発表でもよく理解できましたし、我々もほぼ同じ問題意識は持っているのですが、やはり非常に大きな論点としては、私はどの職種といいますか、どの範囲までこのDBS、必要性についてはもうほぼ議論は特にないかと思うのですが、導入するとしたときにどの職種まで広げていくのかというのが非常に大きな論点ですし、法技術的といいますか、制度技術的にも非常に難しい問題になるのではないかなというように思っています。学校は一言で言ってもこれだけの職種があるわけでありますので、今日は学習塾とかいろいろな方の御発表がございましたけれども、その中で非常に私は範囲をどうするのかというのが難しいなというように思いました。  私の意見としては、できる限り広く捉えた方がいいのかなというように思うのは、やはり範囲を狭めますと、こういった前科のある方がそういった範囲外の職種の方に行かれるという、そういった可能性もなきにしもあらずというような、そこまで考え過ぎなのかもしれませんけれども、ですので、そういった前科のある方の更生という意味でも、こういったこどもに関わる職種には諦めていただくというような、そういった観点での制度設計が必要になってくるのではないかなというように私の意見でございますが、思った次第でございます。  私から以上でございます。  ○内田座長 どうもありがとうございました。時間が超過して申し訳ありませんでした。  それでは、他にいかがでしょうか。  ただいまの御報告に対する質問の後、議論をさせていただこうと思っておりましたけれども、議論も同時にもうやってはどうかと思います。実は時間が予定を過ぎておりまして、本来18時に終わるべきところをもう20分以上超過しておりますけれども、もしお許しいただければ50分頃まで議論の時間を取りたいと思います。次の御予定のおありの方もおられるかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、18時50分まで延長させていただくということで、ただいまの山下知事に対する御質問も併せ自由に御議論をいただければと思います。  議論につきましては資料に論点、制度設計に当たり留意すべき観点についての取りまとめもしてありますので、そういったものを参考にしながら自由に御議論いただければと思います。どこからでも結構です。  では、普光院構成員、お願いします。 ○普光院構成員 山下構成員からの御報告と御意見、とても私も賛同する内容でございました。今回、たくさんのヒアリングをお聞きして、やはりどの分野の事業者の方もこの制度の導入を待ち望んでおられるということが明確になったと思います。そして、その対象を広くしてほしいということで、対象というのは対象となる業種や職種を広くしてほしいということと同時に、対象となる内容、例えば刑罰が下ったものだけを対象とするのかどうかというようなことも刑罰だけではなくもっと広く捉えるべきだという御意見が多かったのではないかというように思いました。  本来ですと、刑罰が確定した者にすることが最も明確で曖昧さを呼び込まない範囲になるとは思うのですけれども、実際には、刑罰とはならなかったその外側に何倍も多くの案件が存在しているのではないかという、私としても実感を感じております。今回、特定免許状失効者管理システムの課題であるとか限界というものを詳しく教えていただきましたけれども、そこでも言われている、教員に対してもこういう場合が漏れているよという御指摘がありましたし、さらに教員以外の職について行うとするならばどういう規定があり得るのかということをよく検討する必要があるというように思いました。  私は保育分野を専門にしておりますけれども、この保育士についてはデータベース等も作られているということですが、まだ活用されるまでには至ってないと思われますし、保育士以外が保育現場でも問題を起こした場合の手立てもないのではないかと思います。  いろいろな相談を受ける立場から見ていると、例えば児童福祉施設の施設長が職員に性犯罪、わいせつ事件の事実があったと認めて解雇したということがあった場合に、その解雇された人がこども関連職に就けないようにするということが十分に行わないような現状になっていると思います。その場合、どういう方法があるかというと、例えばその事実を知る者、この場合ですと施設長であるとか、あるいは被害を受けた児童の保護者といった人たちがしかるべき当局に報告するということを義務付けて、当局がそれを犯歴等として記録するかどうかを調査して判断するというような仕組みが必要になるのではないかなというようにも考えております。そうなると、同時に、その犯歴等を記録された側の本人が、その記録されたことについて不満を言う機会も設けられなくてはならない、そういう救済の仕組みも同時に必要になるのではないかというようにも思っております。  とにかくこの司法の裁きを受けない範囲の事案を対象とするためには、どういう規定や方法が必要なのかということを諸外国の制度を参考にしながら検討する必要があるのではないかなというように思いました。  以上です。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  それでは、宍戸構成員、お願いします。 ○宍戸構成員 東京大学の宍戸でございます。  非常に多くのインプットをいただきまして、こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みが必要であるということについては、私も含めて多くが賛同するところであろうというように思います。  制度設計に当たり留意すべき観点ということで、どうしてもこのヒアリングの性質上、余り出てこない、職業選択の自由等、1つ目のポツについて若干憲法を研究している立場から申し上げて、それでバランスの取れた仕組みをどうやってつくっていくかについて意見を申し上げたいと思います。  1点目に、これは前回の川出構成員の指摘にも関わることでございますけれども、こども関連業務に従事しようとする方の狭い意味での職業選択の自由の制限になる場面であるということは正面から認めて適切な規律を制度設計すべきものと思います。それは欠格条項型であるだけではなく、採用者に確認を義務付けるとか採用に当たって確認をした方がいいということを国家として後押しするという場合でも、やはりこれは狭義の職業選択の自由の制約に当たるものでございまして、一般にはこのような場合には狭い意味での職業選択の自由の制限でなければならない、職業遂行の自由の制限では足りない、他に選び得る手段がないということまでが要求されると考えられております。前回、比例原則と申し上げたのはその趣旨でございます。  また、これまで何度か出てきておりますけれども、更生の利益との整合性は当然に考える必要があろうかと思います。  2点目にプライバシー、個人情報の関係でございますけれども、これについては既に山下構成員からも前科に関する判例の御紹介があり、個人情報保護法におきましては、犯歴等は不当な差別につながる要配慮個人情報として厳格な取扱いが求められているところでございます。したがいまして、これについても繰り返しになりますが、重要な目的達成のために必要かつ合理的な範囲での取扱いであることが日本版DBSについて要求されると考えております。  ここにないのでありますが、3点目にもう一つ重視しなければいけないのは、こども関連業務を実施される方の自由ないし、それが公的機関によって行われる場合でありましても業務が適切に行われる自主性、自立性を確保するという観点から、この性犯罪歴等確認の仕組みがどのような問題を持つかということを考える必要があると思っております。これはメリットとデメリットの両面があると、私、思っております。  デメリットの方から簡単に申しますと、基本的に教育や保育も、日本の場合は全体主義国家ではございませんので、国家管理の下ではなく、人々の自発的な行動、自分がこういうビジネスをしたい、あるいは自分が公務員としてこういう活動に関わりたいというインセンティブと責任のある行動を積み上げていって、そこに国家が一定の監督を行うというやり方で、何よりも大切な次世代を担うこどもの健全育成を図るのが我が国の取ってきた方策であり、それはまた自立した個人を育てるという教育等の目的から見て適切であるだろうと思います。  他方で、こどもを健全に育てるといった社会全体の責務を担う教育・保育の場面において、まさにそこに関わっている従事者が強い立場において、今日、齋藤先生のお話にもありましたが、人格的、身体的な接触を、しかもこどもがそれと気付かない、むしろこどもがそれに従属してしまうような形で強く行うということは、そもそもの教育・保育の目的に反するものであり、教育・保育の目的を適切に達成するためにも、こどもが性犯罪等にきちんと巻き込まれないようにするという責務が、教育・保育等に関わる方に、公的部門、民間部門等にかかわらず存在する。それを実現するための手段としてこの日本版DBSの問題をきちんと考えていくべきではないかということで、今まで申し上げました職業選択の自由、プライバシー権あるいは教育・保育の事業の性格あるいは営業の自由とのバランスを、比例原則を踏まえて適切に取っていくべきでないかと考えております。  あと各論、いろいろあるのでございますが、時間が押しておりますので一点だけ情報の内容について申し上げますと、今、構成員からもお話がありましたように、犯罪歴、有罪判決を受けたという以外の情報を日本版DBSに取り込んで、それを確認等の対象としたいというお話は切なるものがあり、私も更地で制度設計をするということであれば、それが適切であるだろうと思います。  そもそもデータガバナンスの観点からいたしますと、必要な業務あるいは必要な目的のためにどのように情報を生成、取得するかという段階からこれは考えるべきものでありまして、既存の情報をそれに流用する場合には今、構成員が御指摘になりましたように、もともとの懲戒処分、あるいは民間の分野における、この人は生徒に対して、あるいは児童に対して何らかの性的な悪いことをやったので懲戒処分にするといった部分を日本版DBSに載せるという場合には、結局司法にかけるのに準ずるぐらいの重たい適正手続を踏まえた場合でなければ、恐らく職業選択の自由等に大きな影響を及ぼすであろう日本版DBSに載せることに大きな問題があるだろうと、私は考えております。  したがいまして、これは作り方として、まず、スモールスタートで始めて、情報の取り方、適正な情報の正確性・確実性が担保された情報の作り方を、性犯罪歴に代わるものとしてしっかり作れる運用、仕組みも併せて検討していかないといけないだろう。ただ、現在、日本版DBSの問題を取りあえずまず一歩目をスタートするという観点から見ますと、これも前回、川出構成員から御指摘がありましたが、適正手続が担保された性犯罪の司法において確認されたものをまずは対象とするということにも、私は十分制度設計上のコストベネフィットといいますか、合理性もあり得るのではないかと思っております。  すみません、長くなりましたが、私から以上でございます。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  では、小國構成員、お願いします。 ○小國構成員 私からは、今、日本語DBSの適応対象とするこどもの関連業務を狭くすべきというのをおっしゃっていたことについて意見を述べます。ここにいる多くの人たちは恐らくこども関連業務を広く対象としてほしいと願っていると思います。私もその一人で、本当にこどもを守りたいという一心なのですが、ただ、DBS制度を確実に制度化しないといけない。だけれども、その制度化するためにそんなことを言っていたら制度化できないではないかという議論になってしまうといけないということです。  ですから、やはりDBS制度を確実に作るためには、ある程度しっかりと守秘義務が得られるような定義のようなものを作って、その定義に当てはまる人ということが情報を取得できるというような形にして厳罰を科す。もしも情報が漏えいすると厳罰になるというような形でやるとか、できるだけ広い範囲なのだけれども、守秘義務が守られることを確実にするということが求められているのではないかと。とにかくDBS制度を作るべきということを強調して言いたいと思います。  子ども達というのは発達途上なのですね。私、小児科医でありますので子ども達にいつも関わっているのですけれども、本当に発達途上で、いろいろな点で大人の小さい版ではありません。ですから、様々な被害に遭ったこどもたちが、この被害の影響によって将来どのようになるかというのは本当に大人の責任になってきまして、また、一人の犯罪者が何十人もの被害に遭うこどもたちを作るわけですから、絶対にそれを阻止しなければならない。それを本当に強く望んでおります。ですから、確実にこの会議でDBS制度を作ってください。ですから、最終的に時間切れで法案成立は先延ばしで終わらないように皆様、お願いしたいと切に願っております。 ○内田座長 ありがとうございます。  では、続いて磯谷構成員、お願いします。 ○磯谷構成員 恐れ入ります。先ほど宍戸構成員がお話になった点なのですけれども、全く理屈の上ではそのとおりだなというように伺って聞いておりましたが、ただ、やはり先ほどから出ておりますように、有罪判決に限るということについてはクリアではあるものの、それは狭きに失するのではないかと。実際に目的としているのはこどもたちの安全を守るということで、それだとかなり抜け落ちてしまう部分が多いのではないかというような懸念はやはり残るのだろうと思います。  さはさりながら、きれいな完璧な制度設計等はなかなか難しいのですけれども、私としては、例えば前回もちょっとお話ししたかと思いますが、起訴猶予、検察官が起訴をするかどうか決める段階で、このDBSの制度に載せることについての同意をしたかどうかということを一つの材料として起訴するかどうかを決めていく。それで例えば起訴猶予ということになった場合には、それはその方がDBSに載せて、自分としてはもう10年なのか分かりませんけれども、こどもに関する職業には就かないということをある意味宣誓をされたということを考慮して例えば不起訴にするというような形でこのDBSに取り込んでいくということができないだろうか。もしそれで、自分はDBS制度に載せない、それに同意しないと言った場合で、かつ検察官の方としては有罪が取れそうだということであれば、それは公判請求されるということになるのかなと、そういうように考えてはどうかと。そうすると、御本人の同意というところで先ほどの職業選択の自由であるとかプライバシーのところについて一定のエクスキューズができるのではないかなというように思います。  それから、もう一つは、これはもう私が不勉強でよく分かっていないところなのですけれども、懲戒処分のお話が出ましたが、例えば業界団体等が懲戒処分について情報を共有するということ、それは自分たちの仕事の自衛のためにそういったことをするということはやはり法律上、問題があるのかどうかというところ、少し私も分からないなというように思っております。全然場面は違いますけれども、例えば信用情報につきましては情報を業界団体の方で共有されて、そういった方に貸し過ぎないというようなことで決めているところがあるかと思います。  これは今回作ろうとしているDBSとはまた少し違う形だというように思いますけれども、やはりこどもたちがこういった性的な加害行為をして懲戒処分を受けたような方にまた関わることがないように、そういった担保というのがDBSとは違った形でも何かできないかなというように思う次第でございます。  以上です。 ○内田座長 ありがとうございます。  では、続いて、山下構成員、お願いします。 ○山下構成員 何点か大事な論点について意見を申し上げたいのですけれども、まず、濱田構成員が言われたどの職種まで対象に含めるのか。法律の文言の書き方がすごく難しいのではないかなと思っていまして、この点についてはかなり緻密な法文の立案作業が必要になるのではないかなと思っておりますので、そこはぜひ事務局の方でいろいろな知恵を絞っていただきたいなと思っております。  それから、先ほど来議論が出ているDBS制度の性犯罪歴を前科に限定するのか、前科以外にも広げるのかということなのですけれども、私自身、まだ意見がまとまっておりません。前科以外にも性犯罪歴の照会の対象を広げるというのはかなり我が国の司法制度の枠組みから大きく一歩を踏み出すというようなことになるのかなというように思っていまして、かなり十分な議論が必要になるだろうというように思っています。  私自身、まだ意見がまとまってないのですけれども、宍戸構成員が言われたように前科情報に限ってまずはスタートして、しばらく運用して2、3年後にそれ以外の性犯罪歴も含めて照会の対象にするかどうか、そういう段階的な制度の創設の仕方もあるのではないかなとは思っております。  その一方で、特定免許状失効者管理システムでは、懲戒免職による免許状の失効というものも制度の対象に含まれています。これは前科ではございませんので、その点で既にある免許状の管理システムは前科以外に踏み出してしまっているので、これとの関係、整合性をどう捉えるのかという問題もあるのではないかなと思います。  それから、今日は欠席されておりますけれども、川出構成員が前回おっしゃった、性犯罪歴というのは一生付きまとうものとして取り扱うのかどうかという問題ですね。先ほど早稲田大学の嶋田先生からは、やはりこういう性的なアディクションというのはなかなか治るものではないので期限を設けずに照会すればそうした犯罪歴が出てくるというようにした方がいいのではないかという御意見もありましたが、これまでの犯罪を犯した人の矯正ということにこれまで取り組んできた我が国の刑事政策の歴史から鑑みると、前回、川出構成員が言われたように5年経過すれば一応刑はなくなるというのが現行の制度の立て付けでございますので、それとの整合性というのをどう確保していくのかということも私は慎重な検討が必要ではないかというように思っております。  あと川出構成員が前回言っていたと思いますが、仮に起訴猶予も性犯罪歴の照会の対象にするとしても、やはりそれも前科と同じように期限を設けるべきではないかという点も検討しなければならないのではないかなというように思いました。  あとは照会の仕組みについて、求職する者が証明書を提出するのか、雇用する側がオンラインで検索するのか、その点についても方向付けがどちらの制度設計するのかは早期に決める必要があるのではないか。それによっていろいろな手続が変わってくると思いますので、早期にある程度方向性を出した方がいいのではないかなというように思いました。  以上でございます。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  では、続いて、宮島構成員、お願いします。 ○宮島構成員 今日も、参加させていただきましてありがとうございました。また、様々な専門的知見を教えていただきましたし、現場の状況も教えていただいて本当に参考になりました。それらを聞かせていただいて思うこと、考えること、3点申し上げたいと思います。  1点目ですけれども、加害を行った方がこどもに接触しない工夫は再犯に陥ることを防ぐことにもなるというように教えていただきました。どうしてもその方に厳しくなるということばかりを念頭に置いて私などは考えてしまいがちでしたけれども、その方への支援なのだという視点もとても重要だと感じました。そのことを前提に置くことによってこの制度を設けることの必要性とか妥当性も裏付けられるのではないかと思いました。無制限に本人の利益になるかといって広げていいとは思いませんけれども、やはりこのことはきちんと頭に置く必要があると思います。  2点目ですけれども、やはりこの制度を作っていったときに漏れがあってはいけない。本当に必要な方を対象にしなければならない。幅広にできるだけ広く。これも私は無制限に広くというわけにはいかないと思っておりますけれども、でも必要な事業、必要な業務に対してはきちんと漏れのないようにする必要がある。私は、個人的には3つの要素がそろう場合には対象とすることが不可欠だと考えております。まずは、「時間単位のものを含めて、こどもと生活を共にする等接触の度合いが高い。」2つ目として、「こどもとの間で教育や指導やケアを担う等非対称の力関係がある。」3つ目として、「こどもと接触しても他者の目に触れにくい状況を作り出すことができる。」。この3つの要素が重なったときには間違いなく対象にしなければならないと考えます。今日指摘があったように、対象から漏れることによって、こどもに悪意を持って接触しようとする方がそこに流れることのないようにしなければならないと思います。ただ、無制限に広くするということは現実的ではない。こどもに関わる人たち、こどもに関わる仕事は本当に広がっておりますので、このあたりをちゃんとカバーするにはどうするか。そう考えると、何らかのかたちで範囲をさだめ、この制度の対象にする。また、この対象にはしないけれども、そこにも必要な取組を進めるということも考える必要がある。そういった考え方も重要ではないかと思います。  3点目ですけれども、今日、事業者のありようが本当に様々だと感じました。個人事業主、あるいは小規模な組織、大きな法人で営んでいるところもある。このような問題に対して以前から取組をして来たところもあれば、まだ始めたばかりといいますか、緒に就いたばかりというところもある。その様々な事業者のありようを前提にして、どこでも、そこがちゃんと乗れるような仕組みを作らなければならないというように改めて思いました。  以上でございます。 ○内田座長 どうもありがとうございます。  大体時間が来てしまいましたけれども、他にぜひ発言をという方はいらっしゃいますでしょうか。大体よろしいでしょうか。  本日は非常に有益なヒアリングをたくさんすることができまして、また、各構成員の皆様からも核心に触れる重要な御意見をいただくことができました。どうもありがとうございました。  それでは、まだまだ御意見あろうかと思いますが、本日の議論は以上とさせていただき、第3回の「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」を終了させていただきたいと思います。  では、事務局から事務連絡をお願いいたします。 ○羽柴参事官 次回、第4回会議につきましては、8月23日を予定しております。詳細はまた追って御連絡いたします。 ○内田座長 ありがとうございます。  それから、最後に、本日の議事録の扱いですけれども、これは前回と同様、本日の会議の議事につきましても特に公表に適しない内容に当たるものはなかったかと思いますので、議事録を公表するということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。では、そのように扱わせていただきます。  それでは、大変時間が超過いたしましたけれども、本日はこれにて閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。 1