旧優生保護法による優生手術等を受けた方へ 1.「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」について 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律については、議員立法により平成31年4月24日に国会で成立し、公布・施行されました。この法律の趣旨については、法律の前文において以下のように述べられています。  「昭和23年制定の旧優生保護法に基づき、あるいは旧優生保護法の存在を背景として、多くの方々が、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、平成8年に旧優生保護法に定められていた優生手術に関する規定が削除されるまでの間において生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきた。このことに対して、我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。今後、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、努力を尽くす決意を新たにするものである。ここに、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、この法律を制定する。」 2.旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対して一時金を支給します  この法律に基づき、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対して、一時金をお支払いします。 (1)対象者 (ア)又は(イ)に該当する方で、現在、生存している方が対象となります。 (ア)旧優生保護法が存在した間(昭和23年9月11日〜平成8年9月25日)に、優生手術を受けた方(母体保護のみを理由として受けた方を除く) (イ)(ア)と同じ期間に生殖を不能にする手術等を受けた方。(@)〜(C)のみを理由として手術等を受けたことが明らかな方を除く。(@)母体保護(A)疾病の治療(B)本人が子を有することを希望しないこと(C)(B)のほか、本人が手術等を受けることを希望すること (2)対象者の認定等 (ア)一時金受給権の認定は、請求に基づいて、内閣総理大臣が行います。 (イ)請求期限は、令和11年4月23日です。(ウ)都道府県知事・内閣総理大臣は認定に必要な調査を行います。 (3)支給金額 一時金の額は、320万円(一律)です。 3.一時金支給手続について (1)お住まいの都道府県の窓口に請求書(様式1)を提出してください。郵送による提出も可能です。 (2)請求書を提出する際には、以下の資料を添付してください。 @住民票の写しなど請求者の氏名、住所又は居所を証明する書類 A現在、優生手術などを受けた際の手術痕が残っているかどうかについての医師の診断書(特に優生手術などを実施した記録が残っていない場合には、一時金支給認定にあたっての重要な資料になりますので、可能な限り請求書とあわせて提出してください。様式2を使用してください。)※心理的ストレスが大きいなど医療機関の受診が困難な場合には、添付を省略することが可能となりますので、都道府県の窓口にご相談ください。 B上記の診断書の作成に要する費用が記載された領収書など(様式3を使用してください。一時金の支給が認められた場合、診断書作成費用が支給されます) C一時金の振込を希望する金融機関の名称及び口座番号を明らかにすることができる書類(通帳やキャッシュカードの写しなど) Dその他請求に係る事実を証明する資料(例:障害者手帳、戸籍謄本、関係者の陳述書、都道府県や医療機関等から入手した優生手術等の実施に関する書類など) (3)一時金の受給が認定された場合、御指定いただいた金融機関の口座に独立行政法人福祉医療機構から一時金が振り込まれます。 (4)一時金支給手続きの流れ @請求者から都道府県に対して一時金を請求書を提出する。 A都道府県において、請求に係る記録の調査等を行う。 B都道府県から、市町村・医療機関・福祉施設に対し、請求に係る調査等を行い、報告を受ける。 C都道府県は、必要書類を揃えて請求書をこども家庭庁に送付する。 Dこども家庭庁は、法律に基づき設置される旧優生保護法一時金認定審査会に、請求内容についての審査を依頼する。 E認定審査会は、請求内容についての審査を行う。 F認定審査会は、こども家庭庁に対して審査結果を通知する。 Gこども家庭庁は、都道府県を通じて一時金の支給に係る認定結果を請求者に通知する。 Hこども家庭庁は、一時金の認定結果について、一時金の支払い業務を行う独立行政法人福祉医療機構に通知する。 I福祉医療機構は、請求者に一時金を支払う。 ※上記の流れは、現在居住している都道府県内で手術を受けていた場合。現在居住している都道府県以外で手術を受けていた場合は、請求は、現在居住している都道府県に対して行い、調査等については、国(こども家庭庁)からの通知を受けて、手術を受けていた都道府県が実施。 ※請求者が、記録等により一時金の支給対象者に該当することを確認できる場合には、D〜Fは省略。 (5)旧優生保護法一時金支給請求書(様式1)の記載事項等について  内閣総理大臣殿 下記のとおり、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律による一時金の支給を請求します。請求年月日、請求者氏名を記載。 @請求者の情報  請求者氏名、性別、生年月日、請求者の住所、電話番号 A問い合わせの際に希望する連絡先(都道府県等からの問い合わせの際に請求者以外へ連絡を希望する場合) B振込を希望する金融口座の情報 金融機関の名称、支店名、預金種目、金融機関コード、支店コード、口座番号、口座名義 C優生手術等を受けた当時の氏名  優生手術等を受けた当時の氏名と現在のお名前が同じかどうかを確認。違う場合、当時の氏名を記入する。 D優生手術等を受けた当時の状況 過去の記録の発見・特定や、一時金支給の認定のために必要です。可能な限り、詳細に記載してください。不明な場合は、分かる範囲で記載してください。 (ア)優生手術等を受けた時期・場所について  (@)手術等を受けたのはいつか分かりますか。わかる場合は、年月日を記載。わからない場合でも、おおよその時期や年齢が分かる場合は記載。 (A)手術等を受けた医療機関はわかりますか。わかる場合は、医療機関の名称や所在地を記載。わからない場合でもおおよその場所など記憶していることがあれば記載してください。 (イ)手術等を受けた当時の状況について 手術等を受けた当時、どこで暮らしていましたか。自宅にいた場合、自宅の所在地を記載。医療機関に入院していた場合又は福祉施設を利用していた場合、その名称と所在地を記載する。 (ウ)優生手術等を受けた理由・経緯 ※記載が請求書の欄に収まらない場合は、別紙をつけてください。優生手術等を受けた理由・経緯以外にも、認定にあたって参考になる情報があれば記載してください。  E個人情報の取扱いについて (ア)本請求書に記載されている情報は、あなたが受けた優生手術等に関する記録等を確認するため、「優生手術等を受けた当時の状況」の欄に記載された医療機関や施設などに提供する場合があります。このことについて、説明を受けたことについてチェックする。 (イ) 旧優生保護法一時金支給法においては、国(国会)は、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査を実施することとされています。この請求書に記載された内容や医療機関、福祉施設などで確認されたあなたの記録の内容について、調査のために提供依頼があった際には、住所や氏名を特定されない形で提供する場合があります。このことについて、「同意します」か「同意しません」をチェックする。 (6)旧優生保護法一時金支給請求に係る診断書(様式2)の記載事項等について @請求者の情報 請求者氏名、性別、生年月日、請求者住所 A既往歴の有無 既往歴がある場合はその内容を記載。 B自覚症状の有無 自覚症状がある場合はその内容を記載。 C手術痕についての記載 手術痕の位置を図示するとともに、手術痕の位置や長さを記載。 D備考欄 記入欄に書き切れない場合は、別紙にご記入いただき、添付してください。 E医療機関名、記載日時、住所、担当医師名を記載。 (7)旧優生保護法一時金支給請求に関する診断書作成料等支給申請書(様式3)の記載事項等について  内閣総理大臣 殿 下記のとおり、旧優生保護法一時金支給請求に関する診断書作成料及び診断料の支給を受けたいので、申請します。請求年月日、請求者氏名を記載。  以下@、A、Bは請求者が記載する。Cは医療機関が記載する。 @請求者の情報 請求者氏名、性別、生年月日、請求者住所、電話番号  ※旧優生保護法一時金支給請求書(様式1)の「1.請求者の情報」と同一場合は、右のチェック欄にチェックをしてください。 A請求額の情報 診断書作成料として、「3.領収書欄」に記載がある額(その額が5,000円を超える場合は5,000円)について、支給を請求します。また、診断料として、「3.領収書欄」に記載がある額(その額の上限は健康保険の診療方針及び診療報酬の例によります)について、支給を申請します。※1よろしければ、右のチェック欄にチェックをしてください。※2診断料は診療報酬点数表における初診料の所定点数相当額(令和6年4月1日時点の診療報酬点数表では2,880円。診療報酬改定により変動しますのでご留意ください。)まで公費負担の対象となります。 B振り込みを希望する金融口座の情報 金融機関の名称、支店名、預金種目、金融機関コード、支店コード、口座番号、口座名義 ※旧優生保護法一時金支給請求書(様式1)の「3.振り込みを希望する金融口座」と同一の場合は、右のチェック欄にチェックしてください。 C領収書欄 診断書作成料、診断料、年月日、医療機関名・代表者氏名を記載。 ※診断料は、医療保険適用外の問診等を行った場合にのみ記載。 (8)診断書記載の手引き「医師のみなさまへのお願い〜旧優生保護法一時金支給請求に係る診断書の作成に当たって〜」※診断書作成のために受診される際に医師・医療機関にお渡しいただくなどご活用ください。 表面 医師のみなさまへのお願い〜旧優生保護法一時金支給請求に係る診断書の作成に当たって〜 (1)「旧優生保護法一時金支給請求に係る診断書」について ○「旧優生保護法一時金支給請求に係る診断書」は、請求者が当時優生手術を受けたことを証明する診断書ではなく、生殖を不能にする手術もしくは放射線照射を受けたことによるものである可能性がある所見が現存しているかどうか(主には当時の手術痕が残っているかどうか)を医師に客観的に確認していただき、記載して頂くものです。 ○この診断書は、こども家庭庁に設置される「旧優生保護法一時金認定審査会」が、支給認定の判断をする際に参考とする資料であり、これをもって、請求者が、優生手術を受けたこと(もしくは受けていないこと)を確定するものではありません。 ○したがって、手術痕が無い場合は無い旨をご記載いただき、手術痕の存在が確認できる場合は、当該手術痕が優生手術によるものかどうか判断がつかない場合であっても、現認できる手術痕について記載した上で、備考欄に、何の手術によるものか判断ができない旨を記載してください。例えば、放射線照射を受けた場合や、帝王切開等とあわせて優生手術を受けた場合などもあることから、手術痕が無い、又は、はっきりと確認できないことだけをもって、不認定となるものではありません。 ○また、上記のとおり、診断書は現在手術痕が残っているか等を記載するものですので、当時、優生手術を行った医療機関が記載することを想定しているものではなく、請求者にとって利便のよい医療機関で作成頂くことを想定しています。 ○この診断書は、優生手術等を実施した記録が残っていない場合には、一時金支給認定に当たっての重要な資料となるため、請求者には可能な限り提出をお願いしています。医師のみなさまにおかれては、診断書の作成につき、ご理解・ご協力をいただきますよう、よろしくお願いします。また、一時金を請求される方の多くが、疾病や障害を抱えた方であることが想定されるとともに、受診することに心理的ストレスを感じる方もおられることを前提に、プライバシーの確保や請求者の気持ちに寄り添った対応など特段の配慮をお願いいたします。 裏面 (2) 診断書の記載事項について 1.請求者情報 一時金を請求される方(診断の対象となる方)の氏名・性別・生年月日・住所をご記載ください。 2.既往歴、3.自覚症状欄 基本的には、通常の診療と同様に、特に限定することなく既往歴・自覚症状をご記載ください。また、手術痕を診察する際に、手術痕に係る既往歴や自覚症状があるようであれば、ご記載ください。 4.手術痕 ・手術痕が認められる場合、手術痕の位置や長さについてご記載ください。手術痕はあるが、優生手術による所見かどうかわからない場合は、5.備考欄に何の手術によるものか判断ができない旨をご記載ください。 ・手術痕が無い場合は、無い旨をご記載ください。 5.備考欄 上記のほか、付記すべき事項等がある場合、備考欄にご記載ください。 (9)旧優生保護法一時金認定審査会について 旧優生保護法一時金認定審査会 委員名簿(令和5年6月25日現在) 岩崎 香(いわさき かおり) 早稲田大学人間科学学術院 教授 内田 勝彦(うちだ かつひこ)大分県東部保健所 所長 大村 美保(おおむら みほ) 筑波大学人間系障害科学域 助教 菊池 洋一(きくち よういち) 弁護士(前広島高等裁判所長官) 小西 郁生(こにし いくお) 国立病院機構京都医療センター 名誉院長 辻村 晃(つじむら あきら)順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科 教授 平沢 郁子(ひらさわ いくこ) 弁護士(前日本弁護士連合会副会長) 松原 洋子(まつばら ようこ) 学校法人立命館 副総長、立命館大学大学院先端総合学術研究科 教授 計8名(50音順、敬称略)